2013年7月今の被災地・3~福島県相馬市磯部地区~
相馬市・磯部(いそべ)
新地町の釣師浜から相馬港の南の尾浜を見学した後、福島県で最も津波の被害がひどかった場所のひとつの、相馬市磯部地区へ行きました。防潮堤以外、海からの波をさえぎるものが何もない場所だったので、磯部の集落ひとつがすっかり流されて、本当に何もなくなっていた場所です。
去年の様子。
今年の様子。
同じ地点の写真ではありません。土地のかさ上げ工事が行われているために、周囲の景色がすっかり変わって、どこがどこかわからなくなっていたからです。
瓦礫の山はだいぶなくなっていましたが、まだ少し残っていました。パワーショベルがダンプカーがひっきりなしに動いています。
磯部の漁港へ続く道路も、工事車両以外進入禁止になっていました。
---------------
でも、私たちは去年、たくさんの船が廃棄されていた漁港を、どうしてももう一度見てみたいと思いました。
舗装がはがれてでこぼこになった道路を、「確かこっちだったはず……」と海岸へ向かいました。これで万一事故があったら自己責任なので、とにかく事故だけは起こさないよう、慎重に進みます。
ようやく磯部漁港にたどりつきました。
「船がある!」とKさんと私は思わず声を上げました。
あの時、一隻の船もなかった漁港に、綺麗な船が2隻、係留されていたのです。
去年、港脇の漁協跡に山と積まれていた廃船も――
(中央右側の白い物が、津波で打ち上げられて使えなくなった船の山)
今年はすっかりなくなっていました。
いえ、一隻だけ残っていました。修理すればまた使えるのでしょうか。
後ろでは、瓦礫になった防風林を寄せ集めるパワーショベルが動いていました。
とにかく、いたるところで動いている工事用車両。ここでも土地のかさ上げなどの復旧工事が急ピッチで進められているのです。
この地区でも、防災減災のために、住居は安全な場所に集団移転することになっています。
港には今現在使われているもやい綱。こちら側にも船が停泊するんですね。
現在、モニタリング調査の結果、福島県沖の海では、タコやツブ貝やコオナゴなど4種類の水産物の安全が確認されて、漁をして良いことになっています。また、市場には出回りませんが、魚介類の放射線量を測定するための試験操業も行われています。
これらの船はそうやって漁をしているのでしょうか。それとも、宮城や岩手などの別の水域まで漁に行くのでしょうか。
なんにしても、漁業が少しずつ復活しているのを目の当たりにして、とても嬉しい気持ちになったのでした。
「去年、くわえ煙草で廃船を見ていたおじさんはどうしているかしら」
「あそこにある船の一隻がおじさんの新しい船で、また漁に出られるようになっているといいね」
Kさんと私でそんな話をしながら、磯部を後にしました。
※去年、磯部の次に回った大洲海岸は、本格的な復旧工事の最中で立ち入れませんでした。
☆2012年の被災地見学の記事(相馬市磯部地区・大洲海岸)
http://ley.cocolog-nifty.com/hitorigoto/2012/04/post-b7da.html
(以下 その4に続く)
| 固定リンク
コメント