2012年5月16日 (水)

火の山温泉紀行・5「赤の魔法使い」

 「フルート」シリーズでは、ほぼ毎回、主人公の一行以外に、「その話の中心人物」が登場します。例えば、「フルート5・北の大地」ならばロキ、「6・願い石」ではオリバン、「12・一角獣伝説」ではセシルといった具合です。
 今回の「18」の中心人物は、もちろん赤の魔法使いでした。本名はモージャ。子どものように小柄で、つややかな黒い肌に縮れた短い黒髪、猫のような金の瞳のムヴア族……という設定になっています。

 実は、この赤の魔法使いにはモデルがありました。私が大学生の頃に書いたSF小説の登場人物の転用です。
 やはり小柄で無口。いつも大きな帽子をかぶっていて、その陰からじっと仲間たちのすることを見ている、得体の知れない人物――という設定でした。魔法は使えませんが、機械の天才で、宇宙船も一人で直してしまいます。
 オリバンやセシルも、実は別のファンタジー小説のヒーローとヒロイン。その小説の設定は、オリジナル版の子ども向け「フルート」に合体吸収されて消滅しましたが、キャラクターたちだけは形を変えて、「フルート」の中に出てきています。
 そうそう、そういえば、エスタ国のシオン大隊長と、最近は出番がないけれど、白いライオンをお供にした黒い鎧のオーダ。この二人も、やっぱり吸収されたファンタジーの登場人物でした。二人ともオリバンの家来だったんですけどね……。変わってしまうものだわ。(笑)

 今回の「18」で、ロムド城の四大魔法使いについては、ひととおり書けたかな、と思います。彼らがロムド城に来ることになったいきさつも、だいたい書けました。――一人、白さんだけを除けば。彼女が魔法軍団の長になった物語は、そのうちまた機会があったら書きたいと思います。
 フルートたち勇者の一行を書くのも、もちろん楽しいのですが、ロムド城の四大魔法使いも仲がよいので、彼らを描くのもとても楽しいのでした。

 さあ、今度の外伝では誰が登場してくるでしょう?
 来週末くらいまでには書いて公開できれば、と思っています。


 ということで、大した内容もありませんでしたが、今回の裏話はこれで終了です。
 おつきあいありがとうございました。

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2012年5月14日 (月)

火の山温泉紀行・4「物忘れ」

 今回の裏話はネタバレはありません。
 最近、私の物忘れがひどくなっている、という話。「18」連載後半から悪化してます。

 いやぁ、なんなんでしょうね、本当に。
 覚えていなくちゃいけないことを忘れる。
 約束していたはずなのに、記憶から抜け落ちている。
 時間が経つと、なおさら物忘れは激しくなって、「いっさい記憶にございません」状態。なんか、軽い記憶喪失になっているような感じです。
 まだ物忘れ外来に行くような年齢じゃないはずなんですけどねぇ。

 今日も、この裏話を書くのをすっかり忘れていて、たった今、「あっ、そうだった!」と思い出して書き始めた次第です。
 大丈夫か、私???(汗)

 人に言わせると、私はあんまり忙しすぎたために、キャパシティオーバーに陥っているんだそうです。自分が壊れてしまわないために、重要ではないことからどんどん忘れているのだ、と。
 確かに、忘れてしまったら致命的になるようなことは忘れませんが、でも、けっこう大事だったことも忘れているのは事実なんですよねぇ。休養したら、ちゃんと元に戻るかしら。

 というわけで、物忘れでご迷惑をかけていたら、すみません。たぶん、次の連載開始までにはもう少しマシに――

 って、今思い出した! くらげさんから完成祝いの画像をいただいていたのに、まだアップしていない~!!
 きゃー、くらげさん、ごめんなさいっ! 明日にはアップしますね!

