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2006年12月19日 (火)

rakugaki~ジュリア&ゴーリス~

 「さあ、それじゃそこに粉をふるい入れて混ぜてね。こねてはだめよ。切るような感じで、さっくり混ぜるの――」
 湖の畔に広がる保養地ハルマス。そこに建つゴーリスの別荘の台所で、奥方のジュリアが少女たちを相手に菓子作りの講習の真っ最中でした。
 メールが混ぜる手を止めて尋ねます。
「このくらいでいいかな?」
 いつもはおてんばで男顔負けの戦いぶりを見せる渦王の王女も、今は白いエプロンなどしめているので、けっこうかわいらしく見えています。ジュリアはほほえみ返しました。
「そうね、このあたりがまだ粉っぽいから、もう少し……はい、いいわ。ポポロ、スグリの実を入れてちょうだい」
「はい」
 小柄な少女がすぐに近寄ってきました。黒衣の上にやはり白いエプロンをしめて、手には小さな器を抱えています。器の中では、たくさんの小さな赤い実が宝石のような輝きを放っています。
「そのまま混ぜちゃっていいの?」
 とメールが尋ねると、ジュリアがまたゆったりとほほえみました。
「ええ、やっぱり切るような感じで全体に混ぜてね。これは種なしスグリだから、口当たりが良くておいしいのよ」
 豊かな栗色の髪が、ほほえみに合わせて優しく揺れます。美人ですが、それ以上に暖かく落ちついた雰囲気が伝わってくる女性です。そばにいるだけで安心できる気がして、メールもポポロも、知らないうちに一緒にほほえんでいました。まだ子どもはいないのに、何故かとても母性を感じさせる人でした。

 台所の窓の外には白い雲を浮かべた青空が広がっていました。生きるか死ぬかの闇の声の戦いは終結し、平和な時間が戻ってきています。少女たちは、激戦を切り抜けてきた少年たちに、ねぎらいの気持ちを込めてご馳走しようと、ゴーリスの奥方のジュリアに習ってケーキを作っていたのでした。混ぜ合わせたタネを型に流し込み、燃えているかまどの中に入れます。
「さあ、これで後は一時間くらいかしらね? 焼き上がるまで、私たちもちょっとお茶にしましょうか」
 とジュリアが言って、少女たちに黒茶を淹れてくれます。その間に、少女たちが使った道具を洗って片付けます。
 すると、ふふふ、とジュリアが笑いました。
「本当は呼び鈴を鳴らして小間使いに片付けさせるほうがいいのだけれど、なんだか面倒くさくてね。こうやって自分たちでやってしまったほうが気楽なのよ。ごめんなさいね」
 メールとポポロは目を丸くしました。自分たちが使ったものを自分たちで片付けるのは、少女たちにとっては当たり前のことです。
 けれども、実を言えば、ジュリアほどの身分の貴婦人が自らお茶をいれたり、台所に立って料理を作ったりすること自体、本当はとても珍しいことなのでした。ゴーリスも相当気さくな人物ですが、実際には国王に直接仕えていて、城にも居室を準備されているほどの大貴族です。その奥方となれば、生活の一切のことは召使いや女中たちに任せっきりにして、ただ城の一室に座って、彼らに命令を下しているのが本来あるべき姿なのでした。
「でも、そういうのは、とてもつまらないでしょう? ただ座っているだけだなんて、退屈でしかたないもの」
 とジュリアが笑って話します。落ちついた物腰とは裏腹に、案外はっきりした物言いをします。そんな彼女がたまらなく素敵に見えて、少女たちはまた一緒になって笑いました。本当に、貴族の生まれとは思えない、親しみやすい人物です。

 そんな雰囲気は、お茶を飲む間も続きました。他愛もない話をするうちに、メールがふと、尋ねます。
「ねえ、ジュリアさん。フルートから聞いたんだけどさ、ジュリアさんとゴーリスって、婚約してから結婚するまで十年以上待たされたんだって? ゴーリスが金の石の勇者をシルの町でずっと待ってたから。それってさ、ジュリアさんはつらくなかったの?」
 待たされる、ということばに、メールは敏感です。職務や戦闘に出かけていく渦王を、城で待ち続けていた亡き母を思い出すからです。フルートからジュリアとゴーリスの話を聞かされてから、いつか、その時のことを詳しく聞いてみようと考え続けていたのでした。
 あらあら、とジュリアが首をかしげました。とても不躾で失礼なメールの質問にも、怒った様子は見せません。ちょっと考えてから答えます。
「そうね……つらくなかったと言えば、嘘になるわね。なにしろ、あの人はシルの町に行って間もなく、私との婚約を破棄してきたから。その状態で待ち続けるのはね、たしかに、ちょっとつらかったわね」
「婚約を破棄してきた!?」
 メールとポポロは同時に驚きました。いつもはおとなしくて引っ込み思案なポポロですが、さすがにこういう話には夢中になってしまっています。
「ど、どうして? 嫌いになったとか、そういうことじゃ……ないですよね?」
 と自分から尋ねていきます。そう、今、二人はこうして結婚しているのですから、そんなことが理由のはずはありませんでした。
 ジュリアはまた静かにほほえみました。遠い昔を眺める目です。
「違うと思うわ。自分にはシルの町での任務があるから、あなたと結婚している暇はない。この婚約はなかったことにして別の男性のところへ嫁ぐように、と一方的に手紙を書いてよこされてね、後は、こちらからいくら使いをやっても、けんもほろろの扱いだったの。あの人は、ああ見えてとても真面目だから――私を待たせ続けることに我慢できなかったのでしょうね」
 わぁお、とメールが声を上げました。あまり女の子らしくない調子です。ポポロがまた尋ねました。
「でも、それでもジュリアさんは待ってたんですよね。どうして……? 小さい頃から家同士で決められてた許嫁かなんかだったの……?」
「いいえ、私は地方の小貴族の娘ですからね。家柄も資産も、あの人とは比べものにもならないわ。そんな家同士で婚約なんてするはずなくてよ」
「だけどさ、その資産目当てで待ってたわけでもないよね? そんなの、想像がつかないもん!」
 とメールが言います。悪気は全くないのですが、本当に、この海の王女は歯に衣着せない言い方をします。ジュリアはそれでも怒ることなく、静かにうなずきました。
「そうね、そんなことで待ち続けたわけじゃないわ……」
 ほほえむ瞳を窓の外に向けます。中庭のどこかでは、夫のゴーリスがフルートや占い師のユギルたちと話をしているはずです。
「じゃ、どうして!?」
 少女たちはいっせいに身を乗り出して尋ねました。メールもポポロも、納得のいく話を聞かせてもらうまでは、とても退けない気持ちでいます。その真剣な表情に、ジュリアはまた、あらあら、と声を出しました。
「とんでもない話を始めてしまったかしらね? ……そんなに聞きたくて?」
 メールとポポロが大きくうなずきます。
 「それじゃあ――ケーキが焼き上がるまでの間、少しだけね。でも、この話は他の人たちには言ってはだめよ。特に、主人には内緒。人に話したとわかったら、後で怒られてしまうから」
 そう言って、ふふふっと笑うジュリアは、まるでメールたちと同じ年頃の少女のようでした。
 メールとポポロは大きくうなずき、そして、三人の女性たちは、台所の片隅で、内緒の思い出話を始めたのでした――。

