海の王の休息・２「海の話」

　さて、裏話の２回目です。まずはこのお断りから――

　この先には物語の内容に関する重要な記述があるので、まだ本編を読んでいない方はご注意ください。

　それでは。

　昨日の裏話にも書いたように、「１３」で書きたかったのは、ゼンを主人公にした物語でした。でも、それと同時に書きたかったのは、やはり「海」のこと。
　海は広いな大きいな。「フルート３・謎の海」で初めて海や渦王の島、海の民や魚たちといったものを登場させたのですが、とてもあの一話では描ききれるものじゃありませんでした。いつかまた海を舞台にした話を書きたいな、と思い続けて、今回ようやくそれが実現したわけです。「３」は２００６年４月に完結しているから、その間、実に３年あまり……。う～ん。本当に、よく書けたなぁ！

　海を舞台にした戦いを書くときに、作品としてはやはり海上戦が一番多いと思います。
　船に乗って戦ったり、海上という二次元上での作戦を考えたり。
　でも、私は海の中での戦いを描きたいと思っていました。海中の様子も描写したいと。
　いろいろ調べたり、ビデオも見たり、調べれば調べるほど、海はさらに広く深くて――。今回も、その片鱗をお伝えできるだけだったような気がします。海はまだまだ謎と神秘に充ちています。

　海上や陸から眺めれば、海は一面の平らな水（波はあるけど）かもしれないけれど、中に入ってみると、信じられないくらい豊かで立体的な世界でした。命を育み、非常に多くの生き物がそこで暮らす豊かな世界です。
　作品を通じて、そんなものを少しでも感じていただけたら、作者としては嬉しいな、と思います。