就労

2016年12月18日 (日)

最近の昇平の様子

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 今朝の空


 昇平が通っている就労支援事業所では、毎月ご家族と語る会を開いているので、私は毎月出席して、事業所の方針や運営状況などを聞き、さらに個別面談も必ず申し込んで、担当の支援員から昇平の様子を聞くようにしているのですが、今月は残念ながらどうしても都合が合わなくて、出席することができませんでした。
 しかたがないので、私が昇平から聞いた話などを元に、昇平の最近の様子を報告します。


1)研修は今月も商品の仕分け作業でした
 先月に引き続き、ホームセンターの商品を店ごとにオリコン(折りたたみ式コンテナ)に入れて流す作業をやっています。作業にもだいぶ慣れてきたようで、曜日によっては仕分けたオリコンが流れてくる先で待ち構えて、貼ってあるシールを見て、行き先ごとの台車に積む作業もしているようです。
 オリコンを台車に積む作業のほうが重労働なのですが、昇平はそれ以前に廃品回収の研修をしているので、「こういう作業には慣れているんだ」と余裕の発言。箱の積み方などにルールがあるようなので、今はそれを覚えるのに一生懸命でいるようです。
 商品の仕分けの日には、流れてくる商品を眺めるのが楽しいようで、「ペット用の餌やおやつが特に面白いんだよ。ササミ入りなんとかとか、○○配合とか……人間も食べてみたくなるんだよ」。う~ん、確かに最近はペットの餌も健康志向だから、人間用にレベルが近づいているかもね。


2)体がいっそう引き締まりました
 約2年前、高校を卒業する頃の昇平は、身長173センチくらいで体重が81.6Kg。肥満度を表すBMIは27.8でした。標準BMIは22ですから、かなり太っていたわけです。
 その後、食べる内容や量に気をつけたり、筋トレなどの運動を取り入れたりして体重が落ちていきましたが、就労支援事業所で研修を始めてから、それがいっそう進み、力仕事をすることも多かったので、今朝の数値で体重69.8Kg、BMIは22.7でした。体重は12Kg近く減ったし、体つきもがっしり筋肉質になって、とてもたくましくなりました。
 だから、重いオリコンを台車に乗せ替える作業もこなせるのでしょうね。
 もちろん、仕事を終えて家に帰ってくると、第一声は必ず「疲れた~!!」なのですが、ご飯を食べてお風呂に入って、好きなゲームをして寝れば、また元気に「いってきます!」と出勤してくれます。
 若さもありますが、昔の体力のなさが嘘のようだなぁ、と思って見ています。


3)勤務時間が長くなってきました
 仕分け作業の研修があるのは火曜日から金曜日までなので、朝6時に起きて7時15分には家を出発、電車に乗って福島まで行き、そこから先は同じ研修先の人たちと施設の車に乗って研修先に向かいます。
 以前は午後3時までの作業だったのですが、彼らの仕事ぶりが認められたようで、「年末で出荷量が増えてきたからもう少し手伝ってほしい」と言われ、火曜日と金曜日は午後4時までの作業になったそうです。時間が延びるときには、事前に指導員から保護者に電話で連絡もありました。


4)土曜日はイベントの日
 土曜日は仕分けの仕事はなくて、事業所で1週間の振り返りをしたり、イベントに参加したりします。
 イベントもパソコンの研修を兼ねて年賀状を作ってみたり、クリスマスカードを作ってみたり、カラオケに行ったり、ミニゲーム大会をしたり。昨日はハローワークにも行ってみたそうです。「パソコンみたいな端末にいろいろ条件を入れて検索するんだけど、意外とないんだよ。全然ヒットしなかったこともけっこうあったんだ」とは、ハローワークから帰ってきた昇平の話。やはり、いくら障害者枠での就労を目ざしても、なかなか自分に合った職場を見つけるのは大変なようです。だから、こういう就労支援施設を利用して就職先を一緒に探してもらうんですけれどね。
 月曜日は原則として休みのはずなのですが、出勤日がその月の日数マイナス8日と定められているので、12月のように年末休みが入るときなどは月曜日にも出勤するようになります。
 月曜日に研修がない日はフリースクールに行くことにしてあって、本人もそれを楽しみにしているのですが、思ったようには行くことができずにいます。でも、それでも文句を言うことなく、仕事を優先して出勤するのだから、昇平は偉いです。(親馬鹿)
 土曜日と月曜日の起床や出勤時間は、仕分け作業の日より1時間遅くなります。


5)夜寝るときのこと
 昇平はもう21歳になりましたが、震災後に精神的に非常に不安定になったこともあって、いまだに夜は母の私と布団を並べて寝ています。
 自分だけの時間や部屋がそろそろ必要になっているのは見えているし、最近はずいぶん安定してきたので、こんなふうに一緒に寝るのももう少しだろうとは思っているのですが。
 先日、「そろそろ別に寝ようか?」と聞いてみたら、「え~」と言ってから、しばらく考えて、「もうしばらく、この形がいいな」と言います。
 というのも、夜、枕を並べて寝たときに、昇平のほうからその日いろいろ考えたことを私に話し、私がそれを聞いて返す、というやりとりがとても多いからです。
 内容は、社会に対する不安や他人に対する恐怖のことが多くて、「ぼくはこういう人たちは○○なんだと思うんだけど」とか「こういう人たちは△△だと思うんだよ」などと、本人なりにその不安や恐怖を乗り越えるために、あれこれ考えついたことを、私に確認してきます。
 でも、それがすべて正しいわけではなく――なので私は「そういうことを言う人って□□な気持ちなんだと思うよ」とか「世の中、そんな言動をする人はほんの一握りなんだよ。だって、君が今日、研修に言って帰ってくる間に出会った人のことを思い出してごらん? そんな過激な発言や行動をする人たちっていた?」などと、返してやります。
 そうすると、昇平は「え~?」と言い、時には涙ぐみ、時には腹を立て、でも、いろいろ話し合ううちに少しずつ事実の整理も進んでくるようでした。つまり、夜、一緒に寝る時間というのは、私が昇平の考えの混乱や偏りを「整理する」時間になっていました。


