裏話・3「大砂漠」
舞台のモデルの話のついでに、もう一箇所の大きな舞台になった大砂漠についても書きましょう。
まず、大前提として、フルートたちの世界は、我々が住んでいるこの地球のパラレルワールドだという設定があります。これは改訂版の今シリーズを書き出したときから決まっていた設定です。異世界を一から想像(創造)するのは大変なので、最初から、この世界は我々が住むこの地球(のある宇宙の)パラレルワールドということにしてしまったわけです。これなら、どんなに地形が似ていたって、言語や地名が似ていたって、ぜ~んぜん気にならない。パラレルワールドは今あるこの世界によく似ていながら、微妙にどこか違っている平行世界ですから。うむ、SF設定は便利だ。(爆)
ですので、大砂漠のモデルはタクラマカン砂漠やゴビ砂漠ということになります。
ただ、フルートたちの住む世界は(地球という言い方はしませんが)、我々が住むこの地球の約四分の一サイズ、という設定。だから、砂漠の規模も相応して狭くなっています。でも、やっぱり相当広いと思うんですけどね。
大砂漠の向こうにあるユラサイの国のモデルは中国なので、その境目の、魔女の城があるシェンラン山脈も中国語で名付けてあります。ちなみに、漢字で書くと「深藍(シェンラン)」です。冬場で雪におおわれていたので描写できませんでしたが、とても青い山脈を想像していました。
とまあ、アジアの砂漠を考えていたのですが、砂漠そのもののイメージは、アフリカのサハラ砂漠に準じました。資料がそっちの方が多かったのと、やっぱり「砂漠」で連想するのがそっちのイメージだったから。ゴビ砂漠にいるらくだはフタコブラクダですが、サハラにいるのはヒトコブラクダ。フルートたちの大砂漠に登場させるらくだも、ヒトコブラクダの方にしてしまいました。
大砂漠を描写するにあたっては、あかね書房の児童向け科学本「科学のアルバム 砂漠の世界」(片平孝著)をかなり参考にしました。涸れ川もこの本に載っていました。涸れ川は現地のことばでは「ワジ」と言うのだそうです。これを読んだとき、ダラハーンからワジの話を聞かされて、ゼンを刺した毒虫の「ワジ」をフルートが連想する、という場面も思いついて、書くかどうかでかなり悩んだのですが、最終的に、本編のストーリーには関係ないということで割愛しました。
けっこう有名な本のようで、図書館の児童書コーナーに並んでいることも多いので、見てみると、どういうところが大砂漠のモデルになったか、なおいっそうわかるかもしれません。
フルートたちに大砂漠を旅させて、心残りだったことが二つ。
砂嵐の場面が書けなかった! 書いてみたかったんだけど~。
雨上がりの砂漠は、数日で一面の花畑に変わるそうです。雨水がたまってできた湖に、一晩で小さなエビの仲間が繁殖するというのも、また別の本で読んだことがあって、それも書いてみたかったんですが。タイムリミットがあっただけに、そこまでは無理でした。
う~ん、残念。(笑)
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