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 「私はさっきも言ったとおり、地方の小貴族の娘だったの。それでも、女性は十八の年になると社交界にデビューするのがしきたりだから、故郷から馬車で王都ディーラまで出ていったわ。実際にはもう十九になっていたのだけれどね……」
 デビューにかかるお金を準備するのに時間がかかったのよ、と言って、ジュリアが笑います。貴族と言っても、地方に住む身分の低い小貴族たちは領地も狭く、そこから上がってくる税金も少ないので、下手をすれば、都市部の庶民よりつましい生活をしなければならないのでした。
「古い馬車に御者と乳母の二人だけをお伴に、ディーラを目ざしたわ。ディーラには親戚に当たる人がいたから、そこにしばらく身を寄せることになっていたの。私も年頃の娘でしたからね、華やかな社交界を想像して、それは胸躍らせていたものよ」
 メールは海の王の娘ですが、貴族や社交界と言ったものは、海の民には存在しません。ポポロは天空の国の貴族ですが、こちらもまた、人間で言うところの貴族とはまるで違った存在なので、やっぱり、社交界などというものはまったく知りません。珍しい話を聞く気持ちで、二人の少女は一生懸命、ジュリアの話に耳を傾けていました。
「でもね、慣れない道だったものだから、馬車が街道脇の崖から転落してしまったのよ。小さな崖で、それも今はもう、陛下が直々に補修をお命じになって、何の危険もない場所になっているけれど。でも、運悪く、私たちはそこから落ちて、馬車は壊れてしまうし、御者も乳母も怪我をして動けなくなってしまったのよ。馬も負傷して、奇跡的に怪我をしなかったのは私だけ。夜の闇が迫ってくる時間帯だったわ。だから、私たちの馬車も先を急ぎすぎて、曲がり角の崖に気がつかなかったのだけれどね。なんとか私は崖の上まで上がったけれど、街道を通りかかる人もなかったものだから、とにかく、助けを求めて走ったわ。ディーラにはだいぶ近い場所で、灯りが見えていたから、町の方向はわかったの。走って走って……どのくらい走ったかしら? よく覚えてもいないのだけれど、とにかく走って、町の入口まで来たところで、真っ先に出会った人に飛びついて助けを求めたの。『お願いです、馬車が壊れて供のものが怪我をしています。助けてください!』って……。夢中だったから、それがどんな人かも確かめる余裕はなかったんだけれど、それがね、あの人――アルバート・ゴーラントスだったのよ」
 少女たちはまた、きゃあ、とも、ひゃあ、ともつかない声を上げました。
「で、そこでゴーリスがかっこよく助けてくれて、それで二人は知り合ったわけ? うっわぁ! 物語みたい!」
 メールが歓声を上げます。けれども、ジュリアは笑いました。
「いいえ、かっこよく助けてなんてくれなかったわ。あの人はね、私をちらりと見ただけで、町の方を顎で示して言ったのよ。『向こうに衛兵の屯所がある。用事があるなら、そっちへ行け』ってね。よく見たら、黒ずくめの服にひげ面の怖そうな人で、腰には大きな剣を下げていたし。これはてっきり強盗の親分にでも声をかけてしまったに違いないと思ったわ」
 あれまぁ、と少女たちがあきれます。が、今でもゴーリスは決して愛想の良い人物ではありません。余計な物言いはしませんし、目つきにも態度にも厳しいところがあります。若い頃のゴーリスの姿もなんとなく想像がつくような気がしました。

 ジュリアが話し続けます。 
「もう、私はドキドキよ。強盗の親分につかまってしまわないように、後ずさりながら、お礼を言いながら、町の屯所まで走っていこうとして――でも、私、その時裸足になっていたのね。高いかかとのある靴ではとても走れなくて、途中で脱ぎ捨ててきちゃったから。それにあの人が気がついて、『靴はどうした』って聞いてきたの。聞かれたら、答えるしかないわ。『走るのに邪魔だから脱ぎ捨てました』って正直に答えたら、今度は『走ってきた?』って。それから、『どこから?』と聞かれたから、崖の場所を教えたら、あの人はとても驚いてね……後でわかったのだけれど、私、夜道を裸足で六キロ以上も走っていたらしいのね。本当に夢中で、そんなに走ったなんて思ってもいなかったのだけれど。あの人が私に関わろうとしなかったのも当然。走っているうちに、私は髪の毛はざんばら、何度も踏んづけてしまったから、ドレスの裾もぼろぼろ。汗で化粧も落ちているし、とんでもない格好になっていたのね。あの人はあの人で、私を、頭が変になって家から抜け出してきた、かわいそうな娘だと思っていたらしいのよ」
 お互いさまよね、と言って、くすくすとジュリアが笑いました。少女たちは何も言えません。ただただ呆気にとられて、話を聞き続けます。
「その後は、あの人もすぐに助けてくれたわ。屯所に連れて行ってくれて、衛兵と一緒に馬車が落ちた場所まで駆けつけてくれて、乳母や御者を助けてくれて……。やっと、ディーラの親戚とも連絡がついて、迎えに来てもらえる段取りになって、やれやれ、とあの人に御礼を言おうとしたら――いないのよ。もう、どこにもいないの。名前も名乗っていかなかったわ。衛兵たちに聞いても、どこの誰とも全然わからなかったし……。これも、後でわかった話なのだけれど、あの人は時々自分の屋敷を抜け出して、ディーラの下町まで剣の稽古に出かけていたらしいのね。お忍びだったから、自分の身分や名前を明かすわけにはいかなくて、いつの間にか姿を消していたの。もっとも、あの人自身、そういう場面で大げさにお礼を言われたりするのは好きじゃないから、逃げてしまったのだけれど、ね」
 そう言ってほほえむジュリアの顔には、慈しむような表情がありました。偏屈で無愛想な自分の夫を、心から理解して受け入れているように、少女たちには見えました。

 「でもさ、それじゃどうやって二人は知り合ったわけ? どっかで再会したんだろ?」
 とメールが尋ねました。
 ジュリアは、また、あら、と言って頬に手を当てました。
「困ったわね。このくらいでいいことにしない? これ以上話したら、本当に、私はあの人に叱られてしまうのだけれど」
「そんなぁ! ダメだよ!」
「あたしたち、絶対に誰にもしゃべらないから!」
 少女たちがあまり熱心に頼むので、とうとうジュリアも根負けしました。絶対に、絶対に内緒よ、と言って、さらに思い出話を続けました――。