6)最近気がついてきたらしいこと
 「そろそろ別に寝ようか?」「え~、もう少し」というやりとりをした後、昇平はまたいろいろ考えたようで、こんなことを話してくれました。
 「ぼくは、これまで自分と違う考えの人をなんとか改めさせようとしてきたけれど、今はそんなことはする必要がないと思うようになってきたんだ。だって、人の考えは人それぞれでいろいろなんだから。だから、ぼくは自分が違うと思ったことを言う人のことは、そのままそっとしておいて、黙っていようと思うんだ。そのかわり、ぼくが自分で思うことにも、もうこれ以上あれこれされたくない。振り回されるのはもうごめんだって思うようになったんだ」
 もちろん、昇平はこんなにスムーズに話すことはできません。言いたいことばがなかなか出てこなくて、つまづいたり考えたり、途中で何度も同じ話を繰り返したり。だけど、根気強く耳を傾けていると、上記のようなことを話してくれました。
 昇平の一番の悩みは、ネットで、あるいは目に入るさまざまなメディアで、社会に対する不安をあおったり、人を傷つけるようなことばが平気で大量に書き込まれること。どうしてもそちらからの情報が強く入ってくるので、社会全体への不安や不信感につながってしまうのです。
 もちろん、以前、中学校で周囲とうまくやれなかった人間関係の失敗も、経験として追い打ちをかけています。
 そういうものを目にするたびに、昇平は「どうしてこんなことを言うんだ!?」「こんな奴らはいなくなるべきだ!」と腹を立て、「自分はこういう人たちに殺されるかもしれない」と恐怖にかられ、大丈夫かもしれないと思ったときにまたネガティブな書き込みを目にして落ち込む……ということを繰り返してきました。
 でも、ここに来てようやく、「そういう発言をする人たちも、実際にはそこまで深刻に考えてはいない」ことや、「人にはそれぞれの考えがあるんだから、自分と違う考え方であっても気にしない。スルーする」ことを考え、さらに、「だから、他人の意見に自分自身の気持ちを乱されたくない」と強く考えるようになったようでした。
 ああ、ここまでわかってきたんだなぁ、と思うと感無量でした。
 他人が自分と違う意見を言ったときに、それを我慢できなくて、なんとか自分の考えに合わせさせようとする「大人」も少なくないのが現実なのに。
 「偉いね。その考え方は本当に素晴らしいと思うよ」と言うと、昇平は満足したような様子で、そのままぐっすりと寝入りました。
 こういう考え方がしっかり自分のものになったときに、私と一緒に寝ることも終わりになるのかもしれません。
 きっと、彼自身から、「もうひとりで寝られるよ。もう大丈夫」と言ってくるような気がしています。 


7)天気だけが気になります
 こんな具合に昇平が落ち着いてきたのは、やっぱり事業所での研修が順調にいっているからです。
 「自分でもできる」「自分にだってやれる」ひいては「誰かの役に立っている」という実感と、それによってお給料(工賃)がもらえている、という事実。
 自分は社会の中でちゃんとやっていけるんだ、という実感が育ってきているのでしょう。
 それを途中でだめにしたくはないと思うし、休むことも遅刻することもなく皆勤を続けているので、それも続けさせていきたいと思っています。
 ところが、冬になって天候が急変する日が増えてきて、いきなり強風が吹いたり雪が降ったり、そうそう、大きな地震が来た日もありました。
 そうなると停まるんです、電車が。遅れることもしょっちゅうです。
 電車がだめならバスで、なんて言うこともできない、交通過疎地に住んでいるので、電車が使えないとなると私が車で彼を福島市まで送ることになります。そういう日は道路も混むので、研修の集合時間に間に合うかどうか、心配しながらの送迎になります。
 スマホに天気予報と電車の運行状況を知らせるアプリを入れておいて、天気の悪い日には緊急連絡が入るんじゃないかとハラハラしながら、毎日朝食を作っています。


 長くなりましたが、以上が最近の昇平の様子でした。
  
 

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2016年11月19日 (土)

新しい研修先は仕分け作業

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「夜明け」(2016.11.16撮影)


 更新がすっかり月一度になってしまった「昇平てくてく日記」ですが、昇平も私たちも元気でやっています。

 前回の日記でも書いたとおり、昇平の研修内容が変わりました。今度は県内の大手ホームセンターで販売される商品の仕分け作業です。
 大きな倉庫の中で、ベルトコンベアで流れてくる商品を店ごとの箱(オリコン)に入れ、いっぱいになったら配送用の台車に行くベルトコンベアへ流すという内容のようです。
 発注が多くて扱う商品が多いときにはベルトコンベアに貼り付きですが、そうでないときには流れてきた箱を台車に乗せる作業などもするとか。
 昇平を含めて7人の利用者が、福島駅前の事業所から車で研修先へ行き、2人の指導員の指導の下で5時間(昼休み込み)作業をして、また車で事業所へ戻り、その日の日報を書いて帰宅する――というパターンになっています。
 ちなみに、そこでは常時50人くらいの職員が同じ仕分け作業をしているそうで、時間で交代するシフト制。けっこう大きな会社です。

 昇平は新しい職場に変わっても、そこでの作業のやり方をきちんと教えてもらえれば、変化そのものにはけっこう対応できます。
 それでも、事業所のほうでは昇平に気を遣ってくれたようで、回収作業の最後の日には、作業が終わってからスタッフが「事務所で使いたい材料を買いに行くからつきあって」と言って、昇平を大手ホームスーパーに連れていって、店やそこで売られているものなどを見るように仕向けてくれたようです。ありがたいことです。
 研修先が変わるに当たっても、いきなり翌日からではなく、事業所で少し座学などを挟みながらおもむろに仕分け作業の説明をして、週末の金曜日に体験、月曜日から正式に研修開始という流れでした。新しい場所で新しい作業をやって疲れても、週末にひと休みして、月曜日から本番――ということだったのだと思います。
 なるほど、利用者たちができるだけスムーズに新しい研修先に慣れるように、いろいろ気を配ってくれているんだなぁ、と感心しました。

