「フルート6」裏話・6
フルートに関する話をもうひとつ。
オリジナル版の頃から「優しくて勇敢な少年」という設定ではありましたが、改定版では、ここに「女の子のようにかわいい顔をした、小柄な少年」という具体的な容姿も加わりました。このへんがまた、フルートというキャラクターを決定づけていく重要なファクターになるわけですが。……人は、多かれ少なかれ、その外見からも影響受けて人柄が決定していくものです。(と、妙にきっぱり言いきるワタシ)
で……。
「4~闇の声の戦い~」を書くまで、フルートという主人公は人気投票であまり上には来ませんでした。
なんてったって、いい子すぎる!(爆)
優しくて~、勇敢で~、頭が良くて穏やかで~、人に思いやりはあるわ、自分の身を挺して仲間を守ろうとするわ、親孝行だわ、働き者だわ。んとに、キミ、できすぎですよ、という少年ですから。
読者からの感想だけでなく、無理やり読ませている(?)旦那からも、「できすぎていて共感しにくい主人公だ」と批判され続けていました。
でもぉ~……!
フルートはどんなに言われても、その性格から変わらなかったのです。
どんなに取っつきにくいと言われようと、できすぎと言われようと。
シリーズを最初から読み返していただけば分かりますが、今回の「6」に書いたような彼の過去は、シリーズ開始当初からすでにできあがっていました。ちらっちらっと、それに関する記述も交えてきました。伏線と言うほどのものでもありませんが。
フルートは、あれだけの過去を持って、今の彼になっている。だからこそ、金の石の勇者なんかにも選ばれている。
勇敢に戦うから、だけではない。正義の心が素晴らしいから、というのともちょっと違う。
心の中をのぞいてみれば、それなりに悩んだり迷ったりしているし、年相応の感情だって持っているのだけれど、なにしろおとなしいキャラクターだから、それを口に出すと言うこともしない。それでさらに誤解されても、やっぱり、自分からその誤解を解くようなことはしない。
――できないんでしょうねぇ、きっと。あれだけいろいろできるくせに、実はとっても不器用な子です。(笑)
そんなキャラクターがシリーズ開始時点から決定していたから、誰になんと言われようと、変わらなかった。
フルート自身、非常に頑固な性格をしているから、まったく揺れないし。
まあ、今回の「6」を読んで、何故フルートがあんな子なのか、かなり納得していただけたんじゃないかなぁ、とは思います。
ただ。
そうして明らかにしたフルートという少年を受け入れてもらえるかどうかは、また別問題でした。
正直、人気投票はドキドキでした。今までの中で、一番緊張しました。(笑) フルートがどんなふうに受け止められたか、どう感じてもらえたか、心配で。
フルートの過去が時の鏡に映し出されてからは、驚くくらい反応が減りましたし。まるで、読んだ人が絶句しているみたいに。これも作者としては実は不安でした~。(笑) どっちの沈黙か分からなかったから。
しょっぱなから連続して1位に上げられたのを見て、本気で「およ!」と思いました。
最終的には、絶対上位に立つと思っていたオリバンと同位の1位。しかも、健闘していたランジュールに大差をつけて。
いや~、よかった! としみじみ思いました。はい。(笑)
強いようで、利口なようで、実は相当危なっかしいフルートです。
でも、彼には素敵な仲間たちがいる。
その仲間たちも、それぞれに越えなくちゃならない問題やら過去やら抱えてはいるのだけれど。
でも、だからこそ、みんなで一緒に成長していける。
そんな彼らの姿を描いていくこと。――それが「フルートの冒険」というシリーズなのかな、なんて思っています。
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コメント
おはようございます!
えっと人気投票が既に終了の雰囲気みたいですが、
まだ投票はできますか?
フルートは「いい子」ですね。
フルートの両親もかなり良い方達なので三人
揃うとそれだけでほのぼのとします。
あ、でも話が進むごとに印象付けられていく
フルートの石頭ぐあいに同じ頑固者としては
共感できます(笑)
投稿: Revias | 2007年3月26日 (月) 10時30分
あっ、いちおう総括的な話はしてますが、もちろんまだまだ投票は受付中ですよ~。
これで最終順位がまた変わっても、それはそれで面白い。(笑)
ということで、どうぞお願いいたしますー!!\(^O^)/
投稿: 朝倉玲 | 2007年3月26日 (月) 10時34分
わあ(早い返信に感動中)
ありがとございます(ペコリ
では行って参ります!
投稿: Revias | 2007年3月26日 (月) 10時37分
フルートの過去を知って、なおさらフルートが大事に思えました。
優しくて、強い心を持っているフルート。
そんなに頑張らなくても…。そんなに過酷な設定にしなくても(作者さん)…。と思うことは正直ありましたよ。(笑)
人の痛み悲しみを知っているフルートは、だからこそ優しくて、強さを持った素敵な少年なんですね。
私も少しは見習わなければなあ…。
投稿: アヒルのしっぽ | 2007年3月26日 (月) 15時05分
>そんなに頑張らなくても…。そんなに過酷な設定にしなくても(作者さん)…。と思うことは正直ありましたよ。(笑)
サド作者です。フルートをいぢめてばっかり。(笑)
>フルートの過去を知って、なおさらフルートが大事に思えました。
と言ってもらえて、嬉しいです。
たぶん、それが、あの時の鏡をのぞいた仲間たち全員の気持ちだろうと思います。
そう、ひとりでそんなにがんばらなくてもいいのに、なかなかそうもいかないのがフルート。
でも、多分、彼も変わっていくでしょう。
良いところはそのままで、仲間たちと一緒に、きっともっと別な生き方を見つけていくんだと思います。
それが、金の石と約束したことだから。
投稿: 朝倉玲 | 2007年3月26日 (月) 15時50分