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 その日、ジュリアは生まれて初めて出席した舞踏会で、ただただ圧倒されてしまっていました。とある老貴族の誕生祝いのパーティで、規模も内容もディーラの貴族たちからすれば、ごく普通のものでしたが、地方から出てきた小貴族の娘の目には、信じられないほど豪華な集まりに映りました。この世のものとも思えないほど美しく着飾った男女が、目の前で演奏する楽団の曲に合わせて、軽やかにステップを踏みます。それはまるで、おとぎ話に出てくるエルフたちの舞いのようです。
 ジュリアを連れてきた親戚は、パーティの主役や主だった人たちに、彼女を紹介してくれました。けれども、同じように社交界デビューする娘や息子を紹介しようとする貴族たちは数え切れないほどいて、身分も資産もない地方の小貴族の娘と挨拶以上の話をしようとする者など誰もいませんでした。
 それでも、ジュリアは目の前のきらびやかな集まりを、飽きることなく眺めていました。これが社交界というものなんだわ、とただただ感心してしまいます。誰も自分を相手にしてくれないことなど、これっぽっちも気になりませんでした。むしろ、ゆっくりとパーティや人々の観察ができるので、放っておかれて好都合なほどでした。
 すると、目の前を通り過ぎていく年配の婦人たちの話し声が聞こえてきました。
「まあ、なんであんな方がおいでになったんでしょう。場をわきまえてらっしゃらないこと」
「珍しいですわね。あの方がこんな集まりに出てらっしゃるなんて」
「いやですわ。せっかくのお祝い事が台無しになるじゃありませんの」
 口調こそ丁寧ですが、とんでもなく鋭い揶揄と非難の響きが込められています。それが、本当に美しく着飾った上品な婦人たちの口から出てきたので、ジュリアはびっくりしてしまいました。中央の貴族たちの陰険さを、この時、彼女は初めて目の当たりにしたのです。
 この人たちにこんな悪口を言われているのは誰かしら、と思わず会場を見回して、ジュリアはまたびっくりしました。パーティの主役の老貴族に挨拶を終えたひとりの貴族が、こちらへ向かって歩いてくるのに気がついたからです。周り中の人々が、先の貴婦人たちと同じ揶揄と非難のまなざしを向けています。好奇心に満ちた目で眺めている人々もいます。普段、パーティに滅多に顔を出さないその人物が、何故ここに現れたのだろう、と動向を見守っているのです。
 その人は、たくましい体を仕立ての良い黒ずくめの服で包んでいました。大股に、まっすぐ壁際のジュリアへ歩み寄ってきます。ジュリアは驚きのあまり声が出ませんでした。間違いありません。腰に剣はないし、身なりも、あの時よりずっと上等になっていますが、それは夜道でジュリアと供のものを助けてくれた無愛想な青年だったのです。
 青年はジュリアに無骨な手を差し出しました。
「俺と一曲踊ってもらえるだろうか――?」

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 「ホントにホントっ!? あのゴーリスがホントにそんなこと言ったのっ!?」
「ジュリアさんのことが忘れられなくて、わざわざ会いに来たのね。うわぁ……なんだか、すごい!」
 メールとポポロは、ジュリアの思い出話に大騒ぎです。すると、ジュリアがちょっと恥ずかしそうに笑いました。
「そんなにロマンチックな話でもなかったのよ、その時は。私は、あの人が貴族だったってことにびっくり仰天してしまっていて――絶対に、町の剣士かなにかだとばかり思っていたから――言われて一緒に踊ったけれど、ろくに話もできなかったの。助けてもらったお礼を言うのがやっと。そしたら、あの人はなんて言ったと思う?」
 少女たちは目を丸くしました。
「……どういたしまして、とか、大したことではない、とか?」
「いいえ。『あなたは走るのが得意なのか?』と聞いてきたのよ。大真面目な顔で」
 少女たちは大爆笑です。今はいぶし銀のようなゴーリスが、女性への話しかけ方ひとつ知らない無骨な青年になって、目の前に現れてきたような気がします。
「それで? それで? ジュリアさんはなんて答えたのさ?」
 メールが腹を抱えて笑い転げながら尋ねます。
「なんて答えていいのかわからなかったから、とにかく正直に答えたわ。『私の故郷は山の多い場所だから、小さい頃から歩いたり走ったりするのには慣れています』ってね。そうしたら、『そうか』と納得して、後はそれっきり、なにもおっしゃらなかったの――」
 少女たちはまた大爆笑です。

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 けれども、そんなジュリアをどうやらゴーリスは気に入ったようで、その後、ことあるごとにジュリアの元に花や贈り物が届くようになりました。
 変人で偏屈でも、ゴーリスは古くからロムド国王に仕える名門貴族のひとりです。父親は三年前にこの世を去っていて、ゴーラントス家の跡継ぎが誰をめとるのかと注目されていました。本当ならば、噂も華やかなはずの立場の人物です。ところが、当人は必要最低限の集まりにしか顔を出さず、女性どころか人とも滅多に顔を合わせず、噂によれば、しょっちゅう屋敷を抜け出しては都の下町に出入りしている――それも、ろくでもない場所に入り浸っているということで、都の貴族たちは、ゴーラントスという名前を聞いただけで、顔をしかめて鼻の頭にしわを寄せるようになっていました。本来なら山のように押し寄せてくるはずの縁談も、ゴーラントス家の跡継ぎには、数えるほどしか舞い込んできませんでしたし、それも、片っ端から当人が断ってしまっていました。
 そんなゴーラントス卿に、ついに意中の女性が現れた。それも、都の貴族たちが誰も名前も聞いたことがなかったような、地方の小貴族の娘だという。ディーラの社交界はその話題で持ちきりになり、物見高い貴族たちが、毎日のようにジュリアを「見物に」やってきました。まったく、都の貴族たちのいい暇つぶしの種にされたのです。
 さすがのジュリアもこれには閉口しました。連日、貴族たちがとっかえひっかえ訪ねて来るので、身を寄せさせてもらっている親戚にも多大な迷惑がかかります。ジュリアとしては、ゴーリスを嫌いというわけでもなかったのですが、どのみち都の大貴族と地方の小貴族とでは身分が違いすぎます。ジュリアがゴーリスを色仕掛けで落として玉の輿を狙っているのだという、とんでもない噂も耳に入ってきてしまいます。とうとうジュリアはゴーリスには何も言わずに、ロムドのはずれにある故郷へと戻っていきました。王都ディーラから北東へ、馬でも十日以上かかる辺境です。山間にひっそりと横たわる小さな領地で、ジュリアはまた元の静かで平凡な生活に戻れるはずでした。

 ところが、そこにもやがて都からゴーリスの贈り物が届くようになったのです。まれに手紙が添えられてくることもありました。たいていは短い時候の挨拶でしたが、ジュリアは丁寧に返事を書き続けました。贈り物などいただくいわれはないと思っていましたが、それでも感謝の気持ちは示さなければならないと思ったのです。
 すると、ある時、近いうちにあなたの故郷を訪ねたい、と書かれた手紙が届きました。まさか大貴族のゴーラントス卿がこんな田舎に来るはずはない、ただの社交辞令に決まっている、と思いながらも、なんとなくジュリアの胸がときめいたのは事実でした。
 本当にゴーリスがジュリアの屋敷を訪ねてきたのは、それから半年後、二人が初めて出会ってから一年あまり後のことでした。
 久しぶりに再会したゴーリスは、相変わらず黒ずくめで厳しい目をしていて、大貴族というより剣士と呼ぶ方が断然ふさわしいように見えました。やっぱり口数少なくて、ジュリアに会っても、喜んで何かを話すというわけでもありません。ただ、山のような贈り物を一緒に運んできて、それをジュリアの屋敷の居間に積み上げて、ジュリアの父親に向かって短く言ったのです。
「あなたの令嬢のジュリア殿を私の妻にいただきたいのだ」
 仰天したのはジュリアの両親とジュリアでした。とても身分がつり合わない、持参金も準備できないから、お断りさせてほしい、とゴーリスに懇願しました。