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 ところで、昇平は就労移行支援という区分で事業所を利用しているのですが、2年間限定のこの期間に昇平くらい数多く研修をしている利用者はまだいないらしいです。(出来てからまだそれほど年月が経っていない事業所だということもありますが)
 昇平は7月から利用を始めて、最初は事務所内でビジネスマナーやパソコンの講義や、事業所で営業していたレストランの飾り付けの製作など、事務所内で出来ることをしていましたが、8月からタウン新聞の折り込みと配布というポスティング作業に取り組み、12月頃からは人参の皮むき作業も同時に始まり、翌年3月末からは事務所の外にある作業所で人参の皮むき作業専門になって、「人参作業のエース」とまで呼んでもらえるほどよく働き、6月末からはガラッと変わって廃品回収の車に同乗する回収助手になり、そして今月11月からはホームセンターの商品仕分けの研修に移ったわけです。

 昇平はどこの研修先でも真面目に一生懸命取り組むので、どの作業の指導員にもとても誉めていただきます。本人も、いろいろなことが出来るようになってきたという実感があるので、着実に自分への自信を深めています。もちろん、出来ないこと、足りないことはたくさんあるのですが、それでもひとつずつの作業を通じて仕事のスキルを上げてきています。欠勤も遅刻もせず、一緒に働く仲間に配慮しながら、時間内に決められたことをきちんとこなしている彼を見るにつけ、その成長ぶりに、家族の私たちが驚かされています。よくぞここまで……。

 いろいろなところで、様々な仕事の経験を積んで、その中で自分に合った職場を見つけて就労していく。
 それが理想のパターンだなぁ、と考えてはきたのですが、実際にそうなっていきそうな昇平を見て、嬉しく思ったり驚いたりしているこの頃です。
 今の研修先に就労する可能性も高いので、私と主人は「そこまでどうやって通うか」(就労してしまえば、今度は自分で職場まで通わなくてはいけないので)を考え始めています。

 とにかく、これからもがんばれ、昇平! みんなで君を応援してるからね。

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2016年10月22日 (土)

一般就労が見え始めた

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 お久しぶりです。「月刊てくてく日記です」(笑)
 相変わらず昇平は順調で、家庭生活ではネタになることがあまりないので、先日事業所のご家族と語る会で聞かせてもらった話を中心に、日記を更新しようと思います。

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 まずは、ちょっと堅い話から。

 国が障害者への支援についてを定めた「障害者支援法」はどんどん変革されていて、雇用支援を行っている事業所に対する内容も様々に変わりつつあるようです。
 昇平のように就労支援を受けている障害者は、その形態からA型、B型、移行支援の3種類に分かれていて、昇平は移行支援と呼ばれるグループに所属しています。これは支援機関が2年間と定められているのですが、その期間中に就労できない場合も、昇平のいる事業所ではB型のメンバーになり、やがて雇用契約を結んで作業をするA型メンバーになり、一般就労に到達する――というのが大きなモデルパターンでした。もちろん、B型でいる期間でも、一般就労できる人は就職していきます。
 ところが、国はこの中のA型の利用者への支援を減額し始めました。背景には、マスコミなどでもさかんに取り上げられている、福祉財政のひっ迫があります。今までのようなオールラウンドの支援はできなくなってきているし、早く障害者に就労して納税者になってほしいという意図もあるのでしょう。A型になると利用者も家族も安心してしまって、一般就労できる力があるにもかかわらず就労を目ざさなくなる、というケースも少なからずあって、それも問題視されているようです。

 以上のような情勢の変化から、事業所としてもA型の雇用支援事業を縮小して、B型や移行への就労支援を今まで以上に積極的に行わなくてはいけなくなった、というのが、事業所の経営側からの説明でした。
 その流れを受けて、事業所が展開していたレストランは今月いっぱいで閉鎖が決まりました。「ちょっぴりへこんだ?」の記事のトップに写真を貼り付けたところです。健康に良いメニューが食べ放題で味は良かったし、先日、保護者会でも食事会を開催して大成功だったので、閉店はとても残念なのですが、国の方針による影響となると、いたしかたないところです。
 昇平たち利用者も、今まで以上に積極的に就労を目ざすことになります。ここで話がようやく昇平につながってくるのですが、昇平にも一般就労が現実のこととして行く手に姿を現し始めました。

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 昇平は去年の7月から正式に事業所を利用し始めたので、今月で1年4か月になります。移行支援の残り期間はあと8か月です。
 これまでの日記にも書いてきたとおり、昇平の勤務態度は非常に真面目で積極的です。担当スタッフとの個別懇談では毎回本当にたくさん褒め言葉を聞かせていただくのですが、それは決してお世辞でもヨイショでもないようです。今回もスタッフのひとりから「昇平さんの働いている姿をご家族の方に見ていただきたいくらいです。本当に立派ですよ。健常の方の働く様子と少しも違いません」と言っていただきました。
 こうなると、移行支援の期間が終了する2年を目処に就労する可能性が、現実のものになってきました。家族としては、「まだまだ幼い。移行が終わったらB型になって、もっともっと時間をかけてスキルを伸ばしてから就労を」などと考えていたのですが、予想より早く社会人になってしまうのかもしれません。嬉しいようなとまどうような、心配だけど思い切ってやらせてみたいような。親としてはそんな複雑な気持ちでいます。

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 今回は時間がかなりあったので、これまで昇平を担当してくださったスタッフ4人から、個別に話を聞かせていただくことができました。
 その内容をトータルすると

・勤務態度が非常に安定していて真面目。欠勤・遅刻はないし、作業内容が終わるまできちんとやりきる。
・取引先への挨拶やことばづかいもしっかりできている。
・回収作業の仕事の内容は完全に覚えて、指示されなくても自分から動いている。
・相方が4人いて、その中の誰になるかその朝まで分からないのだが、心配せずに誰とでも働けるようになった。
・相手に合わせて言ったりやったりすることができるようになった。(これには事業所のスタッフたちも感心しているとか)

