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2010年7月

2010年7月29日 (木)

高校へ通うために~昇平の受験勉強~

 夏休みに入って一週間が過ぎました。毎日本当に暑い日が続いていますが、昇平も私も、他の家族も元気でいます。


 今年、昇平は中学3年生。受験生の夏は、夏期講習や受験勉強で忙しい時期なのだけれど、昇平の受験勉強は普通とは少し(いえ、かなり)違います。なにしろ、「高校に入るための勉強」ではなく、「高校に入ってから通い続けることができるための勉強」ですから。

 昇平が目ざしているのは単位制・通信制の私立高校。いわゆる五教科の入学試験はありません。素行に問題がなく、本人に学校で勉強する意欲があれば、それに応えてくれる学校だと聞いています。通信制なので、毎日学校へ通うわけではありませんが、本人の希望と状態に合わせて、学校へ通う日を多くすることができることも特徴です。
 昇平の場合、学校へ行くのが週に一日だけとか、月に数日だけ、という一般的な通信制高校では、学校の日数が足りません。本人は「学校へ通えない」のではなく、「緩やかなスケジュールの下で、自分に合ったペースで学校に通って学ぶこと」を求めているのですから。

 親としても、学校の中や、その登下校の間に経験することが、すべて彼を成長させると考えています。自分で駅まで行くこと、駅から一人で電車に乗ること、目的地で降りること、そこからまた学校まで自力で行くこと……途中でお弁当を買う、電車の待ち時間を店やゲーセンで過ごす、街中や電車の中で出会った人と上手に接する……体育の授業を受けるために、バスに乗って体育館へ行く、という、もうひとつの大きな課題もあります。
 もっと近い場所に、楽に通える学校があればいいのに、という考え方もありますが、私たちは、このくらいの課題があるほうが、本人の自立のためになって良いと考えています。自力で交通機関を利用して移動できるようになれば、そして、その中で出会う知らない人とうまく同席できるようになれば、昇平の「生きるための力」は格段にアップしますから。
 というわけで、この夏休みは、「入学するための勉強」ではなく、「入学してから学校に通うための勉強・練習」がメインになっているのです。


 今日は、電車に乗って福島駅まで行く練習をしました。
 「え、今頃そんなことを?」と驚かないでください。
 このあたりは路線バスも走らない場所で、最寄りの駅まで自転車でも20分以上かかるので、移動はもっぱら自家用車を使います。昇平も、物心ついたころから、ずっと車で移動してきて、公共交通機関を利用したことがほとんどありません。まずここから教えてあげないと、自力で高校に通えないのです。

 家から駅までは自家用車で行きましたが、これは、彼がもう自分だけで自転車で駅まで行けるようになっていたから。中学になって自転車通学をするようになってから、自分で町中のあちこちへ行くようになって、駅のすぐ近くまでも行けるようになりました。「運動になるから」と、片道30分以上かけて歩いていくことさえあります。本当にたくましくなりました。

 まず、メモ帳に駅の見取り図を書いて、電車に乗る手順を図と文字で教えてから、実際に駅の券売機で切符を買ってもらいました。今まで電車になんて、数えるほどしか乗っていない昇平です。少しまごつきながらも、無事に切符を買いました。
 電車に乗ってからは、通学に定期券を使うこと、それを利用すれば、いつでも(学校のない日でも)自由に福島市まで行けることを教えました。昇平は、福島の駅ビルや駅前でしょっちゅう遊んできたので、これには大喜び。併せて、単位制・通信制の高校の勉強の仕組みなども、改めて教えたのですが、「高校ってすごく自由な感じがするね」と喜んでいました。
 そろそろ自立したい年頃になってきた昇平です。「自分の力と判断に任されるようになる」ことに、不安より、嬉しさや期待の気持ちをふくらませたようでした。

 福島駅に着いてからは、昇平自身の希望で、志望校まで歩きました。以前通ったルートを半分くらいは覚えていたので、もう一回歩けば、きっと大丈夫になるでしょう。
 学校の前で引き返して、駅ビルに戻ってからは、昇平はゲーセンへ、私は本屋へ。その後、マクドナルドで昼食を取って、(昇平はお目当ての「サトシのピカチュウ」たるものをDSにダウンロードしていました)、もう一軒別の書店へ回って、また電車に乗って帰路につきました。
 ただそれだけのことでも、昇平には、いろいろなことが新鮮な経験と喜びだったようです。きっと、高校というものと直結したことだったからでしょう。


