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2012年3月11日 (日)

「白い木」

 まだ春浅い寒風の中
 裸んぼうで立っている あなたはだぁれ?
 白い腕を空へ伸ばし
 脱ぎたての肌を陽にさらしている あなたはなぁに?

 ここは何の場所だっけ?
 ああ、そうそう。
 柿畑。
 毎年、秋にはオレンジの実を枝いっぱいにぶら下げていた。
 それじゃ、こちらは?
 思い出した。
 こちらはりんご畑。
 この幹と枝の形はりんごの木。

 すっかり無くしてしまったね。
 冬の寒さや夏の日差し、
 激しい雨風、潜り込んでくる虫、
 そんなものからあなたを守る、丈夫で堅い外皮のコートを。
 農家の人たちがあなたの体から
 残らずはがしていったんだよね。
 怖い放射能が、もうこれ以上あなたの中に入らないように――。
 そう祈りながら、ていねいにていねいに。

 すっかり裸になったあなたは
 高圧洗浄機のシャワーもかけてもらった。

 だから、ほら。
 あなたはこんなに白くてきれい。
 まるで、生まれたての赤ちゃんのよう。


 何が正しくて、何が誤っていて、
 何が適切で、何が不適切か、
 それさえも、今はまだよく分からない渾沌の中にあるけれど。
 ひとつだけ確かに言えるのは、
 今、何かをしなければ状況は絶対に良くなっていかない、という真実。


 裸にしてもらって、きれいに洗ってもらって、
 生まれ変わったあなたから、
 新しい実が生まれてくるだろう。

 「希望」という名の実が、きっと、たわわに。 


☆果樹の除染作業について(JA伊達みらいサイト内)
 http://www.jadatemirai.or.jp/cgi-local/info_disp.cgi?mode=meisai&no=196

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