 「仕事の内容さえ覚えられれば充分一般就労できるでしょう」というのが、昇平と一番多く組んで作業をしてくださったスタッフのTさんの評価でした。ただ「まだ若いので、もっといろいろな経験をしてスキルを伸ばしてからでも良いかな、とも思いますが」とも。
 事業所には30代、40代、50代の利用者も来ていて、その方たちの場合は一日も早い就労が課題なので、それに比べたら昇平にはまだまだ時間がある、だから、じっくり構えてもいいかもしれない、と迷うところがあるようです。

 回収作業では、「ちょっぴりへこんだ?」で苦手意識を持ってしまったスタッフのMさんと、先週からまた組むようになっていますが、それも「誉められた」「うまくできた」「ちょっと注意されたけど、次に頑張ればいいから明日は気をつける」などと言うようになって、また一緒に仕事ができるようになっています。
 Mさんも「昇平さんは注意されても以前のように落ち込まなくなりました。変わりましたよ」と嬉しそうでした。

 ただ、作業内容はほぼ完璧に覚えたようだし、諸処の事情も絡んできたので、廃品回収の作業は今月いっぱいで終了することになりました。来月からはまた新しい場所で施設外の作業訓練を受けることになります。そこで仕事が完璧にできるようになれば、そして本人が望めば、そのまま就職ということもあるのだそうです。
 「来月になったら昇平さんと話し合って、この先の8か月間で就労を目ざすか、もう少しスキルアップするためにB型になって事業所を利用し続けるか、先の予定について相談をしていきたいと思いますが、よろしいでしょうか?」とスタッフから確認されて、「はい、どうぞよろしくお願いします」と私は答えました。
 さて、昇平はあと8か月での就労を望むでしょうか? それとも、もう少しスキルアップをしてから、と考えるでしょうか。
 その判断も、もう昇平自身に任せて良さそうです。

 昇平はもうすぐ21才2か月。
 本当に大人になりました。

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※写真は、今日実施している事業所イベントの芋煮会で作った「芋煮」。つい先ほど「鍋みたいでとても美味い」とメールで送ってきました。鍋好きの昇平らしい表現です(笑)

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2016年8月19日 (金)

個別懇談~苦手意識を越えるために~

 昨日は昇平が通う就労支援事業所の「家族と語る会」があったので行ってきました。
 お盆明けなので仕事が忙しい人が多いのか、いつもより参加者はちょっと少なめ。でも、おかげで会の後の個別懇談では、最近の昇平の様子をたっぷり聞かせてもらうことができました。

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 ほぼ1か月前に、廃品回収の研修中に一緒に回っていたスタッフのMさんから指導を受け、それがうまくできなくて、ちょっとへこんだことがありました。
 その直後に7月の家族と語る会があったので、Mさんと話をして、「本人に成長する能力があるからこそ、あえてしっかり指導をしている」というのがわかって、引き続きよろしくお願いします――と頼んできたのですが。
 昇平としては、ちょっと苦手意識が生まれてしまったのか、Mさんから指導されると逆に緊張してうまく対応できなり、果ては混乱してしまって半日だけで回収作業から上がって事務所に戻ったことがありました。
 とはいえ、仕事ができなかったのはそのとき半日だけで、翌日からはまたちゃんと仕事に行ったし、半日で上がってしまったときに昇平が私に電話をかけてきたので、私のほうからも事業所のサービス管理者のKさんに対応をお願いしたので、きちんと昇平に対する配慮がしてもらえて、それ以後はまったく問題なく仕事が続けられています。

 それにしても対応が上手だな、と思ったのは、昇平が苦手意識を持ってしまったMさんを完全に切り離すのではなく、まず昇平と相性がよい利用者さんやスタッフのTさんを昇平の「相方」にし、その後、回収作業をやったことがないスタッフに仕事を教える、という形で昇平とMさんをまた回収作業で一緒にしたこと。
 「一度トラブルが起きてしまった相手とは二度と一緒にしないでほしい」とおっしゃるご家族もいると聞くのですが、わたしは、それはどうかな、と思っています。人と人とが関わっていく中でトラブルはつきものだし、トラブルのたびにその相手から離れていたら、そのうちにほとんど誰とも関われなくなる可能性がでてくる気がするので、「トラブルがあっても、対応やタイミングを見計らってもう一度良い関係に戻るチャンスを与える」のがいいだろうと思うのです。
 もちろん、相手がどうしようもなく嫌な相手であれば、それはすぐ離れたほうがいいのですが、Mさんのように、昇平のことを思ってあえて指導役を引き受けてくださってる方については、昇平が誤解を解いて、もう一度いい関係に戻ってほしい、と願っていたので、昇平がまたMさんと一緒に作業できたのは本当に良かったと思いました。
 昇平のほうも、「今日は○○さんに仕事を教えることができたのも良かったけど、Mさんとまた一緒に仕事ができたのが嬉しかったな」と言っていました。ついでに、○○さんは昇平のMさんに対する気持ちを聞き出してくれたようで、「もうちょっと優しく言ってほしい」というような昇平の要望がMさんに伝わる形になって、それもまた昇平の気持ちを落ち着かせてくれたようでした。

 個別懇談では、スタッフのTさんとMさんが対応してくださったので、率直に親の気持ちをお伝えしました。
 スタッフのほうでも、良かれと思ってしたことが裏目に出れば、きっと精神的にめげたりきつかったりするのだろうと思うのですが、昇平は上手に対応してもらったおかげで仕事への意欲を失わずにいるので、あまり気にしないでもらえたら、と思います。
 あれ以来Mさんと昇平が二人だけで回収作業する機会はまだありませんが、チャンスを見てそれもクリアしてくれたらいいな、と思っています。