 これからも、折を見て、福島市まで電車で出る練習をしていく予定です。
 電車を乗り過ごしたり、何か困ったことが起きたりしたときにどうしたらいいか、電車の中や街や店では、どういうマナーを守らなくてはならないか、実際に彼と一緒に行動しながら教えてあげなくてはならないことが、たくさんあります。
 高校入学までにそれを教えて、実際に高校が始まったときには、自信を持って電車通ができるように、そして、高校で勉強することに専念できるように、なっていてほしいと思っています。

 本当に世間様とはかけ離れている受験勉強ですが、生きていく力を身につける場としての高校であってほしいと思うので、我が家ではこれからもずっと、昇平のニーズ最優先でいくつもりです。


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2010年7月14日 (水)

面接練習開始

 今日はスクールカウンセラーのA先生との相談日だったので、中学校へ行ってきました。

 今回のテーマは、なんと言っても「面接練習の開始について」。前回の相談で、昇平が受験に不安を感じていることを話したところ、「早めに準備を始めましょう」ということになって、受験科目である面接の練習をすることになったのです。

 面接の練習と言っても、受験のためだけのものではなく、将来社会に出るときにも役立つような、また、昇平自身が自分を知っていくためのステップになるような、そんな場にしたいのだ、とA先生からまず話がありました。
 昇平の特性についても、A先生はいろいろ配慮して計画してくださっていて、「毎回、昇平くんの姿勢の写真を撮って、本人に確認させてあげたいのですが、よろしいですか?」と聞かれました。視覚認知優勢の昇平に、自分がどう見えているかを客観的に認識させるための練習ですが、同時に、「昇平くんなら、そういう場面の途中で姿勢が崩れるようなことがないでしょうから、自分の良いところを知っていくチャンスにもしたいのです」と説明がありました。おぉ!
 いくら視覚認知がすぐれていても、自分の「悪いところ」を見せられたら、誰だって面白くないし、やる気がなくなってきますものね。「ほら、こんなに良くできているんだよ」と見せられた方が、モチベーションは絶対に上がります。なるほど。

 「昇平くんには好きなキャラクターはありますか?」とも聞かれました。目標になることをがんばれたときには、表にシールを貼っていくようにしたいのだと言われて、即座に「ポケモンです!」と答えました。本人は今ポケモンに夢中だし、ポケモンの「進化形」を使えば、自分が上達しているとわかりやすいと思います、と答えると、先生のほうでもさっそくそれをメモされていました。
 そのうち、ポケモンバージョンのがんばりカードが登場するかもしれません。

 お母さんから面接練習に要望はありますか? と聞かれたので、昇平が自分の想いを上手に言い表せなくて、イライラしたり、自分に絶望したりすることがよくある話をしました。本当はいいたいことがあるのに、自分の中に、それをうまく言い表すことばが足りなかったり、適切なことばが、とっさに出てこなかったりするのです。それでもなんとかうまく話したいと思う余り、最近は話を「完璧に」言おうとこだわるようになり、途中で話に詰まると「俺はどうしてこう話が下手なんだ! 俺はダメだ!」と怒るようになっていました。
 そうではなく、話というのは、もっとフレキシブルでいいのだということを、本人が知ってくれれば、と思っています、という話をしました。A先生も、気持ちや想いを伝えるものには言語性のものと非言語性のものがあって、ことばがうまく出ないときには、非言語性のもので表現していいのだということを教えてあげたいと思います、と言ってくださいました。


 初めての面接練習は、私との面談が終わった後にありました。
 帰宅した昇平に「どうだった?」と聞いたら、「面接では姿勢良く座ればいいんだよ、って言われた」と教えてくれました。その声が自信に満ちていたので、ああ、良いところをほめられて、これからも頑張る気になったのだな、とわかりました。
 他にも、うまく言えなかったときには「間違いました」と言って、言い直せばいい、とも教えてもらったとのこと。さっそくこちらの要望も取り入れてもらえたのだなぁ、と嬉しくなりました。

