« 2013年2月 | トップページ | 2013年5月 »

2013年3月11日 (月)

あれから2年

 2011年3月11日、午後2時46分。
 あの大震災から、あと少しで丸2年がたちます。

 今日の福島県は、一昨日から強風がまだ吹き荒れています。昨夜は雪も降りましたが、風が強すぎて横殴りの吹雪で、ほとんど積もらずに吹き飛ばされてしまいました。

 2年前のあの日も、寒い日でした。
 大きな余震が続く中、家の中に入るのも不安で庭に立っていたけれど、雪が降り出し風も吹き始めて、「どうしましょうか?」「公民館が避難所になっているって。行こうか?」「お義父さんと昇平が無理ですよね。車の中は」「そこも夜中には氷点下になるよ」「じゃあ、思い切って家に戻りましょう」……そんな会話を義母として、家に入ったのを思い出します。
 外れた戸を戻し、倒れた戸棚を起こし、まずは居場所を作り、家中から食料や飲料水や布団などを集め……。
 灯りも暖房もない部屋の中、男性たちは早々に寝てしまったけれど、私と義母だけはまんじりともせずに夜を過ごしました。「早く朝よ来い」と念じながら。夜中までつけていたラジオでも、「明朝の日の出は○時○分です」と何度も繰り返していました。同じような長い夜を眠れずに過ごしていた人は、大勢いたのでしょう。

 翌日からの私は活動的でした。
 めちゃくちゃになった部屋を一生懸命片づけながら、ラジオに耳を傾け、原発が爆発したことも、放射性物質が飛来していることも聞きながら、いつ何をどう行動するべきかをずっと考え続けていました。
 避難すればリスクは必ず弱者に向かいます。高齢者を2人、障害児を1人抱えている我が家の場合、行動は慎重に選択しなくてはなりません。
 測定された環境放射線量、新聞などで発表される情報、自治体からの発表や指示……。一生の間にこれほど真剣に新聞を読んだ時期があっただろうか、というほど、一生懸命新聞を読み、確かな情報を得ようとし、その上で行動を決めていきました。その結論が、「私たちは避難をしない」であり、「今の状況より悪化しない限り、このままずっとこの福島で生きていく」という決断でした。

 軸足が定まれば、あとはそれに基づいて行動あるのみ。
 昇平が入学することになっていた高校は無事だったので、学校のない日に彼の居場所になるはずだったフリースクールの移転・再開のために、仲間のお母さんたちと奔走し、精神的にダメージを受けた長男のために関東へ足を運び、同じく不安定だった昇平を支えました。家に修理の大工さんが出入りを繰り返し、落ち着かない生活が続く中、義父の認知症が音もなく進行し始めましたが、義母と相談しながら対応を考え……。

 そんな日々の中で、私は繰り返し思っていました。
 一番大切なものは、まだ私の手の中にある。だから、私は幸せ。だから、私はがんばっていける。

 あの激しい揺れの中、目の前で壊れていく家からは、昇平の悲鳴が聞こえてきていました。
 長男を迎えに行くために、車でひた走った道には、ブロック塀が倒れ屋根瓦が散乱していました。
 火の気のない台所で震えていた義父は、私の見つけてきた上着を着込み、カセットコンロの火に手をかざして、「ああ、あったかい、あったかい」と繰り返しました。

 私が失ったかもしれない人たちは、今も元気で私と一緒に生きています。
 家だって、あちこちまだ壊れたままだけれど、今もびくともせずに私たちを守っています。

 だから、私は幸せ。
 あの時も、今も、やっぱり幸せ。

 これはきっと、究極の幸せなんだろうと思います。
 私が生きていくために、絶対に必要な、欠かせないものなのでしょう。

 「もう終わりだ! 何もかも終わったんだ!」
 揺れが収まった家から出てきた昇平が叫んでいたけれど、私は繰り返し言いました。
 「終わりじゃないよ。これからまた始まるんだよ」
 そのことばの通り、あの日を再スタートにして、私たちはここまで生きてきました。本当の復興、本当の解決をみるまでには、まだまだ長い時間が必要なのでしょうが、それでも私たちは前に向かって進んでいます。