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 個別懇談では昇平の成長したところもたくさん聞かせてもらえました。
 廃品回収で古新聞を台車に乗せて運ぶときに、新聞が崩れないように自分で工夫をして載せていたのを目にして、その成長ぶりに涙が出るほど嬉しかった、とおっしゃるTさんの話を聞いて、その事実も嬉しかったけれど、それを泣くほど喜んでくれるスタッフと巡り合えていることに、親として本当に嬉しく思ったのでした。
 些細な成長であっても、それを誉めて一緒に喜んでもらえると、昇平は自信をつけて伸びていきます。昨日できなかったことが今日できて、それを誰かに認めてもらえると、また伸びます。
 お盆に私の実家に帰省したら、実家の祖父や親戚から「昇平くんはすごく成長したね」と言われたのですが、本当にそうなのだろうと思います。仕事をするために、自分の周りを見たり、自分の役割や立場を考えるようになってきたのですから。

 「引き続きこれからもよろしくお願いします」とスタッフさんたちに言って、個別懇談を終えました。

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2016年7月20日 (水)

ちょっぴりへこんだ?

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↑事業所で経営するレストランに行ったら、看板に彼のイラストが貼ってありました。


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 久しぶりのてくてく日記更新です。

 昇平の訓練内容が、人参の皮むき作業から廃品回収の助手に変わって、そろそろ一カ月になろうとしています。
 ワゴン車を運転するA型の利用者や事業所のスタッフと二人一組で、福島市内の店舗などを回り、リサイクルされる古紙・雑誌やビニール袋などを荷台に積み込み、いっぱいになったら回収業者の事務所へ運んで、またその日予定されている店舗へ回収に向かう……という業務内容。
 今のところ、大きなトラブルもなく、行きしぶりや不満などもなく、安定して仕事に取り組んでいます。

 ただ、仕事の上での大きなトラブルはないけれど、やはりコミュニケーションの上では、組んでいる相手と意思疎通がうまくできなくて、へこんでしまうこともあるようです。
 昨日がそんな日だったようで、帰ってくるなり、「結果的には大丈夫だったんだけど、今日はトラブルがあって……」と報告してきました。
 話を聞いてみると、トラブルと言うほどのトラブルでもなかったのですが、言いたいことがうまく通じなかったり、状況がうまく把握できなかったり、また相手が親身になって注意してくれたことを否定されたと感じてしまったり、でちょっと落ち込んでしまったようです。
 とはいえ、昇平の偉いところは、帰ってくるときに事業所のスタッフに「でも、次は気をつけてがんばります」と言えること。
 家に帰ってきてからも、「次にチャンスがあったら、そのときに挽回しよう」と言っていました。

 致命的なトラブルではなくても、うまくいかないことがあると、なんとなくへこんでしまうのは誰もが同じ。
 仕事で組む相手も数人いるので、「この人はこういう人」「この人はこんな感じの人」と判断して、つきあい方を考えていくのも、大事な経験だろうな、と思います。

 それにしても、連日30℃を超す暑さの中、車で外を走り回って廃品回収をしていくのですから、なかなか大変なはず。
 それでも弱音を吐かずに毎日働く昇平は、顔も腕もいつのまにかいい色に日焼けしています。

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2016年6月17日 (金)

施設外就労訓練

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 ブルースカイ (撮影者:昇平)

 さて、前回の記事にも書いた施設外就労訓練が、今週から始まりました。
 前回は就労実習と書きましたが、かなり長い期間続きそうなので、実習というより訓練のほうがことばとして適切かな、ということで、ちょっと変更です。

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 今までの人参の皮むき作業も、事務所とは別の場所に作業場を借りて行う施設外就労訓練でしたが、事業所の利用者(障害者)以外に、専属のスタッフがついている状態で行われていました。
 今度の訓練は、専属スタッフはなし。同じ事業所のA型事業所の部門に所属する利用者とペアを組んで、福島市内の企業の店舗や工場を回って、古紙などの資源を回収して回る――というお仕事です。ちなみに、昇平は事業所の中の就労移行支援事業所という部門に所属しています。

 回収を行うワゴン車の運転はA型の利用者さんで、2人が日によって交代になるようです。昇平はその補助で、車に同乗していって、古紙や廃品を車に積み込むお手伝い。こちらは月曜日から金曜日まで昇平だけです。
 というのも、昇平はまず休まないから。
 この事業所に通うようになって、ちょうど1年になりますが、その間、事業所を休んだのは病院に通院する日だけ。それも、数えるほどしかありませんでした。
 事業所には公で決められた利用目標日数というのがあって、【1ヶ月の日数-8日】というのが原則です。つまり、30日までの月はそこから8日引いた22日の出勤が目標日数。31日まである月は8日引いた23日が目標日数になります。
 昇平はほとんどの月で、この目標をクリアして、さらに土曜日のイベントにも積極的に参加するので、おつりがくるくらいになっています。

 この「休まずに決められた日数をきちんと出勤する」ということが、就労には意外なくらい重要でした。
 まあ、考えてみれば当然ではあったんですが。
 どんなに有能な人材でも、明日来るかどうかわからない、今日休んで次の出勤が明日になるか来週になるか来月になるかわからない、という状態だと、雇用する企業の側でも採用をためらってしまいますものね。
 ちゃんと出勤日に出勤してきて、期待通りの仕事をしてくれること――それが就労にはとても重要な条件になります。

 昇平は休みません。遅刻もしません。
 仕事の間は怠けません。人参の皮むき作業も、最終的に誰より早く丁寧にむけるようになって、休みの人が出るとその人の分までがんばって働くような、真面目で積極的な勤務態度です。
 だから、今回新しく始まった回収作業でも、助手役として抜擢されて、月曜日から金曜日まで継続して関わることになりました。「いやぁ、人参作業のエースだった昇平さんを回収作業に引き抜いてしまいました」 とスタッフさんからは言われました。お世辞ではなかったような気がします。

