3月(3)~卒業式

※このブログは「てくてく日記3」(中学校編)に移動しました。

3月17日(月)

 いよいよ今週で小学校が終わる。本当にいろいろなことがあったけれど、過ぎてみればあっという間。でも、楽しくて充実した小学校時代だった。昇平にとっても、私にとっても。

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3月18日(火)

 兄ちゃんは土曜日に家を離れて、4月からは大学生になる。昇平は「もうすぐ兄さんとお別れなんだね」と言いながら、毎晩兄ちゃんと遅くまでゲームをしている。なんとなく「遅いからもう終わりなさい」と言えなくなっている母……。

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3月19日(水)

 今日は小学校の終了式だった。学校の荷物もすっかり持ち帰り、卒業アルバムも渡されてきた。ゆめがおか学級で作った、1年分のアルバムも。6年生になったばかりに比べると、卒業近い最後の頃には、顔も体も引き締まって、ぐっと大人っぽい雰囲気に変わっている。身長も伸びた。実際、私にあと5センチ足らずのところまで迫っていて(私は162センチ)、並んで立つと圧迫感。中学1年生のうちに絶対に抜かされそうだ。

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3月20日(木)

 兄ちゃんとゲームをしている途中、突然画面が不穏な動きを始めた。誰も操作していないのに次々とコマンドが出る。「お母さん、これってどういうこと!? 壊れたか!?」と焦る兄ちゃん。自分の小遣いで買ったばかりのゲーム機だから無理もない。すると昇平、周囲を見回して「兄さん、これが原因じゃない?」と誰も使っていないコントローラーを指さした。兄ちゃんがクッションの下敷きにしていたので、そこからコマンドが飛んでいたというわけ。
 昇平がそんな状況で兄ちゃんにつられて焦ることなく原因を見つけ出したことに、母は感心していた。

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3月21日(金)

 卒業式。昇平はとうとう6年間の小学校課程を修了した。
 式の間、昇平は皆と同じように静かに座り続け、校長先生から立派に卒業証書を受けとった。
 6年生と5年生で歌い上げた二重唱「スマイルアゲイン」には、ただただ涙。

 ♪Smile Again Smile Again
  うつむかないで
  Smile Again Smile Again
  笑って見せて
  Smile Again Smile Again
  どんなあなたも みんな好きだから♪
(「スマイル・アゲイン」中山真理作詞・作曲)

 保護者席から見ていたら、昇平は他の子たちと一緒に大きな口を開けて、しっかり歌っていた。
 本当にいい小学校生活だったね。とても充実した、素晴らしい小学生時代だったね。

 式の後、協力学級の6-2へ行き、全員で記念写真を撮ってから、昇平とL子ちゃんはゆめがおかの教室へ行った。原先生や西尾先生、二人の親が見守る中、卒業証書や記念品をドウ子先生から受けとり、最後にドウ子先生からのプレゼントとして本を読んでもらった。「本がプレゼントじゃなくて、本を読むことがプレゼントなの?」と言う子どもたちにドウ子先生が見せてくれたのは、『おんちのイゴール』(きたむらさとし/小峰書店)という絵本。こんな物語だった。
 カラスのイゴールはものすごい音痴。どんなに努力しても、歌の先生について練習しても全然うまくならない。失望したイゴールは、もう一生歌なんか歌わない、と決心するけれど、他の鳥や生き物たちが楽しそうに歌っている様子がつらくて、誰も住まない砂漠に暮らすようになる。ところがある日、あまりに美しい夕日にどうしても歌いたくなって、誰もいないのを確かめて思いきり歌ってみると、それを大きな鳥が聞いていて、「君の歌はおんちじゃなくて、個性的なんだよ」と言い、一緒に歌ってくれる。その鳥の歌もやっぱり個性的。二羽の鳥は友だちになり、自分たちの個性的な歌を聴かせるために世界に旅に出る……。
 そして、ドウ子先生は「イゴールのいいところって、どんなところだと思う? 先生はこう思うな」と言いながら、イゴールの長所を書いた紙を見せてくれて、次に「先生は昇平くんやL子ちゃんのいいところをこんなふうに思うよ」と、子どもたち一人ずつにもカードを渡してくれた。表紙には子どもたちの笑顔の写真が貼ってあって、「昇平くんの(L子ちゃんの)いいところ」と書かれていた。中には、昇平の長所が4つ。

 ・さいごまでやり通す。  ・集中力がある。  ・ゲームやキャラクターの絵がうまい。  ・想像力がゆたか

 本当にもう、何も言うことができなかった。
 大勢の中では先生の話や指示が聞き取れない、周りの子が何をしているのかわからない。その特徴がわかっていたから、入学するときから「彼にわかる、安心して過ごせる学校生活」を求めて、特別支援学級のゆめがおかを選んだ。丁寧な指導の中で昇平の心や学習を伸ばしてもらいたかったから。だけど、正直、ここまで素晴らしい指導を受けられるとは、想像もしていなかった。
 昇平は1年生から3年生までの間に森村先生に基礎をしっかり作ってもらい、4年生から6年生までの間にドウ子先生に高学年としてぐんぐん引っ張って伸ばしてもらった。その抜群のコンビネーションの中で、学習面も社会性もセルフエスティームも大きく伸ばしてもらえた。本当に恵まれた幸せな子だと思う。そういう星回りに生まれてきているのかもしれないし、それは母親である私がそういうものを周囲に求めて努力してきた結果なのだと言ってもらえることもある。そんなふうに言ってもらえれば、私もやっぱり嬉しい。
 昔、「誰も私たちを助けてくれないんです」と専門家相手に訴えたときに、言われたことばを思い出す。
 「助けてくれる人たちは必ずどこかにいるんですよ。すぐには出会えないかもしれません。でも、求め続ければ、必ずいつか出会えます。だから、お母さん、あきらめないで求め続けてください」
 本当にその通りだったなぁ、とつくづく思う。