 願わくば 家族や家、友人、生き甲斐だった仕事、かけがえのない本当に大切な存在を失ってしまった方たちも、一日も早くまた元気になっていってくださいますように。
 あせらなくて良いから、ゆっくりと、また生きる元気を取り戻してくれますように――。

 3.11.14:46

 多くの魂が安らかに眠ってくれますように。
 多くの方たちが心の安らぎを得ることができますように。

 私は心から祈り続けます。


| | コメント (2) | トラックバック (0)

2013年3月 7日 (木)

飯坂温泉 双葉旅館ふたたび

Hutabaryokan_s

 

 昨年12月に忘年会で利用した飯坂温泉の双葉旅館がとても美味しかったので、今度は家族と泊まりに行きました。
 今回は長男の卒業と就職祝いが目的でしたが、都合で最初の予定から一週間ずれたので、ちょうど旦那の誕生日にも当たりました。二男も無事に追試をクリアして安心して進級できることになったので、その全部をひっくるめたお祝いの家族旅行です。

 

Takasago

 

 部屋で生け花の桜がお出迎え。春ですねぇ。(後ろにはコスモスの絵があるけど。笑)

 

 

 平日の月曜日なので、宿泊客も少なくて、大浴場も露天風呂も貸し切り状態でのんびり浸れました。うわ~、最高!
 その後、部屋に戻ってから夕食までの間、家から持っていった「寿司ジャン」という麻雀ゲームをやったら、これが大はまり。他にもいろいろゲームは持っていったのだけれど、結局ほとんどずっとこればかりして遊んでいました。同じ種類の寿司ネタを揃えるゲームなので、「お腹すいたね」「お寿司食べたいね」と、夕食への期待はいやでも高まります。

 

Sushijan

 

 ↑なんと十数年前に買ったゲーム。久しぶりに引っ張り出したら盛り上がりました~。

 

 

 さて、期待の料理はというと――

 

Dinner1

 

 「男の子が二人もいて食べますので」と予約の電話で頼んでおいたら、どどーんと「しゃぶしゃぶ」が準備されていました。牛肉1枚1枚の大きいこと!
 昇平が目を丸くして、「これ、本当のしゃぶしゃぶですか?」と聞いたので、女将さんに受けていました。そうだよねぇ。うちでは「豚しゃぶ」程度はやったことがあるけど、牛肉を使った本物のしゃぶしゃぶなんて、やったことないもの。(苦笑)

 

 

Dinner2

 

 しゃぶしゃぶと一緒に煮て食べる野菜もこのボリューム! この後、〆のうどんも出ました。
 右手前の前菜は、手前:合鴨ロースト(たぶん)、ツブ貝(たぶん)、真ん中:白身魚の揚げもののマリネ、奥:酒粕和え、自家製プルーンの紅茶煮
 プルーンは甘酸っぱくて、良い口直しでした。マリネは野菜たっぷりでお魚が見えません。(笑)
 ガラスのコップの右隣にあるのは、食前酒のザクロ酒。これも自家製で美味しかったです。

 

 

Dinner3

 

 小鉢などの数々。左から時計回りに:しゃぶしゃぶのタレ2種(ゴマだれとポン酢)、薬味、アサツキのおひたし、きのこのおろし和え、自家製漬け物、福島名産イカ人参
 このアサツキが新鮮で美味しくて、子どもたちに大好評でした。他の料理も、とにかく美味しい。長男も昇平も旦那も「うめー」「美味しい!」を連発。そうでしょう、そうでしょう。だからここを選んだんだから~。と母は面目躍如。
 しゃぶしゃぶも、もちろん美味しくて。旦那の監督の下、「みんな1枚ずつ食べたな? それじゃ2巡目行くぞ……それじゃ3巡目だ」と公平に肉を分けあいました。私は2巡で下りて、残りのお肉は男性陣に譲りましたが。

 

 

Kaki

 

 しゃぶしゃぶと同じくらい美味しかったのが、この牡蠣。さっと炙ってから冷やして、コンソメのジュレをかけてありました。写真がピンポケですが、身がふっくらしていて、本当においしかったです! 普段、牡蠣が苦手で食べられなかった旦那でさえ、「これは食える」と喜んで食べていました。

 

 

Otsukuri

 

