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2016年12月18日 (日)

最近の昇平の様子

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 今朝の空


 昇平が通っている就労支援事業所では、毎月ご家族と語る会を開いているので、私は毎月出席して、事業所の方針や運営状況などを聞き、さらに個別面談も必ず申し込んで、担当の支援員から昇平の様子を聞くようにしているのですが、今月は残念ながらどうしても都合が合わなくて、出席することができませんでした。
 しかたがないので、私が昇平から聞いた話などを元に、昇平の最近の様子を報告します。


1)研修は今月も商品の仕分け作業でした
 先月に引き続き、ホームセンターの商品を店ごとにオリコン(折りたたみ式コンテナ)に入れて流す作業をやっています。作業にもだいぶ慣れてきたようで、曜日によっては仕分けたオリコンが流れてくる先で待ち構えて、貼ってあるシールを見て、行き先ごとの台車に積む作業もしているようです。
 オリコンを台車に積む作業のほうが重労働なのですが、昇平はそれ以前に廃品回収の研修をしているので、「こういう作業には慣れているんだ」と余裕の発言。箱の積み方などにルールがあるようなので、今はそれを覚えるのに一生懸命でいるようです。
 商品の仕分けの日には、流れてくる商品を眺めるのが楽しいようで、「ペット用の餌やおやつが特に面白いんだよ。ササミ入りなんとかとか、○○配合とか……人間も食べてみたくなるんだよ」。う~ん、確かに最近はペットの餌も健康志向だから、人間用にレベルが近づいているかもね。


2)体がいっそう引き締まりました
 約2年前、高校を卒業する頃の昇平は、身長173センチくらいで体重が81.6Kg。肥満度を表すBMIは27.8でした。標準BMIは22ですから、かなり太っていたわけです。
 その後、食べる内容や量に気をつけたり、筋トレなどの運動を取り入れたりして体重が落ちていきましたが、就労支援事業所で研修を始めてから、それがいっそう進み、力仕事をすることも多かったので、今朝の数値で体重69.8Kg、BMIは22.7でした。体重は12Kg近く減ったし、体つきもがっしり筋肉質になって、とてもたくましくなりました。
 だから、重いオリコンを台車に乗せ替える作業もこなせるのでしょうね。
 もちろん、仕事を終えて家に帰ってくると、第一声は必ず「疲れた~!!」なのですが、ご飯を食べてお風呂に入って、好きなゲームをして寝れば、また元気に「いってきます!」と出勤してくれます。
 若さもありますが、昔の体力のなさが嘘のようだなぁ、と思って見ています。


3)勤務時間が長くなってきました
 仕分け作業の研修があるのは火曜日から金曜日までなので、朝6時に起きて7時15分には家を出発、電車に乗って福島まで行き、そこから先は同じ研修先の人たちと施設の車に乗って研修先に向かいます。
 以前は午後3時までの作業だったのですが、彼らの仕事ぶりが認められたようで、「年末で出荷量が増えてきたからもう少し手伝ってほしい」と言われ、火曜日と金曜日は午後4時までの作業になったそうです。時間が延びるときには、事前に指導員から保護者に電話で連絡もありました。


4)土曜日はイベントの日
 土曜日は仕分けの仕事はなくて、事業所で1週間の振り返りをしたり、イベントに参加したりします。
 イベントもパソコンの研修を兼ねて年賀状を作ってみたり、クリスマスカードを作ってみたり、カラオケに行ったり、ミニゲーム大会をしたり。昨日はハローワークにも行ってみたそうです。「パソコンみたいな端末にいろいろ条件を入れて検索するんだけど、意外とないんだよ。全然ヒットしなかったこともけっこうあったんだ」とは、ハローワークから帰ってきた昇平の話。やはり、いくら障害者枠での就労を目ざしても、なかなか自分に合った職場を見つけるのは大変なようです。だから、こういう就労支援施設を利用して就職先を一緒に探してもらうんですけれどね。
 月曜日は原則として休みのはずなのですが、出勤日がその月の日数マイナス8日と定められているので、12月のように年末休みが入るときなどは月曜日にも出勤するようになります。
 月曜日に研修がない日はフリースクールに行くことにしてあって、本人もそれを楽しみにしているのですが、思ったようには行くことができずにいます。でも、それでも文句を言うことなく、仕事を優先して出勤するのだから、昇平は偉いです。(親馬鹿)
 土曜日と月曜日の起床や出勤時間は、仕分け作業の日より1時間遅くなります。


5)夜寝るときのこと
 昇平はもう21歳になりましたが、震災後に精神的に非常に不安定になったこともあって、いまだに夜は母の私と布団を並べて寝ています。
 自分だけの時間や部屋がそろそろ必要になっているのは見えているし、最近はずいぶん安定してきたので、こんなふうに一緒に寝るのももう少しだろうとは思っているのですが。
 先日、「そろそろ別に寝ようか?」と聞いてみたら、「え~」と言ってから、しばらく考えて、「もうしばらく、この形がいいな」と言います。
 というのも、夜、枕を並べて寝たときに、昇平のほうからその日いろいろ考えたことを私に話し、私がそれを聞いて返す、というやりとりがとても多いからです。
 内容は、社会に対する不安や他人に対する恐怖のことが多くて、「ぼくはこういう人たちは○○なんだと思うんだけど」とか「こういう人たちは△△だと思うんだよ」などと、本人なりにその不安や恐怖を乗り越えるために、あれこれ考えついたことを、私に確認してきます。
 でも、それがすべて正しいわけではなく――なので私は「そういうことを言う人って□□な気持ちなんだと思うよ」とか「世の中、そんな言動をする人はほんの一握りなんだよ。だって、君が今日、研修に言って帰ってくる間に出会った人のことを思い出してごらん? そんな過激な発言や行動をする人たちっていた?」などと、返してやります。
 そうすると、昇平は「え~?」と言い、時には涙ぐみ、時には腹を立て、でも、いろいろ話し合ううちに少しずつ事実の整理も進んでくるようでした。つまり、夜、一緒に寝る時間というのは、私が昇平の考えの混乱や偏りを「整理する」時間になっていました。