 言っているそばから、このていたらく。
 う~ん。本気で気をつけなくちゃ。(><)

 明日はくらげさんの新作イラストをご紹介します。

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2012年5月13日 (日)

火の山温泉紀行・3「火山について」

 これはファンタジー小説「フルート18・火の山の巨人の戦い」の裏話です。この先には物語の内容に関する記述があるので、まだ本編を読んでいない方はご注意ください。


 毎度のことですが、「フルート」を連載する際には、かなりの資料を集めます。
 ファンタジーは架空の物語だから資料なんてほとんどいらないだろう、と思われるかもしれませんが、実際にはその逆で、架空の物語だからこそ、そこにリアリティを生むために、資料は必要不可欠だったりします。
 今回の舞台は、火の山と呼ばれる火山。山、火山、岩石、噴火……このあたりに関する本やサイト、動画をかなり調べました。今はもうだいぶ忘れてきましたが、一時はにわか火山マニア状態でした。(笑)

 それにしても、火山――というか、山って不思議ですね。
 関東や北海道の広大な平野の真ん中を除けば、日本全国どこでも目にするもので、こんなに私たちに馴染みが深いのに、その奥底の地面の中がどうなっているのか、いまだに正確には解明されていないんです。

 フルートたちは溶岩が噴き出してきた火道をまっすぐ下りて、マグマ溜まりを目ざしましたが、このマグマ溜まりが深層部でどんな形になっているのか、これも実はよくわかっていません。
 丸い形で溜まっているのではないか、とか、薄いシートみたいな形で地層の間に広がっているかもしれない、とか。
 フルートたちがたどり着いたマグマ溜まりも、実は薄いシート状の形態を考えていました。薄い、と言っても山の大きさや地面の深さから見ての話で、実際には高さ何百メートルとかあるだろうと思いますし、それが大河のように別の方向へ流れ流れて、他の火の山の火口にもつながっている、という設定になってます。

 ちなみに、そこに虫や苔、コーロモドモなどの怪物が棲んでいる――という設定は、さすがにオリジナルです。この地球上ではたぶん無理。ただ、地面の中のことはわからないから、ひょっとしたら、そのうちに、本当に地中深くに棲息する虫や植物が発見されるかも……とも想像しています。


 この後、火山に関する文章を書きたい、という方もあるかもしれないので、私が一番よく利用したネットサイトと動画のURLを載せておきます。


「火山学者に聞いてみよう」
 http://wwwsoc.nii.ac.jp/kazan/J/QA/topic/topicindex.html

youtube「世界の火山 1/3」
  http://www.youtube.com/watch?v=0CC-4LsUXuI

youtube「世界の火山 2/3」
 http://www.youtube.com/watch?v=YeD6F70RuBU

youtube「世界の火山 3/3」
 http://www.youtube.com/watch?v=jeRWzLTSD8o

 動画はフランスの火山学者クラフト夫妻が、危険を顧みず噴火口の間近まで迫って撮影した映像で、非常に迫力があります。「フルート18」における火山と溶岩の描写も、この映像がかなり参考になっています。
 クラフト夫妻は、1991年の雲仙普賢岳の火砕流に巻き込まれて亡くなられました。そういえば、あの時ニュースで、世界的に有名な火山学者も犠牲になった、と聞いたのですが、この方たちだったのか、と今さらながら知ったのでした。
 合掌。

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2012年5月12日 (土)

火の山温泉紀行・2「名前の意味」

 ああ、本当に温泉に行きたい!

 さて、「フルート18・火の山の巨人」の裏話2回目です。
 「18」に出てきた名前の意味について。
 では、お約束のお断りから。

 この先には物語の内容に関する記述があるので、まだ本編を読んでいない方はご注意ください。


 さて。


「南大陸の名前=スワヒリ語」

 南大陸独特の名称には、もっぱらスワヒリ語を使いました。出典はグーグル翻訳です。
 昔だったら、スワヒリ語の辞書を手に入れるだけで一苦労だったはずなのに、今はネットでちょちょいのちょい。便利な時代になりましたねぇ。
 で、実はこういう意味でした――。


