神の内緒話・1「物語のこと」
いったい、なんてタイトルでしょうねぇ。連載完了恒例の裏話でございます。(笑)
「フルート」の世界の主神はユリスナイ。この物語を作り上げている神は、ワ・タ・シ。(爆) その内緒話ということで、今回の「10・神の都の戦い」を書くに当たっての裏話をいくつか語ろうと思います。
裏話ですので、本編のイメージを壊したくない、という方はお読みになりませんように。
この先には物語の内容に関する重要な記述があるので、まだ本編を読んでいない方はご注意ください。
さて、これで良し、と。(笑)
この「10」は、「フルート」世界編の2番目の物語になりますが、実は当初の予定では、世界編最初の話にするつもりでした。
デビドラ倒す方法を見つけに行くぞ~! どこに行こうか~? う~ん、そうだなぁ。闇の反対は光だしぃ……。 よし、光の神様の都に行こう! てなことで、すぐにミコンへ行く予定だったんですが。それだと、せっかく世界に旅立ったフルートたちの様子がよくわからない気がして、手前にもう一つ物語を入れることにしました。それが「9・仮面の盗賊団の戦い」。ロキの再登場は、実はもう少し後になるはずだったのですね。
「神の都の戦い」の物語は、もうずいぶん前から骨子ができあがっていました。光と闇の戦い、というものを考えていくと、どうしても宗教というテーマからは離れられないからです。
でも、書き出すまでには、かなり逡巡というか、あれこれ考えました。
一番考えたのは、「宗教テーマの物語なんか、本当に書いちゃっていいんだろうか?」ということ。
外国ならいざ知らず、日本人は宗教を真っ正面から語るのをタブーにするというか、なんとなく避けるようなところがありますよね。実際、堅くて難しい話が出てくるだろう、というのは予想がついていましたし。う~ん、読者に引かれてしまったらどうしよう?
ユリスナイという架空の神様の宗教だけれど、どうしたって現実にある宗教がイメージの元になっているし、かなり批判的なことも書いているから、それを信じている人が読んだら面白くない気持ちになるかもなぁ。「これは○○教への冒涜だ!」なんて信者の人が怒ってクレームをよこしたらどうしよう~?
ファンタジー作品によくあるように、新興宗教的な架空の宗教を作って、それを自分の野望のために利用する権力者と、盲目的に信じるあまり利用されていることに気がつかない信者たち、それを見抜いて倒す主人公たち――という設定で流せば無難なんだけれどなぁ。
う~ん、でもなぁ……。
中世ヨーロッパの世界がキリスト教と切っても切れない深い関わりがあったように、宗教や信仰が生活の中に深く根ざしている世界、というのを「フルート」の中で再現してみたかったのですね、私は。
加えて、やっぱり、宗教ってなんだろう? というのを考えてみたかった。
遠い外国にある遠いもの――というわけでもないと思ったのですよね。そのあたりも描いてみたかったし。
というわけで、「10」は、これまでとはちょっと毛色の変わった、かなりディープなものを含んだ作品になりました。難しい! と思った方もいたでしょう。それを実証するように、NEWVELの月間ランキング結果は、最近になく低調な順位で出ていましたし。(苦笑)
ただ、そういうことを抜きにして、純粋に物語として楽しめるように、ということも考えて書いたつもりです。宗教以外の「お楽しみ」もいろいろあったんじゃないかと思います。なにしろ、「宗教の服を着たミステリー」というのを目ざして書きましたので。
ちなみに、この「10」は「4」と対を為す作品でもあります。あちらは闇の声で、こちらは光の声、というわけ。闇のことは書いたので、今度は光の方を、ということでした。
……そういう意味でも、ハードでディープだったのは当然かも。(笑)
まあ、それでも、最終的には「面白かった」と言ってくれる方が多かったようだし、アクセスカウンターもけっこう動いてくれたので、ほっとしているところです。
ああ、よかった!(笑)
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