2013年7月今の被災地・4~福島県南相馬市右田浜~
南相馬市・護岸工事
新地町釣師浜→相馬港尾浜→相馬市磯部地区と、福島県の浜通りを北端から南下してきました。
昨年はここから相馬市内を通って飯舘村(いいたてむら)に向かったのですが、今年はもう少し南下して、南相馬市まで行ってみることにしました。
海岸に沿って原町海老相馬線という道路を走っていくと、護岸工事をしている様子を見られる場所がありました。
津波で壊された防潮堤を直しているのです。
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道路沿いには広い敷地にこんな物も並んでいました。なんだかわかりますか?
波打ち際に置かれる波消しブロックです。
「そうか、護岸工事に使うブロックを持ってきて、ここに置いているんだね」などと車内で話していたのですが、違いました。
アップの写真なのでピンぼけですが、中央に色の違うブロックがあるのがおわかりになるでしょうか。これは波消しブロックの「型」です。他所でブロックを作って運んできたのではなく、海岸沿いの場所で型に生コンを流し込んで、波消しブロックを製造していたのでした。
そう言われれば、わざわざ遠くで作って運搬してくるより、現地で作る方が運送費もかからなくて合理的です。普段の工事であれば、こんなにたくさんのブロックを作って置いておく場所など近くになかったかもしれませんが、津波が何もかもさらっていった後なので、敷地には不自由していないようでした。
こんなふうに波消しブロックを積み重ねて守ってから、防潮堤を修理していきます。
場所によっては、土嚢も積み重ねて海岸線を守っていました。
南相馬市・右田浜(みぎたはま)
さらに南下していくと、低い防潮堤の向こうに砂浜が現れました。
ここは防潮堤も波消しブロック(?)もほとんど破壊されていないように見えます。
浜辺の向こうに見えている建物は、原町(はらまち)火力発電所です。
震災の際に津波で大きな被害を受けましたが、急ピッチで復旧工事を進めた結果、2013年4月に再稼働を始めました。天気があまり良くなかったので、高い煙突が途中までしか見えていません。
今にも雨が降り出しそうな曇り空で、気温も低めだったので、浜には誰もいませんでした。
ところが、堤防に車が停まっています。地元の人の車かな、と思いながらそちらのほうへ走っていったら――
サーフボードとウェットスーツの男性が3,4人いたので、びっくり。
濡れたスーツを脱いでいたので、サーフィンをした後だったのでしょう。
家に帰ってから調べて、納得。この右田浜はサーファーにとっては聖地とも言われる、サーフィンの名所だったのですね。私の周りにサーフィンをする人がいなかったので、迂闊にも知りませんでした。
瓦礫がなくなって綺麗になった砂浜に、波が押し寄せます。
さらに、右田浜の堤防の内側の景色。
瓦礫はすっかりなくなり一面草におおわれていますが、津波をかぶったことは、はっきりわかります。
この一帯には、サーファーたちのための民宿や旅館、民家がたくさん建ち並んでいたそうです。
今は何もありません。
旅館などは再建されるかもしれませんが、この地域の住人は、もっと内陸の安全な場所へ集団移転することになっています。
堤防の内側に残されていたタイル。シャワー室だったのでしょうか。
すぐ横の階段から海岸に出られるようになっているので、民宿だったのかもしれません。
それでも、ここにも花はありました。
何もかも失われたように見えた場所で、美しい花を咲かせています。
花は何も言わないけれど、私たちに何かを語りかけているような気がしました。
(その5へ続く)
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