モージャ moja …… 一人、一
 百年ぶりで生まれた猫の目の魔法使いだったので、(現在の)唯一の存在だ、という意味でつけられたようです。あとは長男だったから、というのもあるようです。日本語で言う「はじめ君」ですね。ひとりぼっち、というニュアンスもちょっと入ってます。


アマニ amani …… 安らぎ
 彼女はいろんな意味で安らぎの存在です。


ムパスコ mpasuko …… 裂け目
 大地の裂け目のムパスコは、本文中にも出てきたとおり、「裂け目」という意味でした。元のイメージは、アフリカ大陸中部にある「大地溝帯」。あれをぐーっと狭くしてあります。


シャーカ shaka …… 疑い
 赤の魔法使いを疑って、仲間を誘って火を放った奴です。


ウペンド upendo …… 恋
 ラストに登場してアマニにプロポーズした彼。残念だったね。新しいupendoを早く見つけてね~。


 ムパスコを流れるムート川のムート(mto)も、「川」という意味のスワヒリ語です。


 これに対して、先の炎の剣の主だったロズキや火の山の巨人のクフ、炎の剣の本当の名前のエンカなどは、昇平の考えてくれた名前リストから選びました。古代の人々の名前は(ユリスナイと十二神を含む)ほとんど昇平の考えたものになっています。エンカは「炎火」にも重なるな~、と思ってのチョイスです。

 次回の裏話は、「火の山」について。

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2012年5月11日 (金)

火の山温泉紀行・1「連載中の記録」

 久しぶりで「フルート18・火の山の巨人の戦い」の裏話を集中連載します。裏話というか、メイキングみたいなものですが。
 疲れたのでのんびりしたいな、という気持ちを込めて、タイトルは「火の山温泉紀行」。ああ、本気で温泉でのんびりしたいです!

 さて、今回はまず連載中にあったことの記録。
 物語の内容に直接関係していないので、ネタバレ注意の但し書きはしません。


○連載期間
 2012年1月1日~5月4日(4カ月と4日間)

 1月1年の零時から連載開始! と行きたかったのです。ただ、その時間帯は新年の挨拶で通信状態が悪くなることが多いので、実際にはちょっとだけフライングして始めました。公式には1月1日から開始だけれど、本当は2011年12月31日が初公開日です。


○1月にあったこと
・実家の郡山市へ帰省(1/1~1/3)
・二男の県民健康管理調査甲状腺検査(1/17)

 ご存じの方はご存じの通り、朝倉は家族と共に福島県伊達市に住んでいます。放射線の影響を正しく把握して、健康へのリスクを削減するために、18歳以下の子ども全員が甲状腺の検査(触診とエコー検査)を受けました。後日、「異常なし」の通知が来ました。


○2月にあったこと
・二男学年末試験(上旬)
・長男大学卒業決定、専門学校受験・合格・アパート探し開始(下旬)
・旦那職場で転倒して右足首骨折(2/27)
・旦那を病院と職場へ車で送迎(2/28~)

 子どもたちの試験関係がやっと落ち着いて、いよいよ長男の引っ越しの準備開始だ、と思ったところへ旦那が凍結したスロープで転倒して全治2カ月の怪我。毎日職場や病院(職場の近所)へ二往復する送迎が始まりました。


○3月にあったこと
・長男のアパート見学(3/1)
・親の会の総会(3/3)
・急性胃腸炎でダウンして寝込む(3/5~3/7)
・東日本大震災から一周年(3/11)
・長男の大学卒業式に参列(3/16)
・長男のアパート引っ越し手伝い(3/19~3/22)
・二男のホールボディーカウンター検査(3/27)

