「フルート6」裏話・1
さて、キャラクターの人気投票もほぼ出そろったようなので、このへんでちょっと「6」の執筆裏話など書いてみたいと思います。ただ、こういうのを読むと「作品のイメージが狂う~!」という方もいらっしゃるかもしれませんので、そういう方はお読みにならないでくださいね。(^_^;)
まず何のことから話すかといいますと、もちろんオリバンでございます。堅き石のように堅物な皇太子殿下。いぶし銀の鎧兜で大柄な体を包み、大剣を振りかざし、「馬鹿者!」とどなりながらフルートの窮地に駆けつけてくる……。
初期の段階でたむりんさんが鋭く先読みしていたとおり、本当は、オリバンとメールの間にラブラブ話を起こしてやるつもりでした。で、ゼンをもっときりきり舞いさせてやろうと。(爆) その予定に従って物語を進行させていたんですがぁ。
メールちゃんが実は13歳だったとわかったとたんに、オリバンの方で、まったくその気がなくなってしまったんですね! ええもう、すっぱりと!
その後も、ちょいちょいと水を向けるというか、コナかけてやったんですが、やっぱりダメ。オリバン、さっぱりその気になりません。メールちゃんはメールちゃんで、オリバンがどんなにかっこよくても、やっぱりゼン一筋だし~。(笑) 第12部を書くあたりで、作者もとうとうあきらめました。
結局、堅物真面目なオリバンくんは、5つも年下の子どもには手を出さなかった、ということですね。はい。(苦笑)
もうひとつ、オリバンに絡む裏話を。
実は、この改訂版「フルートの冒険」の物語は、二つの物語が合体して生まれたものです。一つは、ご存知オリジナル版と呼ばれる、子ども向けの「フルートの冒険」。でも、もうひとつ、それこそ十数年前から、私はもうひとつ別のファンタジーの構想を持っていたのです。世界設定とヒーロー、ヒロイン、脇役とネタだけは決まっていましたが、肝心の物語そのものが浮かんでこなくて、時々ぼーっとキャラを引っ張り出しては頭の中でしゃべったり、世界地図を描いたりして暖めていました。
オリジナル版にこのもうひとつのファンタジーを合体させられる、と気がついた瞬間、本当に壮大なシリーズとしての構想が浮かび、改訂版「フルートの冒険」が命を吹き込まれて動き出しました。フルートの世界全部ではありませんが、かなりいろいろなところに、十数年前からの世界設定が使われています。
この、言ってみれば「フルート」に吸収されてしまったファンタジーの主人公というのが、実はオリバンでした。やっぱり命を狙われる皇太子、という設定。まあ、もっとひょうひょうとした、細身のやさ男というキャラデザでしたが。暗い灰色の髪、というのも、その頃からの設定です。
今回、オリバンは「6」の中で大活躍でした。でも、ことによったら自分の物語になるはずだった作品の中で、あくまでも脇役というこの立場は不満かも……などと、書きながら考えていました。
今回、オリバンがフルートにやたらと突っかかっていたのは、実はオリバンが密かにそういう恨みも持っていたからだったのかもしれません。(爆)
裏話はまだ他にもいろいろあるのですが、今回はとりあえずこのくらいで。次はゼンの裏話かな~。(笑)
| 固定リンク
コメント
へぇ~~そうなんだ。
じゃあきっとオリバン殿が主人公のオリジナルには
ヒロインがいるのかな?
話くっついちゃうのは良くわかります(笑)
朝倉ワールドですね♪
投稿: さゆた | 2007年3月25日 (日) 11時48分
>じゃあきっとオリバン殿が主人公のオリジナルには
>ヒロインがいるのかな?
いました。(笑)
その物語では、オリバン王子は正当な王位継承者なのだけれど、父王が死んだ時点でまだ幼少だったために、王子が成人するまでの間、叔父が代理王になっている。その叔父が王位を渡したくないばかりに、あれこれ無理難題をオリバンに押しつけて、甥を殺してしまおうとする。でも、王子には数人の頼もしい仲間たちがいて、彼らが王子を救う……というような筋立てでした。
あ、そういえば、あっちでもオリバンの年齢は18歳だったな、確か。
ヒロインは、その仲間の魔女。か~な~り~変わったヒロインです。なにしろ、一人称が「俺」。(爆) 絶世の美少女のくせに、やることなすこと、ことばづかいまでが男のよう――というキャラでした。
ここに、忠実で一本気な中年の貴族と、王子相手にタメ口聞いてしまうような傭兵の大男がお伴につきます。
この傭兵のキャラ設定は黒い鎧のオーダに引き継がれましたね。(笑)
こんだけ面白そうなキャラが揃っていて、世界地図もかなりしっかり作れていたのに、何故か本当に物語そのものが浮かばなかったんですねぇ。肝心要な叔父王の「難題」が浮かんでこなかった。ヘラクレスの十二の難行みたいなのにしたかったんですけど。
たぶん、主人公のオリバンを「ひょうひょうとした」キャラにしようとしたのも、無理があったんだろうと思います。
朝倉キャラ、ランジュールのような脇役はともかく、主人公はどうがんばっても「ひょうひょうとした」性格にはなりませんから。気がつけば、いつも熱血。(爆)
ま、本当にワールドとしては面白いものがあったので、おいしいところをそっちこっちつまみ出しては、「フルート」の中で大活躍させてます。(笑)
投稿: 朝倉玲 | 2007年3月25日 (日) 12時59分