 最後の最後に、他に誰もいないところでドウ子先生に個人的にお礼を言った。本当によく指導してもらえたことを感謝すると、「でも、昇平くんに関しては、とうとうここまでやりとげた、という気持ちが半分、もっと昇平くんに合わせた別の指導ができたんじゃないかという後悔の気持ちが半分なんです」とドウ子先生がおっしゃった。そのことばで、また胸がいっぱいになった。そんなふうに、「もっと良い指導があるのでは?」と試行錯誤して子どもと向き合うことこそ、最高の特別支援教育なんじゃないだろうか、と思った。最高の指導法という「答え」があるのではなくて、それを目ざす「過程」そのものが本物の教育なのだろう、と。
 「もし、昇平にやり残したことがあると思われるなら、それは他の、昇平に続くお子さんたちにやって上げてください。昇平はもう100パーセント以上のものをいただきましたから」とドウ子先生にお話しした。涙がこぼれて止まらなかった。
 昇平は幸せな子だ。本当に本当に、幸せな子だ。
 昇平にその幸せを6年間欠かさず与え続けてくれた先生方と小学校に、心から感謝。

 そして、今年度いっぱいで、3年あまり昇平たちを助け続けてくださった介助の西尾先生が退職される。昇平たちが卒業して教室の人数が減ってしまうからだろうか。今度はまったく別の仕事に就かれると、ちらっと聞いた。もったいない! と思った。学校での介助というのは、とてもさりげない気配りがたくさん必要になるのだけれど、西尾先生は、子どもたちの自主性を尊重しながら上手にサポートして下さる素晴らしい方だった。昇平たちが卒業してからも、子どもたちや先生たちを支え続けてもらいたかったのだけれど……。ここまで昇平を支えてもらったことに感謝しながらも、これに関しては本当に残念でしかたなかった。

 さまざまな想いを胸に、昇平は小学校を卒業した。
 4月からは中学生。どんな学校生活が始まるか、楽しみと不安が入り混じってはいるけれど、また良い出会いがあることを願っている。

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3月22日(土)

 今日は兄ちゃんが関東の大学に行くために、アパートへ行く日。荷物は一足先に送ってあったが、残りの荷物を自家用車に積んで、家族四人で引っ越しに行った。片道3時間半の長時間ドライブだったし、不動産屋で手続きしているのにもずいぶん時間がかかったけれど、昇平はずっとおとなしく座っていた。アパートでは家具の組み立てのアシスタントをしたり、窓にカーテンを掛けてくれたり、買い出しに行った私と一緒に山のような荷物を持ってくれたり、と大活躍だった。こんな姿にも、本当に大人になったなぁ、としみじみ感じた。
 兄ちゃんのアパートは狭いので、私と昇平は隣駅のすぐ目の前のビジネスホテルへ。インターネットのできるホテルなので、家からノートパソコンを持っていって、昇平はネットでリラックスしていた。

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3月23日(日)

 引き続き兄ちゃんの引っ越しの手伝い。大型家電品が運び込まれたり、細かい品々を荷ほどきしたり、自転車や足りないものを買いに行ったり。だいたいの準備を終え、兄ちゃんをアパートに残して現地を出たのが夕方6時過ぎ。帰宅は10時半。昇平は夕方にはもうくたくたで、車の中では眠ってしまっていた。帰宅した後は、すぐにパジャマに着替えて布団へ。お疲れ様。本当によくお手伝いしてくれたね。
 こういうことを連絡帳でドウ子先生にお知らせすることも、もうできないんだな、と思ったら、なんだかすごく淋しくなった。ドウ子先生がここを読んでくださっていたらいいな。

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 そして。
 昇平がいよいよ中学生になるのに当たって、4月からこの日記もまた新しいブログにしようと思います。
 タイトルは「昇平のてくてく日記3」。
 ……はい、内容的には全然変わらないだろうと思います。(笑) 「てくてく日記」が保育園~小学校低学年編、「てくてく日記2」が小学校高学年編、そして「てくてく日記3」が中学校編、ということです。
 新しいブログがスタートしたら、HPアサクラ・タウンやHPしましま島、療育掲示板等でお知らせする他、この日記からもリンクを貼ります。
 今後とも、我々親子と「てくてく日記」をどうぞよろしくお願いいたします。
 

☆てくてく日記への感想等はこちらへ→ 「療育掲示板」

☆「てくてく日記3」(中学校編)はこちら→ http://ley.cocolog-nifty.com/tekuteku3/

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