2013年7月今の被災地・2~福島県相馬港~
相馬市・尾浜(おばま)
福島県は東側が太平洋に面していて、海岸沿いにいくつも浜や大小の港があります。
最大の港は南部にあるいわき港ですが、北部で最大の港は、新地町の南隣にある相馬(そうま)港です。
そこにもまた小さな浜がいくつかあるのですが、私たちは相馬港の南端の尾浜に行きました。震災の前までは海水浴場としてとても賑わっていた場所です。
尾浜の今の景色。
去年の時点で、浜辺の瓦礫はほとんど片づけられていました。だから遠目には昔とまったく変わらないようにも見えます。
三階建ての展望台は壊れず残りました。
奥に見えているのは松川浦大橋(まつかわうらおおはし)です。波をかぶって壊れてしまったので、今も復旧工事が行われていました。工事用車両しか通ることができません。
相馬港も復旧工事中。とにかく、どこもかしこもトラックや作業車でいっぱいでした。
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駐車場に車を停めて浜へ行こうとしたら、ちょうどJRの観光バスも停まって、中からツアー客が降りてくるところでした。首都圏では被災地見学のツアーが企画されていると聞いていたので、ああ、これが、と思いながら眺めました。
私は被災地の様子を自分の目で見て確かめるのは、とても良いことだと思っています。ついでに食事やお土産にお金を使って地元経済を支援していただけたら、本当にありがたいです。
ところが、浜へ下りる入口にこんな看板が。
そうなのです。見学に来てくださるのはありがたいのですが、被災地にゴミを残していく人が少なからずいるのです。
別の海岸ですが、津波で流された家の痕にテレビやストーブなどが捨てられているのも目にしました。「津波が運んできた瓦礫ですよ」とでも言うつもりなのでしょうか? 瓦礫なんて1年以上も前にすっかり運び出してしまったのだから、今さらそんなものあるはずがないのに。
ベンチの横にも空き缶を入れるくずかごが完備。一年前に来たときには、こんなものはありませんでした。
先に見かけたツアーの皆様は、きっとマナーを守って、ゴミが出ても持ち帰ってくださったことと思います。
でも、平気で空き缶やゴミを捨てていく人がいることも事実です。
ここがどういう場所なのか、しっかり認識して行動してほしい、と心から思います。
でも、浜辺にはこんなものもありました。
ハマナスの花と実。
実になったハマボウフウ。
どちらも海岸に育つ植物です。ハマナスはバラ科の低木、ハマボウフウは砂の中に太い長い根を伸ばして成長します。津波をかぶって泥や砂に埋まったのに、そこからまた伸びてきて、こうしてまた花を咲かせたのですね。
たくましいなぁ、と思いました。「けなげ」ではありません。「たくましい」。
何があってもこの場所に根を下ろし、また生き続ける植物は、何かを象徴しているように見えました。
尾浜が昔の賑わいを取り戻すまでには、まだ長い時間がかかることでしょう。
でも、諦めずに取り組めば、きっとまた花を咲かせ実を結ぶことができるに違いないと思います。
波をかぶっても残った「相馬野馬追い」の壁画。(クリックすると拡大します)
伝統行事の相馬野馬追い(そうまのまおい)は、今週末に南相馬市で開催されます。
☆相馬野馬追い執行委員会公式ページ
http://www6.ocn.ne.jp/~nomaoi/
(以下その3に続く)
【参考】
☆2012年の被災地見学の記事(相馬港)
http://ley.cocolog-nifty.com/hitorigoto/2012/04/post-fd8a.html
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