やりくりのトレーニング
昇平は自立支援事業所で内職や施設外案件の作業に行って、毎月工賃をもらっています。
事業所からは交通費の補助も出るので、それは家に納めてもらっていますが、残りは彼がこづかいとして自由に使って良いことにしてあります。
銀行のカードは自分で持っていて、必要に応じて下ろしています。
家計簿やこづかい帳はつけていないのですが、毎月通帳の残高が一定額以下にならないように気をつけているようです。
昨年末、その一部を取り崩して、Nintendo Switchのゲームソフトを2本購入していました。
ところが、来月、どうしてもほしいゲームソフトが新しく出ることがわかりました。
「けっこうな金額だから、毎日の買物を節約する」と言い出しました。
事業所の工賃は決して多くないので、ゲームソフト1本を買うにしても、彼には大きな買物なのです。
ちょうど良い機会なので、聞いてみました。
「一日の買物代をいくらにすれば、来月ゲームソフトが買えると思う?」
「……わからない。考えたことがなかった」
通帳の残高を目安に使いすぎには気をつけていたけれど、「やりくり」というところまでは頭が回らなかった彼です。
そこで、事業所からの工賃明細を引っ張り出して、一緒に電卓を弾きました。
「これが1ヶ月の工賃だけど、ここから母に交通費をよこすよね」
「○○○○円だ」
「それを差し引くと、残りはこれだけ。で、来月出るソフトはいくら?」
「××××円」
「××××円も引いて、残金はこれだけでしょ? で、1ヶ月は31日あるから、31で割ると1日に使える金額は?」
「え~っと……」
「ああ、待って。君は毎月2回くらいゲーセンにも遊びに行くよね。その時のお昼代とゲーム代にはいくらくらいかかってる?」
「お昼代で千円くらい。ゲーム代は……千円以内かな」
「じゃあ1回2千円として、それが月に2回だから、4千円マイナス。それを31日で割ると、1日の買物代は?」
「500円くらいか……じゃあ、300円から500円の間で収めるようにする」
平日の昼食は家からお弁当を持って行くので、日々のこづかいの使い道は、飲み物やおやつ、帰りがけに回るファーストフード店での飲食代です。
1日500円以内とすると、たいしたものは買えないはずですが、それも必要な物を手に入れるためのトレーニング。
がんばって節約して、ぜひ来月、ほしいソフトを手に入れてもらいたいと思います。
◇親サイトはこちら →「アサクラタウンへ、ようこそ!」 http://asakuratown.sets.ne.jp/
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