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2009年4月10日 (金)

パニックの後の明るい顔

 水曜日にパニックを起こして学校を早退した昇平ですが、非常に珍しいことに、夕方に昼寝をしました。やはり慣れない環境でがんばって疲れていたのでしょうね。目を覚ましてからもおとなしく過ごしていたのですが、そこへ担任の長谷田先生から電話がかかってきました。
「長谷田先生が心配して電話をかけてきてくれたよ。やっぱり疲れていたんですね、ゆっくり休んで、明日また元気に学校に来てくださいね、って言ってくれていたよ」と電話の後で昇平に教えると、ずっと沈みがちだった昇平の顔が、ぱっと明るくなりました。
 翌朝には、「部活は無理かもしれないけど、がんばって授業は受けてくるからね」と登校していきました。


 その日は親の会の支部例会があったので、午前中、私は隣町の保健センターに出かけました。会のお母さんたちと今年度の計画を打ち合わせ、見学に来た新しいお母さんの話を聞き……。
 そこへ、いきなり学校から携帯に電話がかかってきました。昇平がちょっとしたことからまたL子ちゃんと口論になってパニック状態になり、だいぶ落ち着いてきたものの、学校から帰りたいと言っている、という内容でした。昇平も電話に出てきて、「お母さん、ぼくもうこの学校にいたくない――」。
 でも、話を聞くと、口論のきっかけも内容も大したことではありません。ただ、昇平がL子ちゃんのすることを気にしすぎただけ。話しているうちに、昇平がまた興奮して怒りだしたので、「もっと落ち着いてからまた電話をして話してちょうだいね」と言うと、「うん」と答えました。長谷田先生にもそのように伝えて電話を切ったのですが、結局、電話はかかってきませんでした。

 その後、いつも通りに帰宅した昇平は、いつも以上に明るく元気な顔をしていました。連絡帳を見ると、電話を切った後から落ちつきを取り戻して、L子ちゃんに謝ることもできたし、その後の授業もきちんと受けて生活できたとありました。昇平が明るい顔をしていたのは、そうやって「挽回できた」自分が嬉しかったからなのですね。私も「最後まで学校をがんばってこられたね。偉かったね」と誉めました。
 その後も昇平はずっと上機嫌で、積極的に宿題や家庭学習を片づけ、ゲームやパソコンをとても楽しそうにやっていました。


  ☆彡☆彡☆彡☆彡


 二日に渡って昇平が見せた明るい顔は、同じものから来ているな、と思いました。
 失敗を乗り越えて、また前向きになった気持ちが作る表情です。

 失敗は誰でもするものだけれど、この子たちの場合は、普通以上に失敗する回数が多くて、「ああ、またやってしまった」「どうして自分はこうダメなんだろう」とくよくよしてしまいます。でも、落ち着けばちゃんと謝ることができるし、きちんと勉強したり生活したりすることもできるようになる――。そういう「やり直せる自分」を感じることで、昇平の自尊心は守られたのですね。
 もちろん、それは、担任が昇平の失敗を責めずに再チャレンジを促してくれたおかげです。新しい担任に替わって、昇平は内心ドキドキでいたわけですが、今度の担任も自分を認めて支えてくれるんだ、ということを感じたのでしょう。今朝もまた、元気に登校していきました。
 ありがたいなぁ、としみじみ思いました。


 水曜日の電話で、長谷田先生がこうも言ってくださいました。
「お母さんからいただいた昇平くんのプロフィールは、学年の先生方みんなに配ることにしました。今年、2年生のクラスは特支学級と同じ階にあります。学年の先生たち全員で見ていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします」
 こ、こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします! 
 返事をしながら、学年の先生たち全員で――ということばに、また感激してしまいました。

 新年度。
 中学校も昇平も、確かに前に向かって進み出しています。


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