 旦那が当てにできなくなったので、私一人で電車を使って関東の長男のところへ行き、専門学校の近くにアパートを決めてきました。その後、親の会の総会、旦那の送迎と無理なスケジュールで動いていたら、急性胃腸炎でダウン。回復した後は、長男の卒業式に参列したり、アパートの引っ越し手伝いに行ったり。とにかく書けない状態の日が多かったので、3月中の「フルート」の更新はわずか2回でした。
 ホールボディーカウンター検査は、これも放射線の内部被曝量を測定するためのもの。こちらも後日、異常なしの結果が来ました。
 慌ただしい3月でしたが、それでも11日には無事に1年が過ぎたことを感謝しました。


○4月にあったこと
・急性胃腸炎で再びダウン(4/2~4/5)
・旦那、ギプスが取れて自力で運転できるようになる(4/18)
・フリースクール再開支援のK.W.さんを被災地へ案内(4/23~4/24)

 さすがに無理がたたって再びダウン。前回より長く寝込んでしまいました。
 下旬になって、ようやく旦那が自力で運転できるようになって、私は送迎から解放されました。一安心。
 フリースクールが被災したときにアメリカで募金活動を行ってくれたK.W.さんを、津波の被害を受けた沿岸部へご案内したりもしました。その時の報告を見たい方はこちらで。→ブログ「そっと、ひとりごと」


○そして5月
・二男と仙台へ遊びに行く(5/2)
・「フルート18」完結(5/4)

 内容的に、一気に書き進めて完成させたかった「18」でしたが、ダウンしたり忙しかったりで、結局4カ月あまりかかりました。無事に完成させられて、本当によかったです。

 完成後はしばらく呆けていましたが、そろそろまた書きたい虫が動き出しました。本日から、私が参加しているソーシャルゲーム「ニコッとタウン」で、ニコガチャ小説というのを短期集中連載します。ランダムで出現する無料のアバターアイテムを使って、ひとつのストーリーを作り上げていく、という「三題話拡大版」のようなもの。「あーにゃ」というニックネームで書いています。


 以上、こんな状況の中で、「フルート18・火の山の巨人の戦い」は書かれていたのですよ、という裏話でした。興味ない人にはまったくどうでも良い話なのですが、備忘的な目的も兼ねて、裏話の1回目にしました。
 次回は今回登場した「名前」について書こうと思います。

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2012年2月21日 (火)

「フルート」食べ物クイズ

 ただ今、図書館で借りた本を読んでいます。
 「世界の食材探検術~比較文化論 食糧・野菜編~」(吉村作治/集英社) これがなかなか面白い。
 今、私たちが普通に食べている穀類や野菜が、どういうルーツになっているのか、世界ではどんなふうに食べられているのか、昔はどうだったのか。筆者は考古学者なのですが、考古学を学ぶ上で「食べる」ことへの興味はとても大事なのだ、と断言しています。当時の人々の生活の様子を想像するのに、「食」はとても重要なのだから、と。
 私もそう思います。だからこそ、「フルート」の中にも、「食べる」シーンはしょっちゅう出てくるし、できるだけ美味しそうなものを描くようにしています。食べることは活動の基本ですからね。 (作者が食いしん坊だから、という理由のほうが、もっと大きいですが。笑)


 この本の中にはいろいろな作物が登場してくるんですが、これがまた「フルート」の料理を書くのに参考になります。試しに問題を出してみますので、「フルート」の舞台は14~15世紀くらいの世界が下敷きになっていると考えて、「○か×か」でお答えください。

【問題】
Q1.外伝18「ワイン売り」でリーンズが大工に勧めた鶏肉の煮込みはトマト味だった。

Q2.外伝14「ヒムカシの国」で、天狗に育てられていた一つ目小僧たちが食べたおかずに、「白菜漬け」はなかった。

Q3.「フルート17・マモリワスレ」で、オリバンやセシルたちは大砂漠を渡ったが、砂漠の中のオアシスには、ヤシの実から作る「ナタデココ」を食べさせてくれる露店があった。(※物語の中で、彼らはオアシスの町に立ち寄っていませんが……)

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【答え】
A1.× ヨーロッパにトマトが伝わったのは16世紀。地中海沿岸で本格的にトマトの栽培が始まったのは18世紀になってから。ロムド国は14~15世紀ヨーロッパがモデルなので、トマトはない。