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 「持参金? なにそれ?」
 とメールが不思議そうに尋ねました。ポポロにも意味のわからないことばです。
 ジュリアが穏やかに笑って答えました。
「人間が結婚するときのしきたりよ。奥さんの実家で、結婚していく娘にたくさんのお金や品物を準備してやらないといけないの。フルートのような庶民なら持参金も形ばかりだけれど、貴族はね、そういうわけにはいかないのよ。しかも、ゴーラントス家は大貴族。そこに嫁にやるとなったら、屋敷や領地全部を売り払ったって、とても持参金なんて準備できなかったのよ」
 それを聞くと、ふうっとメールは溜息をつきました。さっきから、彼女は貴族同士の結婚の話に溜息をつき通しです。
「人間ってホントめんどくさいよねぇ」
 と海の王女はひとりごとのようにつぶやきました――。

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 それでも、ゴーリスはあきらめませんでした。ジュリアの両親やジュリアが何度断っても、それでも手紙を送り、金品を送り、自分自身で訪ねていきます。そんなことが一年以上も続いたある日、屋敷を訪れたゴーリスに、とうとうジュリアは自分自身で尋ねました。
「何故そんなに私に固執なさいますの、ゴーラントス様? 私はしがない小貴族の娘です。私よりもっと身分も資産も教養もある、あなた様につり合う方は、世間に大勢いらっしゃいますわ。それなのに、何故こんなにも私にばかり? 私のどこが、そんなによろしいとおっしゃるのですか?」
 穏やかで物静かに見えても、芯には強いものを持つジュリアです。その物言いも、遠慮している口調ではなく、本当に不思議に思って真相を確かめようとしている人のものでした。
 すると、ゴーリスが微笑しました。めったに表情を変えない黒衣の剣士ですが、ジュリアと二人だけでいるときには、ふっとその表情がなごむ瞬間があります。
「本当ならば、あなたはこの世で一番素晴らしい女性で、あなた以外の女性などとても考えられないからだ、とでも言わなくてはならないんだろうが――」
 とゴーリスが答えました。相変わらず、口調はぶっきらぼうです。
「あいにくと、俺はそんな歯が浮くようなセリフはとても言える人間じゃない。お世辞も社交辞令も、死ぬほど苦手だ。いつだって、俺に語れるのは、俺にとっての真実だけだ。一度だけしか言わん。聞きたければ聞くがいい」
 ジュリアはうなずきました。
 ゴーリスは語り始めました。

 「俺は今はこうしてゴーラントス家の家長を務めているが、もともとは、先代のゴーラントス卿だった父の、妾(めかけ)の子だ。俺の母親は俺が四つの年に死んだが、俺が覚えているのは、いつも父の気を惹こうと美しく着飾って、父の正妻と張り合っていた姿だけだ。まるで飾り羽根を広げて威嚇し合うクジャクのようだと思ったもんだ。母親らしいことをしてもらった覚えもない。母が病気で死んだときに自分が泣いたかどうかも覚えていない。泣かなかったのかもしれないな……。母が死んだとき、俺の父にはすでに正妻が産んだ三人の息子がいて、跡継ぎは充分間に合っていたから、俺はすぐに養子に出された。あなたのような地方の小貴族だったが、彼の目的は俺ではなく、俺を養子にして大貴族のゴーラントス家とつながりを深めて、その恩恵に預かることだった。おかげで、俺は四六時中ほったらかしにされていた。好都合だったがな。何をしてもとがめられることがなかったし、好きな剣術にも思う存分没頭することができたから。今でも俺は、着飾ったヤツらが嘘ばかり並べ立てる貴族の世界より、下町の庶民の生活の方が好きだ。子どもの頃からずいぶん遊び回って、なじみのある世界だからな」
 ジュリアの屋敷の小さな中庭の、東屋のように枝を広げる木の下で、ゴーリスとジュリアは並んで立っていました。ゴーリスの目はジュリアを見てはいません。ここにはない、遠い昔の景色を眺めています。
「ところが、俺が二十二の年に、ゴーラントス家の跡継ぎが次々に流行病(はやりやまい)で死んでしまった。三人が三人ともだ。正妻も同じ病気で死んだ。娘が他に二人いたが、これはすでに嫁に行っていて、家には子どもがひとりも残っていなかった。俺の父親はすでに七十に近い老齢になっていた。そこで、思い出したように呼び戻されたのが俺だ。その時から、いきなり、おまえはゴーラントス家の跡継ぎだ、次の家長だ、と言われて、徹底的に大貴族の勉強をさせられたが、なに、そんなもの。しょせん付け焼き刃だ、身につくものか。剣に自信はあったから、それで陛下のお役に立ちたいとは思っていたが、別に出世したいとも思わなかった。父は俺に陛下の親衛隊長か近衛隊長でも狙わせたかったようだが、まっぴらごめんだと思っていた。宮廷は嘘と虚構の世界だ。陛下は立派な方だが、それに付属する貴族どもには、ろくでもないヤツらが掃いて捨てるほどいる。そんなヤツらの中になど入るものか、そんな世界で育った女などめとるものかと、ずっと思ってきた。そのうちに父が死んで、本当に俺はゴーラントス家を継いだが、家を盛り立てるとか、存続させるとか、そんなことはこれっぽっちも考えてはいなかった。今でも全然考えていない」
 ゴーリスは、普段からは想像もつかないほど饒舌になっていました。吐き出すように話す口調が、感情の強さを伝えます。この大貴族の青年は、貴族でありながら、自分の地位や身分を深く憎んでいるようでした。
 けれども、ゴーリスがジュリアに目を向けたとたん、その強く険しい調子が、ふっとなごみました。おびえたように目を見張る彼女に向かって、静かにほほえんで見せます。
「あなたは違うな。そういう貴族どもとは違う人種だ……。あなたがそうだと言えば、それはまさしくその通りだし、あなたが違うと言うことは、確かに違うのだ。出会ってから、どのくらいたった? 二年は過ぎたか? その間、あなたが俺に嘘をついたことは、一度だってなかった。都の貴族たちの中では考えられないことだ。だが、あなたはいつだって、飾ることも偽ることもせずに、ただ本当のことだけを言う。――あなたは俺に何度も、結婚することはできない、と言った。だが、俺を嫌いだ、とは一度だって言ったことがないんだ」
 ジュリアは思わず真っ赤になりました。思いがけず、隠していた心の中をあらわにされてしまったような気がしました。裸でゴーリスの前に立っているような、どうしようもなく恥ずかしい想いでいっぱいになります。
 そんなジュリアを黒衣の戦士は引き寄せ、その白く細い手を、自分の無骨な両手で包みました。
「あなただから、結婚したいのだ。身分や家柄のある女など俺には必要はない。むろん、持参金などもいらん。ただ、あなたにそばにいてもらいたい。嘘を言わずに――ただ、俺のそばにいてほしいのだ」
 ジュリアはゴーリスを見上げました。せつないくらいに真剣な色がそこにあります。嘘をつけないのは、この人物も同じなのです。嘘がつけないからこそ、真実を求め続けるのです。
 ジュリアは、栗色の髪の頭をかしげて、やさしく相手を見つめました。
「それならば――そのくらいのことならば、私でもきっとできますわね、ゴーラントス様」
 そう答えてほほえんだとたん、大粒の涙がジュリアの目からこぼれ落ちました。