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 ふと思います。

 なかなか理解してもらえなくて、「暴れて騒ぐどうしようもない奴だ」というレッテルを貼られ、やがて暴れる代わりに自己否定をするようになって、どんどん自分に自信をなくしていった中学時代。
 本当につらかったし、親も支えるのが本当に大変だったけれど、それでも昇平は最後まで不登校にならずに学校へ通い続けました。
 高校時代も、勉強は決して得意ではなかったけれど、「学校に行くことだけはできるから」と休むことなく通い続け、レポートも期限までにきちんと提出して、「やることはやる」という基本を身につけてきました。
 そんなふうに、自分にできること(=きちんと通う、やるべきことはやる)を積み重ねてきた結果が、今の就労支援事業所での昇平の姿なのかもしれません。

 父母会があるたびに個別面談も申し込んで、スタッフの方たちから昇平の様子を聞かせてもらうのですが、とにかく毎回、本当にたくさんの「褒めことば」を聞かされます。休まないことや真面目なことだけでなく、ちょっとしたことにも気が回るようになってきたことや、ユーモラスなことを言って場を和ませたり、皆の気持ちを盛り立てるような声かけをしたりすること、などなどなど……。
 それが、仕事の出来高という形になって表れ、月の終わりにいただく工賃という形でフィードバックされて、昇平はますます前向きになっています。
 回収作業にも、不安がることも嫌がることもなく、毎朝元気に出かけています。

 あのしんどかった時期にもがんばってきたから、今の昇平がいるのかもしれない。
 そんなふうにも思います。
 よくがんばってきたなぁ、と思うし、それは本人の努力と家族の支えだけでなく、私たちを応援してくださる大勢の方たちがいたおかげなんだとも思っています。
 このブログを読んで喜んでくださっているあなたも、昇平の応援団ですね。
 本当に本当にありがとうございます。
  
 感謝の気持ちを込めながら、新しい訓練についてのご報告でした。


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2016年6月 7日 (火)

元気に実習中

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火おこし体験イベントで


 すっかり間があいてしまいましたが、昇平も私たち家族も元気に過ごしております。
 私は先日のWindows10への強制アップデートで、ひとしきりパソコンの設定に苦労しましたが、そちらもなんとか快適にになって、一安心です。

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 昇平は引き続き、事業所の外にある作業所で「人参の皮むき作業」の実習中です。
 月曜日から金曜日まで、遅刻は絶対にしないし欠勤もしない。土曜日のイベントにも積極的に参加するという優等生ぶり。
 毎日毎日人参を工場へ取りに行って、皮をむき、また納品する繰り返しですが、「飽きた」「嫌になった」などと言うこともなく、熱心に作業に取り組んでいるそうです。
 昨日は、普段なら4人いるメンバーが昇平を含めて2人しか揃わず、担当のスタッフさんを含めた3人で必死に皮をむいて、時間内にみごと全部作業を終えたのだそうです。えらい~。

 そんなところへ、本格的な施設外実習の連絡が来ました。
 まだ、いつから始まるかははっきりしていないのですが、今度は常任スタッフがつかない状況で、A型のメンバーさん(昇平は就労移行支援のメンバー)と組んで作業をするようです。もちろん、事業所のスタッフさんが要所要所でしっかり目配りしてくださるのはわかっていますが。
 昇平自身は、「『きっとできるよ』と言ってもらえたことなら、やってみよう」という前向きな気持ちなので、新しい作業の話にも特に動揺することなく、落ち着いて待っています。
 新しい職場でも仕事の内容をしっかり覚えて、いい経験を積んでくれればいいなぁ、と思っています。

 一歩一歩、ゆっくりとだけれど、着実に前進している昇平。
 ここまでいろんな人たちに支えられ、応援していただいたおかげだと、心から感謝している毎日です。

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【写真】
 事業所のイベントで行った福島市の「宮畑遺跡ジョーモピア」での火おこし体験。
 なかなかうまくいかなくて、スタッフさんに手伝ってもらって、やっと火がついたそうです。

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2016年4月22日 (金)

人参皮むき作業の実習報告

Appleblossoms
福島は今リンゴの花が満開です


 昨日は昇平の事業所で父母会があり、改訂が続く障害者総合支援法の勉強会や会社の事業報告の後、利用者(この事業所ではメンバーと呼ばれます)の普段の活動の様子を撮影したスライドショーを見ました。
 今回は「人参の皮むき作業特集」。そう、昇平が今、毎日取り組んでいる作業です。

 事業所とは別の場所に事務所を借り、そこにテーブルや椅子を運び込んでの作業。
 みんな、専用の帽子をかぶり、マスクや手袋をして、衛生面に気を配りながら一生懸命ピーラーで皮をむいていました。
 もちろん、昇平もいました。普段メンバー4人とスタッフ1人の5人で行うそうで、メンバーは男女2人ずつが基本。人参は1日に200kgを扱うのだそうで、重たい人参のコンテナを車に載せたり下ろしたり、出来高払いなので、むき終わった後の人参を計量したり、また車まで運んだり……という力作業の場面で、昇平もがんばって働いていました。というか、ほとんどの場面に昇平が映っていました。重い人参もなんのその、真剣な顔で運んでいる姿がそこここに。

 ああ、そういえば、とてもつらかった中学時代とその直後に来た震災で、昇平は精神的にどん底に落ちたけれど、震災の後片付けで重い水やゴミを一生懸命運んでくれて、それを家族全員から感謝をされたものだから、「自分にもできることがあるんだ」と思って復活できたんだ、と自分でも話していましたっけ。
 自分は他の人より力がある、だから力仕事でなら役に立てる――そんな自覚が育ったから、実習の場でも自分から進んで運ぶ作業をやっているのでしょうね。
 あのときの経験がちゃんとここに生きていて、「自分も社会で働けるんだ」という自信につながっているみたいです。
 スライドに映る昇平の顔は、本当に真剣ないい表情をしていました。

