茂庭~摺上川ダムと滑滝~
三連休の初日だった昨日、福島市飯坂町茂庭(いいざかまち・もにわ)へ、ダムと滝を見に行ってきました。
職場の人員配置の関係で、ずっと仕事を休めずにいたうちの旦那様。休んでも半日だけ、なんて状態が続いていたので、やっと休みが取れる、とわかったときに、向こうから「どこかに遊びに行こう。茂庭に行かないか?」と誘ってきたのでした。旦那と昇平の休日が一致したのも、実に数ヶ月ぶり。天気も上々だったので、家族3人でドライブにでかけました。
福島市飯坂町は温泉で有名ですが、町中を流れる摺上川(すりかみがわ)の上流に茂庭地区と呼ばれる場所があって、そこに5年前に摺上川ダムが完成しました。目的は洪水防止、水道用水、灌漑(かんがい)用水、工業用水、発電。ロックフィルダムという、粘土質の土を積んだ外側に、砂利と、砕いた花崗岩を積み上げた様式のダムで、遠目にも赤っぽい岩を積んだダムの壁が見えてくるので、コンクリートのダムをイメージしていると、「おおっ!」と思います。
これは、ダムの堤防の上を通る遊歩道から、ダムを見た写真。この遊歩道を、旦那と昇平と、てくてく端まで歩いて、またてくてく戻ってきました。のんびり歩いて往復20分くらいの距離です。ダムの南側の端には、ダム下の公園へ下りる階段もありました。シーズンにはキャンプや芋煮会・バーベキューなどを楽しめるし、もにわの湯という小さな温泉もあるのですが、そちらへ下りてしまうと車に戻るのが大変になるので、今回はパス。
ダムの駐車場には、こんな看板が立っていました。
この近辺には元々野生のサルがいるのですが、観光客がサルに餌をやったために、サルが人間に慣れてしまって、観光客の餌を狙ったり、地元の農家の畑を荒らしたりする被害が急増しているのだそうです。野生の生き物には、餌をやってはいけないのですよね。人間と動物の共存の難しさを感じました。
この他に、「クマ出没注意」の看板もいくつもありました。こちらは新しい看板です。今年は全国的にクマが目撃されることが多く、地域によっては人がクマに襲われて怪我をする事件も起きています。この夏の猛暑が原因で、山に餌になる木の実が少ないせいだ、と聞きます。ここにも人間と自然の共存の大変さを実感。自然は美しく豊かだけれど、同時にとても怖いものだ、ということを、人間は忘れてはいけないのでしょう。
ところで、ダムの上の方の公園に行ってみたら、その駐車場のわきの草むらで、サルでもクマでもなく、キツネを発見! 草の中の獣道を、とことこ歩いていました。すぐに隠れてしまいましたが、生まれて初めてみた野生のキツネに、ちょっと感激しました。
その後、また車で福島市のある下流へ向かいましたが、その途中に水遊びや芋煮会のスポットになる、滑滝(なめたき)という場所があります。
今を去ること三十数年前、当時小学生だった旦那は、友だちとここにキャンプに来たのだそうです。私も、二十五年ほど前に、職場の子どもたちを連れて芋煮会に来たことがあります。(私は当時、塾講師でしたので) ついでだからそこも見ていこう、ということになったのですが、道路から岩場や滝は見えているのに、下りる道がよくわかりません。ここのはず、と下りても、なんだかあの当時と景色が違うような……。
「ここは新しくできた道だからだよ。昔の道から行ってみよう」と提案して、旧道のほうに回ってみると、果たして、旦那の記憶していた店がありました。河原から茂庭の集落の店まで買い出しや水を汲みに行ったのだそうです。ただし、店はもうだいぶ前に廃業していて、今はもう誰も住んでいませんでした。
それでも、店の前から、昔の道の痕が川の方向へ伸びています。車が通れる道ではないので、迂回して道の先へ行ってみると、先ほどの下り道に出ました。「やっぱりここだったんだよ」ともう一度下りてみたら、駐車場の先のほうに、滑滝の岩場がありました。駐車場の一角がゲートボール場に整地されていた上に、大きな水たまりが進路をふさいでいて、景色が違って見えたのですね。
無事にたどり着いたのは、こんな場所。
川の水に削られて丸くなった岩場を、摺上川の清流が走り、滝になって流れ落ちています。
昇平は車で待っていると言うので、私と旦那だけで河原を歩きました。大小の岩が重なる岩場が川に沿って続いているのですが、気がつくと旦那が見当たりません。やがて、ひょっこり姿を現したと思ったら、「あったあった!」と私を呼びます。小学生の頃に泊まったバンガローを探していたのでした。こちらも古びて、周囲は草ぼうぼうで、もう何年も前から使われていない様子。それでも旦那はとても懐かしそうでした。
岩場の外れには売店の痕もあって、ここは私も覚えていました。河原に芋煮会に来た人が、燃料の薪や材料や飲み物をここから買っていったものです。二十数年前には賑わっていた店も、今はロープを張られて廃屋状態。そうですよね。こんなに上天気なのに、河原で芋煮会をしていたのは、たった1家族だけ。あの当時は、この季節、週末ごとに芋煮会のグループが押しかけて、河原の至るところで焚き火の煙が上がっていたのに。今はみんな、もっと設備の良いキャンプ場やバーベキュー会場に行ってしまうのでしょう。さっきダムから見た公園とか……。時代の移り変わりを感じてしまいました。
それでも自然の姿は変わりません。
小学生だった旦那が飛び込みをして遊んだという淵は、今もちゃんとありました。
上の岩場から淵までは数メートルの高さがあります。夏の水遊びのシーズンには、たくさんの子どもたちが、ここを目がけて、えいやっと飛び込みます。底までけっこう深いのですが、泳ぎの得意だった旦那は、友だちと底まで潜ったりしたそうです。淵をのぞき込んで、とても懐かしそうにしていました。
秋風が、河原の名も知らぬ花を揺らしていきます。
私たちがたどったのは、「思い出」や「記憶」という名前の、古い古い道だったのかもしれません。
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