     ☆。・:*:.・★,。・:*:.・☆ 

 「けれども、それから間もなく、あの人に陛下からの勅令が下ったの」
 とジュリアは話し続けていました。メールとポポロは、もう茶々を入れたり、はやし立てたりすることもできなくて、ただただ彼女の話を聞いています。ジュリアの口調は淡々としていました。
「新しくお城に来た若い占い師が陛下に進言したのだと聞かされたわ。今でこそユギル様は押しも押されもしない城一番の占者だけれど、あの当時は、年も若かったし、誰もその占いを信じようとはしなかったわ。ただ、国王陛下だけが信じて、あの人に、シルの町まで出向いて、魔の森から現れるという金の石の勇者を迎えるように、とご命令になったの。私たちは、結婚式を二ヶ月後に控えていたのだけれど、勅令ではどうしようもなかったわ。あの人は単身でシルの町へ向かって、私は自分の屋敷であの人を待つことになったの……。でも、三ヶ月たっても、半年たっても、金の石の勇者はいっこうに現れない。それならばいっそ私の方からシルの町のあのひとのところへ押しかけようかとさえ考えたけれど、小さい頃から庶民の中に出入りしていたあの人と違って、私はどうしても貴族のふるまいが抜けないわ。シルの町に潜入しているあの人の正体を明らかにするようなことはできなくて、ただ、便りを交わし合うことしかできなかったの。でも、それも、一年を過ぎる頃に、突然向こうから婚約破棄を言い渡してきてね――最初に話した通りよ。自分にはシルの町で待つ任務があって、結婚している暇がないから、この婚約はなかったことにして、別の男性の元へ嫁ぐように、って。――ねえ、冗談じゃないことよねぇ」
 そう言って、ジュリアは少女たちに笑って見せました。何故だか見ている方が胸が痛くなってくるような笑顔でした。
「あの人は、本当に嘘をつくのが下手なの。こちらからいくら手紙を送っても、話をしたいと言っても、使いの者を追い返してしまうばかり。でも、その使いの者が、どんどん荒れていくあの人の様子を伝えてくれたわ。酒に溺れて、見る影もなくなったような、あの人の姿をね……。シルの町では、いつの間にか『酔いどれゴーリス』と呼ばれるようになっていたらしいわね。それでも、あの人は待ち続けたの。いつ現れるかわからない、金の石の勇者をずっと――」
 そして、実に十年の後、ついに現れたのがフルートです。それまで、ただのシルの町の子どもだとばかり思っていたフルートが、待ち続けていた金の石の勇者だとわかったときの、ゴーリスの驚きがどれほどのものだったか、ジュリアにはわかるような気がしました。そして、過ぎてしまった十年という歳月の長さと重みを、改めてかみしめてしまったのに違いない、ということも……。
「金の石の勇者が見つかっても、あの人はすぐには都に戻ってこなかったわ。フルートを勇者として鍛える役目があったから。その後、ロムドの国は闇の黒い霧におおわれてしまったの。フルートが金の石の勇者として旅立って、ゼンやポチと活躍した話は知っているわよね? あの人は、ロムド城でそれをずっと見守っていたわ。その後は、今度は陛下の側近とも言えるような地位に抜擢されて……十年間、陛下の命令に従って待ち続けたことと、金の石の勇者を育てた功労を認められたのね。あの人はとても忙しくなって……そして、とうとう、一度も私を訪ねてくださらなかったの」
 メールとポポロは目を見張りました。十年間、待ちに待ったのはジュリアも同じです。その彼女をゴーリスが訪ねようとしなかった、というのは、少女たちには理解できないことだったのです。どうして? と尋ねると、ジュリアはほほえみました。過ぎた思い出にも、淋しそうな表情をしています。
「責任を、感じていたのでしょうね。王都ディーラに戻って、私がまだ結婚もしないであの人を待ち続けていたと知った時、あの人はとても驚いたのだと人から伝え聞いたわ。でも、あの人から来たのはお手紙だけ。それも、今すぐ誰かと結婚するように。今まで正式に婚約を解消しなかったのは自分の不手際だったから、慰謝料として私の望むだけのものを支払う、ってね。……それだけの内容よ」
 少女たちはまた、何も言えなくなってしまいました。大人の世界のやりとりというのでしょうか。本当は好き合っているはずの二人が、やっとまた一緒に暮らせる場所に戻ってきたというのに、それでも相手を拒否しようとする心理が、彼女たちにはまだよくわかりませんでした。ただ、ことばにならない怒りと悲しみがこみ上げてきてしまいます。
 やっとのことで、メールが言いました。
「そんな――そんな馬鹿な話って、ないじゃないか!」
 ポポロも必死で言いました。
「でも、それでも、ジュリアさんはあきらめなかったのでしょう!? だって……だって……!」
 ジュリアは、本気で怒り悲しんでくれる少女たちを優しい目で見つめました。いい子たちね、と心の中でつぶやくと、笑顔になって答えました。
「もちろんよ。だって、私たちは現に、こうして結婚しているんですからね――」

     ☆。・:*:.・★,。・:*:.・☆ 

 手紙を受け取ってすぐ、ジュリアは馬車でディーラのゴーリスの屋敷へ向かいました。屋敷の門や入口に立つ門番や取り次ぎをすべて押し切り、制止しようとする人々の間をすり抜けて、奥の書斎まで駆け込みます。
 十年あまり待ち続けたその人が、書斎の真ん中に立っていました。たくましい体つきは相変わらずですが、黒かった髪にはめっきり白いものが混じり、顔は頬がこけて、いっそう厳しい顔つきになっています。ジュリアは思わず泣き出しそうになりました。十年分、年をとったのは自分も同じです。けれども、目の前にいたゴーリスは、十年のその倍近くも年をとってしまったように見えたのです。長い間の苦労が、そのまましわに変わって顔に刻まれたようです。
 すると、ゴーリスが少しだけ笑いました。黒い瞳が淋しげなほほえみを浮かべます。
「あなたは、相変わらず走るのがお得意のようだ」
 近くにいるのに遠く離れた場所にいるような、目には見えない壁があるような、越えることのできない距離感がふたりの間に横たわっていました――。

