金の石の精霊裏話
さて、続き気になる第15部の執筆に取りかかっております。1章分書き上がったので、ちょっと一息入れるのに、ペンスタンドの記事を書いています。今日は、金の石の精霊誕生の裏話をば……。(笑)
昨年の11月下旬のことですから、私は「フルート5~北の大地の戦い~」を執筆している真っ最中でした。場面はそろそろ終盤。最終決戦に突入する直前という時期でしたが、その頃からすでに私の頭の中では「フルート6」の構想が具体的に動き出していました。オリバン皇太子(この時にはまだ名前は決まっていなかった)、ユギルの過去、金の石の勇者を巡る陰謀劇の数々……あれやこれやと登場人物やエピソードを考えていく中で、今回初めて、金の石を人格化して登場させることに決めていました。今まではただのペンダントだったけれど、人の姿をして、フルートと話もできたら、物語が広がるよなぁ、と。
ところが、具体的に石の精霊を考えようとすると、イメージがどうしても定まりません。老若男女、どの姿にしたらいいかわからなかったのです。
後からまたもっと詳しく説明が出てきますが、金の石というのは歴史の古い石です。だから、老人でも全然おかしくないのですが、いかんせん、「6」には鍛冶屋の長のピランじーちゃんが登場します。若々しく見えますが、ロムド国王だって実際にはお年寄り。(65歳。これをつかまえて老人と言ったら現代では怒られる?) 泉の長老も登場する予定だから、これ以上「じーちゃん」を増やしてしまったら、誰が誰やらわからなくなりそう。(苦笑)
では、ばーちゃん? でも、これも「5」で占いおばばという強烈なキャラクターを出したばかりだったので、どうも作りにくい。うーん。年寄りの精霊はやめた方がいいのかなー。
では、と今度は子どもを考えてみたのですが、こちらはフルート、ゼン、メール、ポポロ、それにロキと、物語の主要メンバーは全部子どもたち。うぅーん、かき分けが難しくなるかも。
でも、フルートは男の子だから、石の精霊を女の子にするのはいいかな、とも考えました。かわいい女の子のイメージが浮かびました。金の石らしく、綺麗な金髪の神秘的な女の子。ところが……そうすると、いきなりフルートとの「らぶろまんす」まで浮かんできちゃうんですねー。(爆) 石がフルートに密かに片思いするとか、フルートの方が石に恋してしまって悩むとか(ピグマリオンかい)、相思相愛なんかにしてしまったらポポロはどうする!? の話になっちゃうし。うぅぅー。却下却下!
よし、それじゃ大人の男性はどうだ? 小さな金の石から、頼もしげなマッチョな男性が登場する。ジャジャーン。おぉ、アラジンのジニーみたいだ。(爆) ん? でも、これって守りの石だよなぁ。なんか、そういうのって、力が強そうで、守ると言うより敵をなぎ倒してやっつけるみたいなイメージがあるよねぇ。うぅぅぅーん……これもダメか。
じゃ、女性! 大人の女の人! この物語、実は一番登場するのが少ないのが、この年代の女性。妙齢の大人の女性ってのが、ほとんど出てこない。ゴーリスの奥さんのジュリアと、フルートのお母さんくらい。(妙齢とは言えないかもしれないけれど。) うん、この年代ならかぶらないでしょう。さて、どうだ? と思いめぐらしてみたら……これもやっぱりダメでした。無茶ばかりするフルートを心配して「叱る」か「諭す」、それこそお母さんみたいなキャラクターにしかならないんですね。フルートのお母さんとだぶってしまうわ。それに、フルートが世界を守ろうとするたびに、「フルート、それは危険よ、やめなさい」なんて言う金の石ってのはねぇ……設定的に……。
というわけで、金の石の精霊のイメージに、ああでもないこうでもないと非常に悩んでおりました。
いっそ、姿は現さずに、声だけの存在にしようかとも思ったのです。ただ声だけがフルートに聞こえてくるような。
でも、それもやっぱりなんだか書きにくい。人の姿を取ってくれないと、石が人格化しないのですね。はてさて、どうしたものやら……やっぱりばーちゃんかマッチョマンあたりで行こうかな……などと考えていたら。
突然、さゆたさんからメールでイラストが届きました。それがこのページの冒頭に載せた金の石の絵。
それまで、私はさゆたさんがイラストを描くということをまったく知りませんでした。もちろん、ペンスタンドにもどこにも、金の石を「6」で人格化して登場させるなんてことも、匂わせてさえもいませんでした。
なのに!
イラストの中にいたのは、まぎれもなく、私が探していた金の石の精霊だったんですね。
小さな少年の姿なのは、フルートが少年だから、非常にしっくりくる。鮮やかすぎるほどの金髪と、この目も、きっと金色に違いない。異国風の服、子どもなのだけれどどこか神秘的な雰囲気が漂っていて……。これだ! これだよー!!
ということで、即決でした。(笑)
後からつらつら思いました。
あの時期、さゆたさんが私に金の石の精霊の絵を送ってきたのは、あまりにもできすぎている。これはきっと、物語の中から金の石自身が抜け出していって、さゆたさんにこっそりと「自分を描いて」と頼んだのに違いない、と。
きっと、じーちゃんやばーちゃんやマッチョマンにされるのは、死んでもイヤだったんでしょうねぇ、金の石。(爆)
というわけで、「フルート」のキャラクターには珍しく、最初からイメージ画がある金の石です。
もちろん、物語を読んでのイメージは、一人一人違っていてかまわないと思うのですが、でも、扉絵にも使っていることだし、きっと相当数の方たちに、この金の石は印象づけられているんだろうな、と思います。
まあ、しかたないですねぇ。金の石自身が、そんなふうに希望したわけですから。(笑)
というわけで、登場人物だけでなく、石まで作者から自立している「フルート6」。目下、場面は非常に緊迫しています。この続きはさて、どうなりますやら。
「早く書いてー!!」という声が聞こえるような気がするので、そろそろまた執筆に戻ろうかと思います。
ティーブレイクのおしゃべりに、おつきあいありがとうございました♪
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コメント
今、思い出しても「朝倉さん、何でそんなに盛り上がっているの?」
とイラスト送った時思いました。(*^^*)
もともと描いていて、結婚して封印。
道具、画材捨てられなくてお蔵入り状態。
精霊、好きなんです~。コロポックルとか、キジムナーとか
まぁ手始めはティンカーベルですか♪
うふふピグマリオンも好きでしてよ。
「金の石」はすらすらと出てきました。
皆様のお気に召したら大変うれしいです。
もっとも彼は朝倉さんの所へ輿入れさせました~。
投稿: さゆた | 2007年2月20日 (火) 14時23分
>「朝倉さん、何でそんなに盛り上がっているの?」
>とイラスト送った時思いました。(*^^*)
こういういきさつがあったからだったんですね~。
ホントに悩んでいたんですよー。
オリバン皇太子の性格が決まっていなかったことより
もっと悩んでた。(爆)
今となってみれば、もう、
これ以外の金の石のイメージは浮かばないってくらい
私の中で定着してしまいました。
本当に、「フルート」のキャラクターの中では珍しいパターンです。
投稿: 朝倉玲 | 2007年2月20日 (火) 14時40分