A2.○ 白菜は古くから中国で栽培されてきたが、日本には日清、日露戦争の際に兵士が種子を持ち帰ってから広まった。日清戦争は1894~95年、日露戦争は1904~05年。ヒムカシの国に白菜は存在しない。(現実にも、20世紀までは日本人は白菜を食べていなかったということですね……びっくり)

A3.× 砂漠のオアシスにはヤシの木が定番だけれど、これは乾燥に強いナツメヤシの木。一方、ナタデココが作れるのは、熱帯に育つココヤシの木。砂漠では水が少なくて、ココヤシは育たないと思われる。ただし、オリバンたちがダラハーン隊長と出会ったジュナの街は雨が多いので、ここにはココヤシがあったかもしれないし、ひょっとしたらナタデココもあったかも。

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2010年3月24日 (水)

「勇者フルート」の話数とファイルサイズ・2

 以前、読者の一人から「かなりの話数になりましたよね」と言われて、全体の数とファイルサイズを数えたのは、「フルート14」の連載が始まって間もなくのこと。
 「14」が完結して、その外伝も書き上がったので、覚え書きとしてリストを更新しておきます。

☆各作品の話数とファイルサイズ

フルート0:  11話、0.11MB
フルート1:  41話、0.41MB
フルート2:  66話、0.70MB
フルート3:  65話、0.69MB
フルート4:  73話、0.82MB
フルート5: 106話、1.14MB
フルート6: 103話、1.27MB
フルート7: 104話、1.23MB
フルート8: 111話、1.32MB
フルート9:  86話、0.95MB
フルート10: 98話、1.07MB
フルート11: 98話、1.17MB
フルート12: 84話、0.92MB
フルート13: 92話、0.98MB
フルート14: 76話、0.70MB

フルート外伝: 58話、0.80MB

本編合計: 1,214話、13.48MB
本編+外伝合計: 1,272話、14.28MB


 ファイルには若干スタイルシートのファイルが混じっているけれど、それは誤差の範囲内ということで。
 まあ、なんにしても、でかくて長い物語だ、ということですねぇ。(笑)

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2010年2月16日 (火)

竜の溜息・7「連載中にあったことの話」

 さて、「14」の裏話も今回でおしまいです。最終回はいつものように、連載期間中にあったことの話です。
 では、いつものお断りから。

 この先には物語の内容に関する重要な記述があるので、まだ本編を読んでいない方はご注意ください。

 重要な記述はないかもしれないけど。(笑)


 「フルート14・竜の棲む国の戦い」の連載がスタートしたのは昨年10月24日。以来、今年2月6日に完結するまで、毎週土曜日更新を一度も欠かさず続けました。
 誰も言ってくれないから、自分で誉めてしまおう。

 自分、よくやった! 偉かったぞ~!!(爆)

 2学期になって、昇平は徐々に落ちつきを取り戻し、学校の対応もうまくいくようになってきて、そちらの方面では次第に安心できる状況になりましたが、新型インフルエンザの大流行で学校の予定や行事は狂いまくり。さらに親の会関係の仕事は何故かずっと忙しく、冬休み直前、とうとう昇平がインフルエンザでダウン。いくら回復の早い新型でも、40度の高熱を出されると、さすがに焦りました。もう大丈夫と思ったところへ、年末の大掃除と年始関係のあれこれ。正月には郡山の実家に帰省しましたが、ごろごろ寝てばかりいる私を見て、両親が「疲れているねぇ」と心配しました。
 それが的中するように、1月6日の夜からウィルス性胃腸炎(たぶんノロ)で倒れて、実に丸一週間寝込む羽目に。起きられるようになってからも、今ひとつ体調のすぐれない日々が続いて、「ああ、やっと治ったかも」と思ったのは、さらに2週間後のこと。そこへ、寝込んで何もできないでいた間の業務が、どどどーっと雪崩のように襲ってきたので、ちぎっては投げちぎっては投げ、もう片っ端から片づけていきました。病み上がりなんだからさぁ。もうちょっと労ってくれても罰は当たらないと思うよぉぉぉ……。いえ、ただの愚痴です。
 何度も「この次こそ休載するしかないんじゃないか?」と思うような状況だったにもかかわらず、一度も休まず週一更新を続けたんだから、偉いでしょ~? うん、偉い偉い。ホント、家族も誰も、全然誉めてなんかくれないから、自分で誉めちゃうもんね。ふふふん。