 こちらはお造り。左に見えている青いグラスは、今回も頼んだ地酒です。だって日本酒好きなんだもん~。
 会津坂下町(あいづばんげまち)の蔵元の「飛露喜(ひろき)」と、南会津郡の蔵元の「国権(こっけん)」を頼みました。どちらも純米吟醸。
 飛露喜はかなり有名なお酒みたいですね。すっきりした透明な飲み口でした。国権のほうは腰の強い、どっしりした味。飲みやすい飛露喜は長男に譲って、私はもっぱら国権を飲んでましたが、酒の味がしっかりするおいしい日本酒でした。ただ、長男も旦那に似てそれほどアルコールは強くはないので、結局飛露喜も半分は私が飲みました。旦那はもっぱらビールでした。

 

 この他に、茶碗蒸しや、かにしんじょを椀種にしたお吸い物などが出ましたが、食べるのに夢中で写真を取り忘れました。(笑)
 デザートは、忘年会でもいただいた焼きリンゴでしたが、何度食べてもおいしかったです。

 

 とにかく食べ物がいっぱいで、やがてお腹もいっぱい。さすがの子どもたちも〆のうどんで満腹になって、ごはんまではたどり着けませんでした。

 

 

Flower

 

 最初の乾杯の時に、女将さんから嬉しいサプライズプレゼントが!
 「今日はご主人様の誕生日とお聞きしましたし、息子さんの卒業祝いだとも伺っていましたので、私どもからお二人へ」と、生花のアレンジメントをいただいてしまいました。
 確かに、電話でちょっとした問い合わせをしたついでに「実は旦那の誕生日に当たっていまして」と話したのですが、まさかお花をプレゼントしていただけるとは! 旦那が代表してお花を受けとりましたが、忘れられない50回目の誕生日になりました。ありがとうございました!

 

 

 この後、部屋に戻りましたが、私も旦那もしばらく動けませんでした。うぅ~ん、満腹~!!! 一眠りしてから、また寿司ジャン再開。ツキは昇平にあって、兄ちゃんが何度も振り込んでいました。楽しかった。
 男性陣はまたお風呂にも入りに行きました。

 

 

 ここからは翌朝の朝食です――。

 

Breakfast1

 

 一人分ずつお釜で炊いてくれるご飯は、今回は十六穀米。これがまたおいしくて。サラダは相変わらずのボリュームです。焼鮭、だし巻き卵、山菜の煮物、ほうれん草(たぶん)のおひたし、桜エビのおろし和え、苺と林檎のコンポート……昨日の夕食もそうだけれど、全部手作り。既製品の料理は使っていません。ワカメのお味噌汁にはジャガイモが入っていて、懐かしい家庭の味。おひたしにはフキノトウも少し入っていて、春の香りがしました。

 

 

Breakfast2

 

 朝食のデザートは、作りたてのフレッシュ林檎ジュースと、林檎ジャム(たぶん)をかけた自家製ヨーグルト。ヨーグルトは牛乳に替えることもできました。林檎ジュースはレモンの香りが爽やか。他に苺や林檎のコンポートもありました。
 朝食にしては結構な量があったのに、結局またたくさん食べて、昇平が漬け物を、私がご飯を少し残した以外はほぼ完食となりました。昨夜あれだけ食べたのに、翌朝、また朝食が入るのは、野菜がたっぷりで油控えめのヘルシーメニューだからだろうと思います。「旅館の食事でこんなにうまいと思ったのは初めてだ」と旦那も大満足でした。

 

 

 この料理は、季節やその日の仕入れによってメニューが変わるそうです。「別の季節に泊まっていただくと、全然違うお料理が召し上がれますよ」とご主人がおっしゃっていました。いいな~。今度は別の季節にも泊まってみたいです。
 最後に、玄関の横のロビーで熱いコーヒーをいただいて、お腹も心も満足して、旅館を後にしました。

 

 ご主人、女将さん、今回もお世話になりました。本当においしかったです!

 

 

【参考】
飯坂温泉「双葉旅館」公式サイト
http://homepage1.nifty.com/endow/

 

前回の宿泊記「飯坂温泉 双葉旅館」
http://ley.cocolog-nifty.com/hitorigoto/2012/12/post-b41b.html

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

| | コメント (8) | トラックバック (0)

« 2013年2月 | トップページ | 2013年5月 »