 昇平の面接練習は、これからも月に1~2度の割合で続く予定です。私には10月頃に中間報告をしてもらえるとのこと。
 イベントのたびに大きく成長するのが昇平です。受験のための練習ですが、この練習を通じて、昇平はまたいちだんと成長していくのだろうな、と予感しています。これからの彼の変化が、とても楽しみになりました。


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2010年7月 9日 (金)

牧場ピクニック

20100704bokujou
 先週の日曜日、『とーます!』の親子ピクニックに行ってきました。
 行き先は、郡山市で経営している、石筵(いしむしろ)ふれあい牧場。広くて遊ぶところがたくさんある上に、危ない場所もないので、気に入って今年3度目の利用です。今年は8家族総勢17名が参加しました。

 到着してまず、施設の方の指導の下でバター作り体験。生クリームと牛乳を入れた容器をひたすら振ると、10分くらいで美味しいバターができあがります。その場でクラッカーにつけて食べるのですが、自分で作ったバターの味は格別でした。(右の写真、上から2枚目が容器を振る昇平、3枚目ができあがったバター)

 その後は、子どもたち同士で誘い合って「一緒にゲームやろうぜ!」「DSでマリオ大会だ!」と大はしゃぎ。テントの下に集まっていきました。
 子どもたちがあまり夢中なので、親たちも「まずゲームをやらないと落ち着かないみたいだから、お昼ご飯まで好きにやらせておこうか」とのんびり構えて、同じテントの下でおしゃべり大会。プログラム自体、子どもたちの特性に合わせて、緩やかで変更のきく内容にしてあったので、誰も文句も言いません。このおおらかさが、『とーます!』のピクニックの特徴です。(写真、上から4枚目)

 昼食はバーベキュー。その後は、牧場の中で、それぞれに好きな遊びをしました。面白自転車に乗ったり、牧場の動物たちに餌をやりに行ったり、馬に乗ったり……。
 牧場の真ん中には綺麗な小川が流れているので、子どもたちはそこでも遊びました。上流へ行ったり、下流へ行ったり、岩に上ったり、石で流れをせき止めてダムを作ったり。こういう場面を見ていると、この子たちは本当に子どもらしい子どもだなぁ、と改めて思います。好奇心のままに遊ぶ姿、楽しくて楽しくてはしゃぎながら遊ぶ姿は、子ども本来の自然な姿です。
 日本の子どもたちは、いつの間にこういう遊び方を忘れ始めたのでしょうね。この子たちは、羽目を外しすぎる、元気が良すぎる、と言われるけれど、変わってしまったのはこの子たちなのか、それとも「普通」と言われる大多数の子どもたちのほうなのか。休日にも子どもの姿がない近所の公園を思い出しながら、そんなことを考えました。


 ところで、写真の6枚目は水をかけ合って遊ぶ昇平と、友だちのT君です。楽しすぎたのか、T君、ばっしゃばっしゃと昇平に水を浴びせて、昇平は頭のてっぺんから足の先まで全身ずぶ濡れ。さすがにこれは怒るかな~、と思いながら眺めていたら、昇平が川から上がってきて、「お母さん、これ持ってて」と眼鏡を外して差し出しました。
 実は、1カ月ほど前、同じ『とーます!』の勉強会の際に、託児室で昇平とT君は些細なことから大喧嘩になって、ボランティアさんや双方の親も関わって、感動の仲直りをしたいきさつがあります。「今回は絶対喧嘩をしないで、仲よく遊ぶぞ!」と昇平なりに決心していたようです。
 小川に戻った昇平は、前より派手に水をかけ合って、二人とも笑顔のままで水遊び終了。その後、太陽に照らされて、濡れた服も乾きました。「楽しく遊べてよかったね」と昇平に声をかけると、「ぼくが仲よく遊ぶ努力をしたおかげだよ」と答えました。
 仲直りできるすばらしさ。仲よく遊ぶことの楽しさ。その努力をして、本当に楽しい時間を過ごせたときの、達成感と嬉しさ。ピクニックは昇平に、とても良い勉強をさせてくれたようです。


 遊んで遊んで、食べてしゃべって笑って。子どもも大人も大満足して、今年のピクニックも終了しました。
 来年も、親子で楽しい時間が過ごせるといいなぁ、と思います。
 

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