赤いドワーフ戦記補録・4「軍隊の構成と規模」
さて、裏話も4回目。いよいよタイトルにふさわしく、軍隊に関する内容です。
いつもの注意書きをする前に、このお断りも――。
これは、「フルート11・赤いドワーフの戦い」を書くに当たって、作者朝倉が考えた軍隊とそれを抱える国家の設定です。実際の歴史上の軍隊や国家、現存する軍隊などとはまったく関係がないし、朝倉流の解釈や設定がたくさん入っていますので、真面目な調べ物を目的にしている方は、別のサイトをご覧になることをおすすめします。
また、朝倉が書いたのは「フルート流 戦記物」です。「実際の戦闘や戦記物はこんなものじゃないぞ!」などというツッコミも、つつしんで辞退させていただきます。あしからず。
では、いつものこれを。
この先には物語の内容に関する重要な記述があるので、まだ本編を読んでいない方はご注意ください。
さて、「フルート」シリーズはどの作品にも「○○の戦い」というサブタイトルがつくのですが、今回の「11」はその中でも本当に戦闘の多い内容でした。戦いに次ぐ戦いに次ぐ戦い。いやもう、本当に、めまぐるしいったら。
主人公であるフルートたちが戦う、ジタンへ移住するドワーフや警備に当たるオリバンたちが戦う、ロムドの王都でも隣国サータマン相手に攻防戦が始まる。剣と剣の戦いだけでなく、魔法合戦も起きるし、飛竜部隊、象戦車、闇の怪物まで出てくるし。闇の石、闇のドワーフなんてのも活躍しました。
ファンタジーなので、現実にはないような戦闘法や軍備も登場するのですが、それらも含めて、どういう構成になっているのか。本文中ではとてもそこまで言及できなかったので、ここに書き記してみます。
まず、軍隊の構成。
軍隊= 師団 > 大隊 > 中隊 > 小隊 > 班
というのが基本の構成。
師団と呼ばれる中に大隊があって、大隊には複数の中隊があって、その中にさらに小隊があって、小隊は班から構成されている、ということです。
各組織の兵士の人数は、師団=1000~1200名、大隊=100~120名、中隊=30名前後、小隊=5~6名、班=2~3名 で考えています。
余談ですが、人気アニメの「ケロロ軍曹」。主人公のケロロは小隊長で、その下に隊員が4名の計5名で部隊を構成しています。小隊というのはあんな感じ。
今回、ジタンへ移住するドワーフの警備に当たったロムド兵は、指揮官のゴーリス、移住団全体の責任者のオリバンを除くと30名。つまり一個中隊が警備していたわけです。
それに対して、ジタンを占拠したメイやサータマンの軍勢はそれぞれ約千名。つまり一個師団。ロムドの王都ディーラを攻めてきたサータマン軍は1万2千名ですから十個師団以上だった、ということになりますね。このくらい大規模な軍隊だと、「旅団」と言ったりもするそうです。「フルート」の中ではそこまでは使いませんでしたが。
歴史書や現実の軍隊を調べてみると、「師団」はもっと大人数の場合が多いみたいです。ん~、だいたい1万人規模かな? それから比べると、「フルート」たちの世界の師団は規模が小さいんですが、これは「フルート」の世界を考えて決めました。つまり、フルートたちの世界に人間は今のように多くない。だから、軍隊規模だって小さいはずだ! という独断です。(笑)
14世紀初めの頃のパリの人口が約8~10万人だったと言います。ベネチア、ミラノもこのくらいだったそうです。当時のヨーロッパ最大の都市でこの程度の人数。ちなみに10万人ってどのくらいだ? と現実に自分が住んでいる地域で考えてみたら、隣の福島市の旧市街地に住む人数くらいでした。ローカルですみません。でも実感でわかるものだから。多いけど少ないです。
国全体の人数を見ても、当時最大の規模だったフランスで1700万人、イングランドで300~400万人(資料によっては500万人)、イタリアで800~1000万人と推定されています。これはヨーロッパ全土で黒死病(ペスト)が大流行して人口が激減する前の人数です。
「フルート」の世界で最大の国家は東隣のエスタ。ここのモデルはフランス。ロムドは、モデルはないですが、規模はイングランド程度ではないか、と考えてます。今、国家として拡大しているところなので、人数は急増しているはずですが。西隣のザカラスはイタリア程度の人口かなぁ。
資料として少し古いですが、平成16年度の東京都の人口が約1200万人、大阪府や神奈川県で900万人弱、兵庫県で約550万人、福岡県で約500万人とあります。つまり、ロムド国全体でせいぜい兵庫県か福岡県の県民くらいの人口、ザカラスで大阪府や神奈川県程度、最大国家のエスタでさえ、東京都に福岡県を合わせたくらいの人数しかいない、ということです。
これだけの国民しかいない国家で、何万人なんて単位の軍隊をそうそうたくさん抱えていられるわけがない~!!! と朝倉は判断します。今回、ザカラスやエスタは2万以上の軍隊を動かしましたが、これは大国だからこそできたことで、ロムドを含めた他の国家には、これだけの規模の軍隊を即座に動かすのは不可能だと思います。
話を戻して、「フルート」の世界の国の人口は意外なくらい少ない。となれば、軍隊の人数だって少ないはず。そうなれば、一個師団だって今の単位よりずっと少ないだろう。だから、千人――とまあ、そんな計算です。
ちなみに、千人という規模は、指揮官がどこか少し高い場所に立ったときに一望して全体の動きを把握・指揮できるくらいの人数だそうです。私が卒業した高校の全生徒数が約1200名でしたから、集会などで体育館に集まったり、体育祭でグラウンドに集まったときの様子を思い出すと……うん、確かにそんな感じですね。(笑)
というわけで、ワルラ将軍が丘の上から自分の部隊を見下ろして配置を確認している場面なども書きました。
軍隊に関する設定の裏話はまだ続きますが、長くなったので、残りはまた次回。
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