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 スライドを観た後は、希望者が個別にスタッフと相談することができます。
 私は「昇平の実習の様子を聞きたい」と希望を出していたので、人参の皮むき作業を受け持っているスタッフのMさんから、さらに詳しい話を聞くことができました。

 人参は毎日200Kg扱っていること。

 昇平は作業がとても丁寧で、むき残しもないので、確認する必要などないこと。作業も早くなってきたので、昇平ひとりで60Kgくらいはむいていること。

 自分の作業の合間に他の人の様子も見て、人参がなくなりそうだと気がついたら、むき終えた人参を運んで新しい人参のコンテナを持ってきてくれたりすること。

 日によって非常にむきにくい形の人参や、傷みのある人参が来ることもあるけれど、「これをむかないと終わらないから、がんばってむきましょう」と率先して言って、チーム全体を前向きに引っ張ってくれていること。

 最近は持ち前のユーモアも発揮するようになって、面白いことを言って笑わせてくれる場面が増えてきたこと。なんでも、昇平は人参を取りに行く車の中で「今日の人参はむきやすいか、むきにくいか」を予想していて、それがけっこう当たるものだから、「明日からはぼくを納品担当だけでなく、人参の予想担当にもしてください」と言ったそうな。

 以前昇平が言っていたとおり、むき終えた人参を工場に納品するのも、本当に昇平の担当だったこと。手順通りにきちんとやって、受付の人にも丁寧に挨拶ができていること。納品書の記入も昇平がやっているとか。

 ……とまあ、他にも本当にいろいろ聞かせてもらったのだけれど、どの話も昇平が真面目に積極的に取り組んでいる姿を伝えていて、さらに、そのことで自信もつけてきているのがはっきりわかって、話を聞かせてもらいながら私も嬉しくて嬉しくて、笑いながら、最後には涙が出ました。

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 前にも書いたけれど、昇平は発達障害としてはやや重いものを持っています。
 だからこそ、小さい頃から丁寧に教えたり工夫をしたりして、少しずつ少しずつ、できることを増やしてきました。
 一筋縄ではいかなかったけれど、社会の中で生きていくことの重要性や、他人と協力することの大切さも教えてきました。昇平が一番最初に出会った他人・社会は、私たち家族でした。

 保育園や学校の先生方にも恵まれることが多くて、熱心に昇平に関わってくださる方が多かったです。
 そこで教えてもらった数々のことが、今の昇平の中に生きているのを、はっきり見て取ることができます。
 たとえば、丁寧なことばでしっかり挨拶をすること。これができるようになっていたから、納品のときにも受付の方にしっかり挨拶ができて、結果として好印象になっているようです。
 昇平に関わってくださったすべての先生方に、本当に感謝、感謝、感謝です。 

 昇平は月曜日から金曜日まで休まず出勤します。
 人参の作業をするメンバーの中で、これだけコンスタントに出勤できているのは、昇平だけだとか。
 「だから、もし昇平さんに休まれたら、納品の手順をわかる人がいなくなって、みんな困ってしまうんです」と、これはまあ、スタッフさんのヨイショでしょうが、それでも、少し責任ある仕事を任せてもらえているのは、安定した出勤状況のおかげかな、と思ったりします。

 事業所の方では、昇平がこの人参作業でしっかり力をつけたら、次はいよいよ施設外実習(実際の職場での実習)を、と考えてくださっているようです。

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 明日は土曜日なので、人参の皮むき作業はお休み。
 今月の出勤日数もクリアできそうなので、昇平は明日は一日休みにして、福島市内に遊びに行くそうです。
 「お昼は何にしようかな~」と昨日から楽しそう。
 平日はしっかり働いて、週末には自分で稼いだお金でささやかな楽しみを味わって。社会への一歩を踏み出しつつある昇平です。
 

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2016年4月12日 (火)

人参の皮むき作業と納品作業

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伊達市保原町薬師堂の桜 (2016.4.3撮影)


 福島県は今、桜が真っ盛り。
 ここ伊達市や福島市の平野部は満開を過ぎて花吹雪や葉桜だけれど、標高が高い郡山市・須賀川市・白河市は今が本当の満開、そして後を追いかけて会津の桜が見頃を迎えます。
 広い広い福島県、県内各地を巡るだけで、ずいぶん長く桜が楽しめます。


 さて、そんな花美しい季節の中、昇平は毎日元気に就労移行支援事業所に通っています。
 利用を初めてすでに8か月あまりが過ぎ、事業所のやり方にもだいぶ慣れてきたので、3月の末からは作業時間が長くなりました。
 今までは水曜日と木曜日が半日でしたが、午前10時から午後4時頃までの終日に。
 作業内容も、タウン新聞のポスティングはひとまず終了して、月曜から金曜まで人参の皮むきになりました。

 連日終日同じ作業の繰り返しになるので、そのうちに飽きてしまわないか心配したし、実際1週間過ぎたあたりで「毎日こう人参ばかりじゃなぁ」なんてぼやいたこともあったのですが、「毎日同じ内容をきちんとこなしていくのが仕事ってものだよね」と私が言うと、「そうか。じゃあ、がんばろう」と言ってくれました。

 遅刻欠勤なし、週末のイベントにも積極的に参加(おいしいイベントが多いので楽しみなようです)、土曜日の午後はハンバーガー屋さんなどに回ってお昼を食べてから帰宅し、日曜日は家でのんびりゲームを楽しんだり、家族と一緒に花見に出かけたり、となかなか充実した毎日を過ごしています。