 まあ、間は空きますが、上記のような状況にも対応できるし、更新日も覚えやすいので、これからも毎週土曜日の更新は続けていこうと思っています。

 あ、でも、ひとつご褒美はいただきました。
 ネット小説ランキングの異世界ファンタジー部門で、何度も上位にランクインしたこと。とても嬉しかったです。クリックしてくださった皆様、本当にありがとう。
 そんなふうに読んで「面白かったよ」と伝えてくれる方たちがいるから、私もこうやって書き続ることができます。これからも、どうぞよろしくお願いします。


【今後の予定】

 今週末の2/20(土)には、外伝15話を公開します。外伝と言っても、「ヒムカシの国」のような、本編と本編の間を埋める作品になります。これを読まないと次の「フルート15」がわかりにくくなるかも。

 その後は、いつものように読み返しと推敲とPDFファイル化作業。
 あとは、某バーチャルコミュニティで、ニコガチャ小説を短期集中連載。(某コミュをやっている人にしか意味はわからないですね。笑)
 3月6日に親の会の総会があるので、それが終了したら、いよいよ「フルート15」の執筆を開始。連載開始は3月中旬~下旬の予定。
 というのが、今のところの見通しです。


 それにしても、どうも疲れが抜けません。
 まあ、上に書いたような状況だったから、疲れているのも当然なのですが、それにしても回復が遅くなった……。寄る年波には勝てない、ってところでしょうか。ますます健康に気をつけて、シリーズ完成をめざさなくては。

 では、これで今回の裏話を終了します。ありがとうございました。

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2010年2月15日 (月)

竜の溜息・6「ポチとルルの話」

 今日は一日曇り空。雨が降りそうで、ほとんど降りませんでしたが、けっこう底冷えのする日でした。
 私は一日、親の会の総会の資料作りをしていました。けっこうくたびれました。疲れると、ついつい甘いものが食べたくなるので、最近体重が増加気味。まずいな~。せっかくダイエットで痩せたのに。気をつけなくちゃ。

 さて。

 この先には物語の内容に関する重要な記述があるので、まだ本編を読んでいない方はご注意ください。


 今日の裏話は、タイトルの通り、ポチとルルについてです。
 実は、これを書く前に、ちょっとオリジナル版のほうを読み返しました。
 昇平や子どもたちの寝物語に、即興で語ったお話なので、もう赤面するくらい単純で安直な物語なのですが。
 オリジナル版では、ポチはもちろん子犬だけれど、ルルも同じくらいの子犬ということになっています。ポチが白、ルルが茶色。なんの疑問の余地もない、お似合いのカップルでした。
 ところがところが、書き直したこの「フルート」シリーズになると、ルルはメンバーの中の最年長。ポチとの年齢差は4歳という「お姉さん」の設定になってしまいました。……だって、すんなりまとまっちゃったら、物語としてつまらないんだもの。(爆)
 
 でも、本当は、もう少し早くまとめてあげるつもりでいました。
 見た目は子犬でも、実はメンバーの中でもかなり「しっかり者」のポチです。淋しがり屋のルルが、そんなポチを見直して恋人同士になる――ようにしてあげたかったのですが、これが、いつまでたってもルルが見方を変えてくれません。
 ずいぶん粉をかけたのですよ。「ほら、ポチがこんなかっこいいこと言ってるよ」「ポチに彼女ができそうだよ~」「ほら、見直しなさい」「ぐずぐずしてると、他のコにポチを盗られちゃうぞ」
 その都度、ルルは心乱されて揺れてくれました。ヤキモチも妬くし、「ま、生意気ね、ポチ」とか言いながらも、そばにポチがいると喜んでるし。それなのに。ああ、それなのに。

