2019年12月25日 (水)

てくてく日記「ブックカフェで講師をしてきました」

Bookcafe  

 7月に「発達障害てくてく日記」の本を出したご縁で、先週の土曜日(12/21)に隣の国見町のブックカフェに呼ばれて、2時間ほどお話しさせていただきました。

 ブックカフェと言っても、そういう店があるわけではなく、会場は国見町の道の駅「あつかしの郷」の集会室でした。子どもや大人の読書活動に取り組む方たちが毎月集まって、講師を招いて本の話を聞いたり、それに基づいて話をしたりする活動をしているそうです。国見町は特に子どもへの読書啓発活動に力を入れているのです。

 上がその時の写真ですが、20人ほどが集まってくださいました。圧倒的に女性の比率が高かったですが、男性もいらっしゃいました。

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 「てくてく日記」に書いた我が家の次男は、3歳になるまでまともにことばが出ませんでした。

 少しずつ話せるようになってからも、こちらの言うことがなかなか理解できなかったり、思ったことがうまく伝えられなかったりして、そのたびにパニックを起こして大騒ぎをしていました。

 そんな彼の気持ちを少しでも理解したくて、また、彼を社会と繋いでいきたくて、彼にわかるようなことばを使ったり、働きかけをしたり。

 主治医からことばの発達に本の読み聞かせが良いと言われたけれど、どんな絵本も落ち着いて見ようしてくれなかったので、一計を案じてお話しタイムを設けることに成功したり。

 ブックカフェでは、息子のことばの発達や読書の取り組みにターゲットをしぼりつつ、障害に応じた工夫や理解を具体的に織り込んで、1時間ほどお話しさせていただきました。

 その後、30分間ケーキと飲み物でフリートークタイムを楽しんでから、残りの30分間で質疑応答。

 息子に実際に喜ばれた絵本や昔話も、当時を思い出して読んだり素語りしたりしたのですが、同じような活動をされている方たちから、とても興味を持っていただきました。嬉しかったです。

 発達障害についてや親としての気持ちについても質問をいただいて、大変熱心な集まりになりました。

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 今、次男はもう24歳になっています。アスペルガーではないので、ことばに飛び抜けて優れている、ということはないのですが、必要なことはちゃんと話せるし、理解もできるようになっています。自分の気持ちも自分でことばを見つけて伝えてくれます。

 長い長い取り組みの先に今の彼がいるのですが、ことばや物語の視点からそれをお伝えする機会がほとんどなかったので、今回こういう話をさせていただけて、とても幸せでした。

 うわべだけ上手なことばではなく、自分の気持ちをきちんと伝えられることばを身につけていくこと。また、本人に理解できることばや表現や手段を選ぶことで、子どもの中に聞いて理解できる(想像できる)力を育んでいくこと。そのためには本や物語がとても役に立ちました。

 私自身が物語を書く人間なので、我が子だけでなく、他の多くの子どもたちに物語の楽しさを伝えられたらいいな、と。そんなことも改めて思ったブックカフェでした。

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2019年12月11日 (水)

てくてく日記「ネクタイ講習会」

※複数のブログを更新するのが大変になってきたので、ブログの一本化を試行中です。今週は療育ブログ「てくてく日記」の記事になります。

Img_3802  

 上の写真は昇平が就労支援事業所で参加した「ネクタイ講習会」の資料です。

 昇平が通う事業所は、内勤の日にはスーツ着用が原則。でも自分でネクタイが結べなくて、家族に結んでもらったり、結び目ができているネクタイを使ったりしている利用者もけっこういます。

 そこで、保護者会と事業所が協力してして、9月11日にネクタイ講習会のイベントを開催しました。

 ちなみに女性の利用者には、プロの美容アドバイザーを招いて、社会人にふさわしいメイクアップの講習会を行いました。

 講習会は男性にも女性にも大好評。ネクタイが結べなかった利用者がネクタイを結べるようになったり、今まで知らなかったネクタイの結び方ができるようになったり。女性もみんな素敵な美人になりました。

 派手な身なりや化粧をする必要はないけれど、場にふさわしいネクタイや化粧をすると、社会人としての品格が増して、他人から見たときの印象がとても良くなりますね。(*^_^*)

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 さて、我が家の昇平も自力でネクタイが結べない人でした。

 今は施設外での実習があるので、スーツを着るのは週に2回だけですが、ネクタイは旦那が結んでくれたものを崩さないように締めたり緩めて外したりして使っていました。

 でも、ネクタイ講座を受講したので「せっかく習ったんだから自分でやってみたら?」と言ってみたら、「じゃあ、やってみようかな」と昇平。

 実際にやってみたら、自分だけではなかなかできなかったので、私が2,3度手伝いましたが、ある朝「ほら、見て! 自分でできたよ!」とプレーンノットで結んだネクタイを首に提げて部屋から出てきました。その顔のなんとも誇らしそうなこと。こちらも嬉しくなるような笑顔でした。

 店に行けばワンタッチで簡単に身につけられるネクタイも売られていたりして、そういうものを利用するのも良い方法なのですが、自分で結べたらそれはとても素敵なことです。身体が不自由でネクタイを結べなかった利用者さんも、片手で結ぶ方法を講習会で学んで、自分でネクタイを結べるようになって、それはそれは喜んでいました。

 自分でできるという自信は、やがて本人の生きる力につながっていきます。

 そんな自信を昇平にも事業所の利用者にも他の子どもたちにも積み重ねてもらって、「自信の貯金」をたくさん貯めて、勇気を持って社会に出て行ける大人になっていってほしい、と思う日々です。

 

──次回更新:12月18日(水)の予定

 

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