 人参の皮むき作業はカット野菜工場の下請け作業で、皮をむいた後は納品も手伝っているというので、昨夜、少し詳しく聞いてみました。

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私 「人参の皮むき作業って、何人くらいでやるの?」

昇平「う~ん……3人か4人くらいかな。あとはスタッフさん」

私 「どのくらいの量の人参をむくの?」

昇平「かなりたくさんあるよ。このぐらいの袋(と両手で一抱えほどの大きさを示して)が10個以上かな。100キロ以上あるかも」

私 「そんなに!? それをみんなでむくんだ」

昇平「そういうこと」

私 「むき終わったら、どんなふうに納品するの? 人参は洗っていくの?」

昇平「うちらでは洗わない。ビニール袋をしいた箱に入れてね、車に積んで運んでいくんだ」

私 「それを積みおろししたりするのを、昇平くんが手伝うんだね。他に納品を手伝う人は?」

昇平「男性の利用者がもうひとりかな。作業所に来るのが女性が多いときには女性のこともある。その人は付き添いみたいな感じで、納品はうちがメインなんだ」

私 「ふぅん。どんなことするの? 人参の箱をおろして?」

昇平「扉を開けて冷蔵庫に運び込んで、紙にはんこをもらって――」

私 「え、なに? 本当に納品の手続き作業をキミがやってるわけ? 工場の人と?」

昇平「ま、そういうこと」

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 びっくり。
 納品を手伝うと言っても、人参の積み卸し程度の力作業なんだろうと思っていたら、いつのまにかこんなこともさせてもらっていたようです。
 確実にスキルアップしていたんですね。は~。

 作業の間には昼食と昼休みがあります。話すことが苦手な昇平は自分からはあまり喋らないけれど、他の人たちの会話をいろいろ聞いているようです。
 これもいい経験です。


 実際には、昇平は決して軽くはない発達障害を抱えています。
 できることとできないことの差が非常に大きくて、全体のレベルができないほうに引っ張られてしまっている状態なのですが、それでもこんなふうにステップバイステップで丁寧に支援してもらえば、できることがどんどん増えていくんだなぁ、と嬉しく思いました。

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2016年2月20日 (土)

就労移行支援事業所での様子

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 「二月は逃げる」と昔から言われますが、そのことわざ通り、もう2月下旬になってしまいました。
 あと半月足らずで雛祭りなので、部屋の片隅に雛人形も飾りました。

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 さて昇平ですが、毎日元気に福島市内の就労移行支援事業所へ通っています。

 「自分は講義やデスクワークより体を動かして作業をするほうが向いている」と当人が気づいたので、自分から積極的に作業体験を希望して、月曜日と金曜日は人参の皮むき作業、火曜日はタウン新聞の折り込み作業や得意のイラストを描く小作業、水曜日と木曜日はタウン新聞のポスティング、土曜日は講義かイベント、という感じで一週間が過ぎています。
 来週からは新たに市の外郭団体が運営する施設の清掃作業体験も入る予定です。

  作業実習をするとその分の工賃もいただけるので、月々の工賃が少し増えました。昇平の小遣いには充分なので、家計的に助かっています。
 小遣いの使い道は主に飲み物やおやつ、昼食を外で食べるときの補助。たまに私たち家族に菓子や焼き鳥を買ってきてくれることもあります。買ってもらうのではなく、買ってあげられることが、本人にはとても嬉しいようです。
 工賃を貯めて自分でゲーム機を買ったり、ゲームに使うポイントをコンビニで購入することもあります。
 あればあるだけ金を使ってしまうような人ではないので、割と安心して見ていられます。

 伊達市からは、就労移行支援事業所に通っている人に、「更正訓練費」という名目で交通費や必要経費の一部が助成されるので、そこから交通費分を出してもらっています。
 電車の定期を3か月単位で買うのですが、第三セクターの私鉄で発達障害には割引がないので、市からの補助は本当に助かります。

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 先日、事業所が開催した「父母と語る会」に参加して、担当スタッフのMさんから、最近の昇平の様子を伺うことができました。
 「昇平から毎日話は聞いているんですが、実際のところはどうでしょうか?」と尋ねたところ、「昇平さんは本当によくがんばっていますよ! 立派です!」という褒めことばが。

 朝出勤すると必ずスタッフルームに大きな声で挨拶をしていくし、帰りにも忘れずに挨拶をして、その日なにかあれば必ず報告をしてくる。自分でこれがうまくいかなかった、と思うことがあったときには、「今度からはこんなふうにしてミスをなくそうと思います」と自分から対策まで考えて言ってくる。そして、本当にそれを実行する。

 人参の皮むき作業も、むき残しなどはなくて丁寧。早くむき終わればそれだけ早く終了できるので、「それじゃスピードアップします!」と言って効率を上げることもできる。
 また他の人の行動を見て良い行動を真似することができるようになったし、他の人に何かやってもらったときには「ありがとうございます」と感謝することができている。
 皮むき作業の間、利用者のコミュニケーション能力を伸ばすために、スタッフが話題を投げかけるのだけれど、それにもちゃんと参加することができて、いろんな話を聞かせてくれる。
 むき終わった人参を納品するために、重い人参のコンテナを運んだり持ち上げたりする作業も、嫌がることもなくやってくれている。

 ポスティングのほうは配達先も含めてすっかり覚えてしまったので、今は先頭に立って配達をしている。
 先日は都合で2日分を1日で配達することになったのだけれど、それも問題なくやり遂げてくれた。(注:昇平はADHDの特性もあるせいか、予定変更には割と柔軟に対応できます)
 
 来週から入る清掃作業体験は、朝とても早く出勤しなくてはならないのだけれど、「大丈夫かな?」と聞いてみたら、「まあ、とにかくやってみます」という返事をしてくれた――。


 明るくて前向き。 そして素直。やるべき仕事はきちんとやるし、挨拶もしっかりできる。
 たくさん誉められたうえに、 「昇平さんは、ほんの少しのサポートさえあれば、何をやらせてもなんでもできる人ですから」とMさんに言われて、不覚にも私は目頭が熱くなってしまいました。
 昇平さんはなんでもできる人ですから――これまで昇平にそんなことばを言ってくれた人はいなかったから。
 昇平はサポートさえあればけっこういろいろできる、と私は思ってきたけれど、昇平をそばで見ている第三者からそれを言われると、やはり、本当に嬉しいのでした。
 
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 理解と支援、ポジティブな肯定と応援。
 昇平は就労支援事業所にも恵まれて、着実に力を伸ばしてきているようです。

 本当に、感謝感謝です。

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