 「慰謝料で解決なさるとおっしゃるのですか?」
 とジュリアはゴーリスに尋ねました。考えを変えさせるためにも相手を責める口調にしたいのに、どうしても、哀願するような声になってしまいます。ゴーリスは表情も返事も冷静でした。
「俺にはこれしかできることがない。あなたに十年も無駄な時間を過ごさせてしまったことは、本当に申し訳なく思っている。金や物で償えるものではないことはわかっているが、他に方法がないのだ」
「なんでも、私の望むだけのものを支払うと?」
 ジュリアはすでに泣き声になっていました。泣くまいと、冷静に話し合おうと、道々心に誓ってきたのに、やはり耐えることができませんでした。すぐ目の前に立つ愛しい人に、どうしても手が届かないのです。
「俺は嘘は言わない。さすがに、この命だけは差し出せないが、それ以外のもので俺に支払えるものであれば、なんでもあなたに差し上げよう」
 ジュリアは笑いました。笑いながら涙がこぼれてきます。
「もしも、私があなたにゴーラントス家の地位と財産をすべてよこせと申し上げたら、それでもかまわないとおっしゃるの?」
 ゴーリスの顔に薄い笑みが浮かびました。先のほほえみとは違った、冷ややかな笑顔でした。
「それであなたの気がすむのならば。もとより、俺はゴーラントス家など望んではこなかった。それがほしいと言うのならば、すべてをあなたに譲り渡そう。陛下は家臣の身分を気にされない方だ。俺は一介の剣士として陛下にお仕えする。俺はそれで充分なのだ」
 ジュリアの目から涙がこぼれ続けました。そこにいるのは決して嘘を言わない人物です。そのことばは紛れもない本心で、本当に、どこにもとりつく島がありません。
 ジュリアは泣きました。泣きながら、懸命に言い続けます。
「では、金の石の勇者は? あなたは金の石の勇者の後見人でいらっしゃる。その権利をお譲りください、と申し上げたらば?」
 とたんに、ゴーリスの表情が変わりました。ジュリアを哀れむような表情が、一転して、信じられないほど険しくなります。目を白く光らせながら、ゴーリスは答えました。
「それはできない。あいつは俺の所有物ではないし、俺はあいつの後見人というわけでもない。あいつは金の石に選ばれた勇者だ。誰の命令も受けずに、ただ石と自分の意志に従って世界のために戦うのが役目だ。そもそも俺のものではないものを、あなたに渡せるはずはない」
 声も態度も、はっきりとジュリアを非難しています。ジュリアは恐ろしくなって、思わず後ずさりました。ただ言ってみただけです、と言おうとするのに、怖くてその声さえ出せませんでした。
 そんな彼女に、ゴーリスは宣言するように言いました。
「俺に支払えるものであるなら、俺はいつでもなんでもあなたにそれを支払う。それが俺の償いだ。だが、今日は帰るがいい。もう日が暮れる。暗くなってからの道は物騒だ。また出直してこられよ」
 冷たく固い拒絶でした。どんなに追いすがって引き止めようとしても、この人は絶対に自分の元へは戻ってこないのだと思い知らされてしまいます。
 はらはらと涙を流しながら、ジュリアは尋ねました。それこそが、一番最初に、当たり前に出てきそうな質問でした。
「ゴーラントス様……他に好きな方がおできになったのですか?」
 すると、たちまちゴーリスの態度が和らぎました。同情するような、優しい距離感を漂わせて答えます。
「俺は生涯、結婚はしない。あなたとも、あなた以外の女性とも、誰ともだ」
 もう帰られよ、とゴーリスがまた言いました。
 ジュリアは泣きながら、ゴーリスの屋敷を後にしました。

     ☆。・:*:.・★,。・:*:.・☆ 

 それから半年ほどの間、ジュリアはゴーリスの元を訪ねませんでした。
 慰謝料の件を巡って喧嘩別れのようになったので、ゴーリスとしても気がかりではあったのですが、それ以上に、国政に絡む業務が忙しくなっていました。
 今やゴーリスは周囲の誰もが認める、国王の重臣のひとりです。彼が見つけ出してきた金の石の勇者は、今度は隣国エスタを風の犬の危機から救い、エスタ国王はそれに感謝して、ロムドと永久に同盟を結ぶと言ってきました。それがことばだけではない本物の和平条約らしい、とわかって、ロムド国民は誰もが驚嘆しました。隣国エスタとの対立は、数百年にも及ぶ歴史があります。その血みどろの争いに、ついに終止符が打たれたのです。
 誰もが金の石の勇者の功労を認め、その勇者の育ての親であるゴーリスの地位もまた相対的に上がりました。国王も国政にゴーリスの意見を求めます。ゴーリスは国の庶民の暮らしぶりに精通していたので、その見解が高く買われたのです。いつのまにかゴーリスは、国王の片腕とも言える身分にまで上り詰めていました。
 けれども、国の誰からも敬われる立場になっても、ゴーリスは相変わらずゴーリスのままでした。金の石の勇者を見つけたもう一人の功労者である、占者ユギルと共に、淡々と、そして休むことなく国王に仕え続けていました。偉ぶることもなく、派手な暮らしぶりを始めるでもなく、相変わらず偏屈で無愛想なままです。そして――相変わらず、浮いた噂ひとつありませんでした。
 独身で大貴族で国王の重臣の彼には、今では途切れることもなく縁談が舞い込むようになっていましたが、本人は仕事が忙しいから、と片端からはねつけていました。それは、どれほど身分高い相手からの話であっても関係なくて、相手の面子に配慮するなどということもなく、即座に断ってしまいます。宮廷の中では、ゴーラントス卿は仕事と結婚をして一生独身のままで過ごすのだろう、とさえ噂されていました。

 そんなある夜、ゴーリスの屋敷に訪問者がありました。いえ、正確には侵入者です。まだ夜更けには早い時間帯でしたが、闇に乗じて黒い服の数人の男たちが屋敷に入りこんできて、突然ゴーリスを取り囲み、力ずくで縛り上げたのです。
 さすがのゴーリスも、不意を突かれては抵抗のしようがありませんでした。屋敷の中では武器を外していたので、自慢の剣で戦うこともできず、罪人のように縄をかけられてわめきます。
「何者だ!? 俺にこんな真似をして何をするつもりだ!?」
 宮廷での地位が上がると言うことは、それだけ政敵も増えると言うことです。こんな危険な事態も予測して屋敷の守りを強めておいたのに、あっさりそれを突破されてしまったことにも衝撃を受けていました。
 すると、男たちの後から、ひとりの人物が部屋に入ってきました。
「何もいたしませんわ。ただ、お約束のものをいただきにまいっただけです」
 ジュリアでした。栗色の豊かな髪を結い上げ、深い緑のドレスに身を包んでいます。半年前の取り乱し方が嘘のように、その晩の彼女は落ちつき払って見えました。
 ゴーリスは顔をしかめました。
「約束のものというのは慰謝料のことか? ならば、あなたの望むものはなんでも支払うと言っておいたはずだ。こんな大げさな真似などする必要はないだろう」
 だから早く縄を解け、とゴーリスは言いましたが、ジュリアは首を振りました。穏やかにほほえみながら答えます。
「いいえ、ゴーラントス様。私がいただきたいものは、こうしなければ手に入らないのです」
 ゴーリスの表情が変わりました。疑うような目で、ジュリアの表情を探ります。
「俺の命をよこせというのか? それだけは無理だと言っておいたはずだぞ」
「いいえ、そんなものは」
 ジュリアは笑い声を上げました。首をかしげるようにして、とらわれの剣士を見上げます。
「私がいただきたい慰謝料はこれですわ。あなた様ご自身を私にくださいませ、ゴーラントス様。それ以外のものは、何もいりません」

