昇平3行日記・28+震災日記・5
※3行(以上)の記録で振り返る、震災後の4月の昇平の様子。詳細はブログ「そっと、ひとりごと」の大震災日記にて。
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4月11日(月)
今日で大震災から1カ月が過ぎたが、今日も夕方5時16分頃、いわき市でまた震度6弱の余震が起きた。本震や4月7日の余震よりは短かったものの、我が家でも地鳴りが響いて、家がかなり激しく揺れた。昇平はまたパニックになりかけたが、そうすると先日のように母がまたおかしくなると考え、「ぼくは冷静になる」と言って、本当に冷静になることができた。その後もかなり強い余震が頻発したが、そのたびに落ち着いて避難しては、「ぼく、落ち着いているでしょう?」と言っていた。昇平が言うには、「巨大地震よりも何よりも、お母さんが怒ることのほうが怖い」のだそうだ。まあ、それで冷静になってもらえるようになったのなら、結果オーライだろうか。(苦笑)
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4月12日(火)
震災の影響で昇平が高校に登校するのに利用するはずだった電車が不通になり、まだ復旧の見通しが立たないというので、バスで福島市まで通う練習をすることにした。我々が住んでいる場所は交通過疎地。電車もバスも都会の人には信じられないほど本数が少ないし、料金も高額なので、大人も子どももほとんど自家用車で移動している。そんな状況だから、昇平はもちろん、私もバスに乗るのは数年ぶり。その間に料金のICカードが導入されていたり、車両そのものが昔と変わっていたりで、昇平よりまず私がバスに慣れるための練習になってしまった。45分あまりかかって、無事に福島駅前に到着。当面バス通になることを考えて、窓口で昇平のICカードを購入した。昇平は精神障害手帳を持っているので、バスの運賃は半額、付き添いも1名まで半額になるので、ありがたい。
その後、公休で福島市内の病院に定期検診に来ていた旦那と合流し、一緒に昼食を食べたが、精算をしているところへまた強い余震。あわてて店の外に飛び出したが、店の従業員たちも、いつまでも続く余震に真っ青な顔をしていた。ただ、そんな状況の中でも、昇平は今日も落ち着いて行動をしていた。本気で冷静になることにしたらしい。偉い、と思った。
帰りは旦那の車で帰宅。夜は旦那も含めて3人で「マリオ・パーティ」。久しぶりに親子3人で遊べたので、昇平は大喜びだった。
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4月13日(水)
福島市で桜が開花。その一方で放射能測定結果が基準値以上になったというので、ここ伊達市を含む福島県東部~北部の露地栽培シイタケが出荷禁止になった。農業、漁業、工業、商業、自治体、教育……今回の原発事故で福島県が被っている被害は、あまりにも甚大だ。震災だけでもすさまじい被害額なのに、そこへ、原発事故という人災。現地にいれば、その被害額が気の遠くなるほど巨額だということは肌でわかる。原子力は「神の火」。人間の手ではとても制御しきれないものだったのだな、と改めて思う。
今日の午前中は、家庭教師のH先生の最後の指導日だった。つらく大変だった昇平の中学生活を、学習と心の両面で支えてくださった先生だった。いわゆる「先生づら」をしない先生で、子どもの気持ちまで降りてきて、親よりも身近な「年の離れたお姉さん」みたいな感じで接してくださるので、昇平もH先生が大好きだった。これからの指導に発達障害の視点が不可欠と考えていて、勉強後には私の経験談にも熱心に耳を傾けてくださったり、共に発達障害や子どもの育ちについて熱く語り合ったりしたので、私にとっても、とても楽しい時間だった。
発達障害を持つ子どもたちは、これからますますたくさん「認識」されるようになっていく。その中で、公立の教育組織だけではフォローしきれなくて、塾や家庭教師に指導を頼む家庭も増えていくだろう。H先生のような存在は、これからますます必要とされていくと思う。「何かあったら、またいつでも会いましょう」と約束して、昇平の家庭教師は終了となった。
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4月14日(木)
震災後初めて、親の会の支部例会があった。いつもの会場が使えないので公民館に場所を変え、とにかく集まれる人だけで良いから集まろう、と言って呼びかけたのだが、12人も集まって大盛況だった。今回から、支部代表職はTさんに譲って、私はアドバイザー役になったが、Tさんは全員に震災や近況を語ってもらって想いを吐き出してもらい、見事に支部をとりまとめていた。副支部長のSさんも、出席できないメンバーの所在と近況をがっちり把握。私は特に何も出番がなくて、とても嬉しい再スタートになった。
その間、昇平は落ち着いて留守番していた。強めの余震もあったのだが、その時にもちゃんと2階から避難してこられたらしい。
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4月15日(金)
暖かい一日。桜はどんどん咲いているらしい。
午前中、またパン焼き器でパンを焼き、昇平と一緒に焼きたてパンで昼食にした。おいしかった。
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4月16日(土)
午前中は晴れていたが、寒冷前線が通過したときに強風が吹いた。突風のような風だったので、あわてて洗濯物を取り込んだが、いわき市では竜巻も起きたらしい。こういう時期には天災も続くんだろうか?
昇平は、家の中ばかりで過ごしているので、かなり退屈している。夕方、一緒にスーパーへ買い物に行き、夜は旦那の帰宅が早かったので、一緒にマリオパーティをして遊んだが、運動不足も心配だ。
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4月17日(日)
昨日の天気が嘘のような快晴の一日。旦那が公休だったので、一緒に花見山まで花見に出かけた。
昇平は家の中でネットやゲームばかりで、すっかり不安定になっていたが、一面に咲き乱れる花を眺め、山道を上り下りして運動をして、帰りには回転寿司に回って外食もしたら、少し元気になったようだった。
何があっても春はめぐってきて、花は忘れずに咲く。私たちの人生もきっとそう。つらいことの後には、きっと良い時がめぐってくるから、それを信じていこう。――君にも、きっといいことがあるからね、昇平。
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以上をもって、「昇平てくてく日記3~中学校編~」は終了です。長い間、ご愛読ありがとうございました。
幸い、昇平が「みんな僕がやっていることを知って応援してくれるから、このまま日記を続けていいよ」と承諾してくれたので、引き続き彼の高校生活の様子も公開できることになりました。
この続きは、「てくてく日記4~高校編~」に載せていきますので、これからもよろしくお願いいたします。
2011年4月23日 朝倉玲
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