6)最近気がついてきたらしいこと
 「そろそろ別に寝ようか?」「え~、もう少し」というやりとりをした後、昇平はまたいろいろ考えたようで、こんなことを話してくれました。
 「ぼくは、これまで自分と違う考えの人をなんとか改めさせようとしてきたけれど、今はそんなことはする必要がないと思うようになってきたんだ。だって、人の考えは人それぞれでいろいろなんだから。だから、ぼくは自分が違うと思ったことを言う人のことは、そのままそっとしておいて、黙っていようと思うんだ。そのかわり、ぼくが自分で思うことにも、もうこれ以上あれこれされたくない。振り回されるのはもうごめんだって思うようになったんだ」
 もちろん、昇平はこんなにスムーズに話すことはできません。言いたいことばがなかなか出てこなくて、つまづいたり考えたり、途中で何度も同じ話を繰り返したり。だけど、根気強く耳を傾けていると、上記のようなことを話してくれました。
 昇平の一番の悩みは、ネットで、あるいは目に入るさまざまなメディアで、社会に対する不安をあおったり、人を傷つけるようなことばが平気で大量に書き込まれること。どうしてもそちらからの情報が強く入ってくるので、社会全体への不安や不信感につながってしまうのです。
 もちろん、以前、中学校で周囲とうまくやれなかった人間関係の失敗も、経験として追い打ちをかけています。
 そういうものを目にするたびに、昇平は「どうしてこんなことを言うんだ!?」「こんな奴らはいなくなるべきだ!」と腹を立て、「自分はこういう人たちに殺されるかもしれない」と恐怖にかられ、大丈夫かもしれないと思ったときにまたネガティブな書き込みを目にして落ち込む……ということを繰り返してきました。
 でも、ここに来てようやく、「そういう発言をする人たちも、実際にはそこまで深刻に考えてはいない」ことや、「人にはそれぞれの考えがあるんだから、自分と違う考え方であっても気にしない。スルーする」ことを考え、さらに、「だから、他人の意見に自分自身の気持ちを乱されたくない」と強く考えるようになったようでした。
 ああ、ここまでわかってきたんだなぁ、と思うと感無量でした。
 他人が自分と違う意見を言ったときに、それを我慢できなくて、なんとか自分の考えに合わせさせようとする「大人」も少なくないのが現実なのに。
 「偉いね。その考え方は本当に素晴らしいと思うよ」と言うと、昇平は満足したような様子で、そのままぐっすりと寝入りました。
 こういう考え方がしっかり自分のものになったときに、私と一緒に寝ることも終わりになるのかもしれません。
 きっと、彼自身から、「もうひとりで寝られるよ。もう大丈夫」と言ってくるような気がしています。 


7)天気だけが気になります
 こんな具合に昇平が落ち着いてきたのは、やっぱり事業所での研修が順調にいっているからです。
 「自分でもできる」「自分にだってやれる」ひいては「誰かの役に立っている」という実感と、それによってお給料(工賃)がもらえている、という事実。
 自分は社会の中でちゃんとやっていけるんだ、という実感が育ってきているのでしょう。
 それを途中でだめにしたくはないと思うし、休むことも遅刻することもなく皆勤を続けているので、それも続けさせていきたいと思っています。
 ところが、冬になって天候が急変する日が増えてきて、いきなり強風が吹いたり雪が降ったり、そうそう、大きな地震が来た日もありました。
 そうなると停まるんです、電車が。遅れることもしょっちゅうです。
 電車がだめならバスで、なんて言うこともできない、交通過疎地に住んでいるので、電車が使えないとなると私が車で彼を福島市まで送ることになります。そういう日は道路も混むので、研修の集合時間に間に合うかどうか、心配しながらの送迎になります。
 スマホに天気予報と電車の運行状況を知らせるアプリを入れておいて、天気の悪い日には緊急連絡が入るんじゃないかとハラハラしながら、毎日朝食を作っています。


 長くなりましたが、以上が最近の昇平の様子でした。
  
 

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コメント

ここだけの話ですが
長男次男は、中学に上がる時に二段ベットを買って
2人で寝るようにしました。
下のきのこは中3に上がるときまで私と寝てました。
散々言われましたよ、長男に
「僕もいっしょに寝てもいい?」と
これ、旦那には言えなかったんですよね。
今年20歳になりますが
やっと、言わなくなりました。
「どんだけ幼いんだ」と何度も思いましたが
どうも、寝る前のきのこと私のお喋りが羨ましかったみたいです。
子供って、いつまでもそんなものかもしれないですね。

投稿: さゆた | 2016年12月18日 (日) 17時05分

>さゆたさん

そうなんですよね。
幼いんです。

ただ、昇平の場合はやはり言語能力の発達も遅れていて、自分が言いたいことをしっかり言えるようになるのが遅かったし、社会性の発達も遅かったから、普通の男の子が小学生くらいの頃にやるはずのことを、もっと大きくなってからやっているんだと考えてました。

とはいえ、確かに別室でお母さんと妹が楽しそうにお喋りしながら寝てるのを聞いて、仲間入りしたいと考えるのも無理はなかったかもね。
それはそれで、とてもほほえましいことだと思います。(*^_^*)

投稿: 朝倉玲 | 2016年12月18日 (日) 21時06分

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