 ゴーリスは呆気にとられました。目の前の女性をただ見つめてしまいます。
 もう娘とは言えない歳になってしまったジュリアですが、その分、落ちつきと賢さを漂わせながら、じっと彼を見つめ返しています。その瞳の奥には、強い決心の色がありました。
 ゴーリスは思わず目をそらすと、苦笑いを浮かべました。
「馬鹿なことを考えつく……。そんなことができるわけがないだろう。俺を慰謝料にもらい受けるなんてことが、どうしてできると思うのだ」
「でも、あなた様は、自分に支払えるものなら、なんでも私にくださると誓ってくださいましたわ」
 ジュリアの声はあくまでも穏やかです。
 馬鹿な、とゴーリスが笑い飛ばそうとしたとき、別の人物の声が部屋に響いてきました。
「おやおや、いけませんね。ゴーラントス卿ともあろうお方が、約束を反故(ほご)にすると言われるのですか?」
 長い銀髪に左右色違いの瞳の青年が部屋に入ってきました。暗い灰色の衣ですっぽりと身を包んでいるので、うっかりすると、夜の暗がりに溶け込んで見逃してしまいそうなほどです。
 青年を見たとたん、ゴーリスはまた顔をしかめました。
「なるほど、ユギル殿も一枚かんでいたのか。どうりで、我が家の守りがあっさりと破られたはずだ。天下の占者がついていたのではな」
「こうでもしなければ卿はお約束を守らない、と占盤に出ておりましたので」
 とユギルがすまして答えます。ゴーリスはますます渋い顔になりました。
「これはあなたには関係のない話だ、ユギル殿。ジュリア殿から何を聞かされたかわからないが、我々二人の話に、第三者が口をはさまないでもらいたい」
 けれども、いくらにらまれても、ユギルは涼しい顔のままです。
「そうはまいりません。卿はジュリア様に、確かに慰謝料としてなんでも与える、とお約束されましたし、手紙にもきちんとそう残っております。約束はお守りください、ゴーラントス卿。あなた様ご自身が、ジュリア様への慰謝料です」
「だから、何故そうなるのだ!?」
 ゴーリスはたまりかねて声を上げました。
「そんなことができるわけがあるまい! 馬鹿を言うにもほどが――」
「あなたを私の故郷に連れて帰ります」
 とジュリアが突然答えました。
「あなたは私のものですもの、私の好きにさせていただきますわ」
 ゴーリスはまた呆気にとられてしまいました。なんと答えて良いのかわからなくなったようで、しばらく考え込んでから、やっと口を開きました。
「ジュリア殿、常識で考えられよ。いくら、なんでも支払うと言っても、できるものとできないものがあるだろう。それに、俺は今、ディーラを離れるわけにはいかない。陛下がお許しになるはずがないのだからな」
 その声は、まるで小さな子どもをあやして言い聞かせるような口調でした。ゴーリスを見上げ続けるジュリアの目の中に、悲しい色が流れました。

 「本当に困ったお方だ……」
 とユギルがあきれたように肩をすくめ、急に部屋の扉の外へ呼びかけました。
「ゴーラントス卿はどうしても『うん』とおっしゃいません。どういたしましょう、陛下?」
「なに!?」
 ゴーリスが愕然としていると、今度はロムド国王自身が部屋の中に入ってきました。国務の場では必ずかぶっている冠を外し、ユギルと同じような暗い灰色の衣で身を包んで、お忍びの格好です。苦笑いをしながら占者に向かって言います。
「これ、ユギル。わしはこの場にはおらぬことになっているのだぞ。呼ぶのではない」
 けれども、そう言いながらも、国王の口調はどこか楽しそうでした。
 ゴーリスは本当に呆気にとられてしまって、しばらくは口もきけませんでした。目の前に立つ人々を眺め、その一番手前で自分に向き合っている女性を、つくづくと見つめてしまいます。
「陛下に直訴までしたのか……まったく、予想外のことばかりする人だ、あなたは」
 ジュリアはほほえみました。ことばで答えることはできません。ただ、万感を込めて男を見つめ返します。その瞳からは、今にも涙がこぼれ落ちそうになっていました。
 すると、ロムド国王が言いました。
「わしはジュリア殿の訴えに基づいて、この一件を詳細に検討した。確かにジュリア殿の請求には効力がある。そなたは彼女との契約に従う義務があるのだ、ゴーラントス卿。今すぐ、ジュリア殿の請求通りに慰謝料を支払うように。それができないというのであれば、そなたは相応の罰を受けることになるぞ」
「罰……どのような」
 とゴーリスが聞き返します。国王は重々しく答えました。
「王都追放だ。十年も待ち続けた婚約者をむげに見捨てるような薄情な人間を、わしの家臣に数えるわけにはいかぬ。即刻ディーラを立ち去って、地方へ下り、北の辺境で隣国からの攻撃に備えるが良い。行き先は、ジュリア殿の故郷だ――」
 ゴーリスは思わず天井をふり仰ぎました。ぐるです。国王もユギルもジュリアも、全員がぐるになって、ゴーリスをなんとかひとつの結論に追い込もうとしています。
 すると、国王が笑いました。王は年をとっていましたが、その声は張りがあり、意外なほど若々しく聞こえます。
「もっとも、実際にはゴーラントス卿に王都を去られるのは、ロムドにとって大きな損失だ。わしとしては、卿にはこのままディーラにいてもらって、卿の屋敷内で、ぜひジュリア殿への慰謝料になっていてもらいたいのだがな」
「陛下」
 ゴーリスは目を閉じました。苦笑いしか出てきません。

 すると、銀髪の占者が口を開きました。意外に思えるほど真剣な声で、こう言います。
「ジュリア様とご結婚ください、ゴーラントス卿。そして、幸せにおなりください。そうしていただかなければ、わたくしも陛下も、安心することができません」
 ゴーリスは思わず目を開けてユギルを見ました。青年は、青と金の色違いの瞳に痛ましい色を浮かべながらゴーリスを見ていました。この二人の現在の状態は、自分の占いの結果が招いたことなのだと、占者はわかりすぎるほどに承知しているのです。
 ロムド国王も静かに言いました。
「そなたもジュリア殿も、本当によく待ってくれた。これほど忠義に尽くしてくれる家臣を持てることを、わしは誇りに思っている。その忠信に報いたいのだ。過ぎてしまった十年は取り戻すことはできない。だが、この後の何十年という年月を、その空白を埋めるために使うことはできるだろう。二人共に生きていくことでな」
「陛下……」
 ゴーリスは何も言えなくなって、ただつぶやくように繰り返しました。目の前に立つ女性を、また見つめてしまいます。
 ジュリアはこらえきれずに泣き出していました。それでも、ゴーリスに向かってほほえんで見せます。
「半年の間、一生懸命考えました。処罰されることを覚悟で陛下やユギル様にもお願いしました。私は、あなたと一緒に生きていきたいのです。あなたのこれからの人生を、私にくださいませ。全てよこせ、とは申しません。あなたはこの国にも、金の石の勇者にも大事な方ですから。でも、あなたの人生の一部分は、ずっと私にもいただきたいのです。私を待たせて申し訳なかったと思うならば……それが、私への償いですわ……」
 ほほえむ頬の上を、大粒の涙が転がり続けます。
 ジュリア、とゴーリスはつぶやきました。敬称をつけ忘れたことには気づいていません。
 やがて、黒ずくめの剣士はほほえみました。罪人のように縄をかけられた自分の姿を見回して言います。
「返事をする前に、これを解いてくれないか。俺は逃げも隠れもせん。それに……この格好では、あなたを抱きしめることができないからな」
 ジュリアは両手で口を押さえました。見張った目から、さらに涙がこぼれ出します。それは嬉し泣きの涙でした。
 縄を解かれ、部屋の真ん中で抱き合う二人を、占い師と国王はほほえんで見つめていました――。