 どうして、そんなに意地を張りますか、ルル。

 あんまり頑固に認めようとしないものだから、しまいには、作者の私自身が、この2匹は永久にまとまらないんじゃないかと心配したほどでした。
 登場人物たちに自主性がありすぎるというのは、こういうところが困りものです。(苦笑)


 今回、ようやくポチとルルもまとまって、これでようやくオリジナル版通りのカップルが3組誕生しました。
 フルートとポポロ、ゼンとメール、ポチとルル。
 ああ、やれやれ~。
 作者は安堵の溜息をついています。

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2010年2月13日 (土)

竜の溜息・5「歴史の話」

 今日は福島市内で勉強会でした。
 外出の前に、投稿イラストギャラリーとインデックスのランダムイラストに、くらげさんの「竜子帝」を追加しました。ランダムイラストも全部で29枚になったので、なかなか「竜子帝」に巡り会えないかもしれないですけどね。
 来週の土曜日には、外伝を公開する予定です。
 

 この先には物語の内容に関する重要な記述があるので、まだ本編を読んでいない方はご注意ください。


 前作「ヒムカシの国」と今回の「竜の棲む国」を書くに当たって、歴史苦手だった私が歴史を調べ直しました。
 一番役に立ったのは、今中学2年生の息子の歴史資料集。私たちが学生だった頃に比べると、写真やイラストは抱負だし、色は綺麗だし、同時期に日本と世界でなにが起きていたかが一目瞭然で、抜群にわかりやすいです。「ちょっと、歴史の資料集を借りるよ~」と本棚からしょっちゅう拝借していました。(笑)

 「フルート」の世界は、我々の世界で言えば13~14世紀あたりを考えています。中世時代です。
 同じ時代、中国は何の時代だったのかな? と調べました。
 ……あの、ですから、私は歴史がものすごく苦手だったんです。全然覚えてない。
 へぇ、チンギス・ハンが興した元の時代。日本は鎌倉時代。元寇と戦った、あの時代かぁ。
 ところが、資料集を読んでいたら、あれっ? と思いました。馬による戦法を得意とする元寇を防ぐために、日本では海岸に高い石塁を築いた、と書いてあります。馬による戦法?
 もちろん、元は本来騎馬民族だから、馬による戦いは得意でしょう。でも、元寇って、船に乗って日本海を渡って日本まで攻めてきたはず。ってことは――馬も船に乗せて攻めてきたの?
 あちこち調べてみました。
 どうやら、本当に元は馬も船に乗せてきたらしいです。はぁ~、本当に騎馬民族なのね。とすると、飼い葉も船に積んでこなくちゃいけなかったはずだし、馬はけっこう餌を食べるから、その輸送のために船もたくさん必要だっただろうなぁ。結局、元寇は日本にやってきた台風に大打撃を受けて本国へ戻っていくわけですが、その背景には、人だけでなく、馬も養いきれなくなったから(つまり、補給線が途絶えたから)というのも、あるのかもしれません。

 そのあたりがとても面白かったので、いっそユラサイを騎馬民族の国家にしようか、とも考えました。
 でも、そうなると、神竜との契約で守られ続けている国家、という設定が使えなくなるし、「竜の棲む国」ではなく「馬の棲む国」になりそうだったので、残念ながらあきらめました。
 

 実際には、考えたことのほんの一部しか物語には書けないのですが、それでも、実際の歴史と照らし合わせながら、「フルートの世界ではどんなふうになるかな?」と想像するのは、とても楽しい作業でした。
 この興味関心が学生時代に芽生えていたら、さぞ私は社会科好きになったんでしょうけどねぇ。モウオソイ。(笑)

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