     ☆。・:*:.・★,。・:*:.・☆

 「とまあ、これが私たちが結婚するまでのいきさつよ」
 と栗色の髪の貴婦人は長い思い出話をしめくくりました。ほわぁんとした顔で聞き惚れていたメールとポポロに笑って見せます。
「実際に私たちが結婚したのは、それからさらに半年後の、先月のことよ。貴族の結婚は支度に時間がかかるから、これでも早い方だったの。結婚してからも、あの人は相変わらずとても忙しかったのだけれど、あなたたちがこのハルマスを訪ねるとユギル様が占ってくださったおかげで、私たちも、思いがけず新婚旅行に来ることができたというわけなの。こんなにゆっくり過ごせるなんて本当に夢のようよ。あなたたちに感謝しなくてはね」
 それを聞いてメールは何かを言いかけ、思い直したように口を閉じました。
 本当は、「でも、あたいたちがいなかったら、とっくの昔にジュリアさんたちは結婚できてたんじゃないのさ」と言おうとしたのです。けれども、それは言ってもしかたのないことです。ジュリアたちは、過ぎた時間ではなく、これからの時間を見つめているのですから、メールたちにも何も言うべきことはないのでした。

 「さあ、ちょうどケーキも焼けた頃のようね」
 とジュリアがかまどの扉を開けながら言いました。スグリのケーキの甘酸っぱい匂いが台所中に漂い始めます。
 すると、そこへ入口からゴーリスが顔をのぞかせました。後ろには銀髪の占い師を従えています。
「おお、いい匂いがするな」
 と夫に声をかけられて、ジュリアは穏やかにほほえみ返しました。
「メールとポポロが作ったのよ。フルートとゼンたちに食べさせたいって。上手にできたわね」
「そりゃ、さぞかしあいつらが喜ぶだろう」
 とゴーリスも笑います。
 そんなゴーリスとジュリアを、なんとなくどぎまぎしながら少女たちは見つめていました。表面からは見えなくても、ふたりの間にはしっかり通い合う心があるのだと考えます。
 のぼせたような顔をしている少女たちに、ゴーリスの後ろに立つユギルが、おや、という表情をしましたが、口に出しては何も言いませんでした。

 そこへ、今度は大柄な黒い鎧の戦士が顔を出しました。エスタの辺境部隊のオーダです。足下には、いつものように白いライオンの吹雪がお伴についています。
「ここにいたのか、ゴーラントス卿。俺たちはそろそろエスタに戻らねばならん。挨拶しようと思って探していたんだ――」
 ゴーリスたちが、廊下で話を始めました。
 ジュリアは少女たちを見ました。
「さあ、こっちはフルートやゼンたちを探さなくちゃね。ケーキでお茶にしましょう」
「あたいが呼んでくるよ!」
 メールが即座に答えて台所から飛び出していきました。廊下は通らずに、裏口から直接中庭に出て行きます。
 緑のあふれる中庭の小道を、風が吹き渡っていきます。心地よい初夏の風です。
 木の葉のさやぐ音を聞きながら、メールは今聞いた物語を思い返していました。城で夫の渦王を待ち続けていた母の姿と、十年間ゴーリスを待ち続けたジュリアの姿が、どこかでだぶります。明るい茶色の瞳をした少年の顔が、頭の中に浮かんで消えていきます。
 いつしか、メールは心の中でつぶやいていました。
 待っていたら――待ち続けていたら、いつかその人が自分を振り向いてくれる日も来るんだろうか……? と。
 中庭の上に広がる空は抜けるように青く、木立の隙間から見える湖の向こうには、デセラール山の頂が、青空を背景にくっきりと浮かび上がっていました。
 

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コメント

うぅ~ん、幸せですぅ~♪
朝倉さんクリスマスのプレゼントありがとうございます。
やっぱりハッピーエンドは心にしみるわ~。
何故かタイミングよく、「タイタニック」のテーマソングかかってるし(笑)

投稿: さゆた | 2006年12月19日 (火) 13時07分

あはは。
ばりばりのラブロマンスでございました~。 <(^▽^;)

投稿: 朝倉玲 | 2006年12月19日 (火) 13時47分

うん、
一足早いクリスマスプレゼントもらった感じ。
ありがとう!

あー、なんかほっこりしてきた。

投稿: むつごろう | 2006年12月19日 (火) 13時48分

うわぁ~。本当にロマンスですねぇ。
初めはメール達と一緒に笑いながら話を聞いて(読んで)いたのですが、
途中で切なくなってしまいました。
ぐるの2人が登場した時には思わず笑ったけど(笑)
ハッピーエンドで本当に良かったと思うし、幸せな気分にもなったけど、
心のどこかが苦しい感じがするのは、10年の重みなのかなぁ・・・。
でも、やっぱり「これから」が大切ですものね。
いい話を聞かせてもらいました。ありがとうございます♪

ゴーリス、ますます好きになったわ~。
あと、「恐妻家」の意味がわかりました(爆)

投稿: くらげ | 2006年12月19日 (火) 22時43分

>ゴーリス、ますます好きになったわ~。
>あと、「恐妻家」の意味がわかりました(爆)

ははは。わかったでしょー?
こんないきさつがあったので、
とてもじゃないけど、奥さんには頭が上がらないのです。(爆)

投稿: 朝倉玲 | 2006年12月20日 (水) 05時03分

さて、ではこれもHPの「サイド・ストーリー集」のほうに収録しましょうか。(笑)

投稿: 朝倉玲 | 2006年12月20日 (水) 05時04分

二人が結婚できて良かったー。ホッ。
しかし結婚式は先月のことだったのですね。
でもこんな強硬手段をとらなければゴーリスは「うん」と言わなかったのね。(笑)


あー、スグリのケーキおいしそう~!
甘酸っぱいいいにおいがするんだろうなあ。
で、走っていくメールがかわいいなあ。
そして私は今手に入らないものが欲しくなる。

心地よい初夏の風!

心地よい風に吹かれながら、木の葉のさやぐ、緑のあふれる中庭の小道を私も走ってみたい。
厳冬の風邪ならすぐに手に入りそうですが、初夏の風は半年以上は待たないとね。

投稿: アヒルのしっぽ | 2006年12月20日 (水) 15時01分

>しかし結婚式は先月のことだったのですね。

はい。
時間的には「フルート4~闇の声の戦い~」の69章・70章の
ちょうど「裏側」にあたってます。
フルートがゴーリスやユギル、ゼンと話している時に、
女性群はこんな話をしていた……というわけ。(笑)
前の月に結婚したばかりだ、というのは
同じ「4」の33章で言及されてます。
 >ゴーリスがユギルに冷やかされてるのさ。(爆)

ただ、ちらっちらっと「4」の時と違ってしまった部分があるから
あとでこっそり修正しないと……。(;^_^A

投稿: 朝倉玲 | 2006年12月20日 (水) 16時44分

楽しかったです〜。

独立した短編としても十分楽しめるうえに、これを読むだけで、これまでのあらすじと主要登場人物がわかっちゃうというオマケ付き。お得な気分でした。

投稿: たむりん | 2006年12月20日 (水) 23時46分

>独立した短編としても十分楽しめるうえに、これを読むだけで、これまでのあらすじと主要登場人物がわかっちゃうというオマケ付き。

ほ? あら、そう言われれば……。
そんなこと(これまでのあらすじ説明)なんて、ぜ~んぜん考えてませんでした。これだけで読んでも意味がわかるように、と考えていただけで。
でも、言われてみれば、確かにそうねぇ。(笑)

>楽しかったです〜。

と言ってもらえるのが、なにより嬉しいな。
楽しんでいただけて良かった!(*^▽^*)

投稿: 朝倉玲 | 2006年12月21日 (木) 05時12分

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