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2009年8月26日 (水)

大安場古墳(おおやすばこふん)

 私の実家がある福島県郡山市で、本格的な古墳が発掘され、史跡公園として整備されたと聞いて、夏休みに実家の父に連れていってもらいました。

 

Ooyasuba_kohun3

 

 

 古墳の名前は「大安場古墳(おおやすばこふん)
 平成3年度に、郡山市の東の郊外で、古墳らしい遺構が発見され、平成7年度から測量調査を実施して、古墳時代前期の大型古墳と確認、平成8年度から発掘調査をしたところ、腕輪型石製品や埋葬品、遺体を埋葬した石棺などが次々出土してきたそうです。
 平成12年度には国史跡に指定、平成17年度からは史跡整備が始まって、平成21年(つまり今年)の4月4日に、「大安場史跡公園」としてオープンした――というのが、これまでの経緯です。(以上、「大安場史跡公園ガイドブック」から)

 

 

Ooyasuba_kohun

 

 おわかりになるでしょうか? 前方後方墳と呼ばれる、大小の四角を二つつなげたような形の1号墳と、小さな円形の2号墳があります。2号墳は直径15メートルほどですが、1号墳は全長が83メートル、古墳の上に実際に登っていくこともできます。(2号墳の上にも登れます)
 1号墳は今から1,600年ほど前、2号墳は1,500年ほど前のもので、整備されていませんが、2号墳の近くにはあと4つほど同じような円墳があるそうです。1号墳は前方後方墳としては、東北最大だそうです。

 

 

Ooyasuba_kohun5

 

 これは発掘整備される前の古墳の様子を写した写真。古墳だとわかる前は、全体を木がおおっていたはずです。普通の里山だと思われていたのですね。実際、私も、そんなところに古墳があったなんて、まったく知りませんでした。

 

 

Ooyasuba_kohun4

 

 これは入口から古墳を見上げたところ。すぐ隣に、ガイダンス施設もあります。

 

 

 実際に1号墳に登ってみました。もちろん、古墳の中に入ることはできませんが、頂上に石を敷き詰めて、「この下にこんなふうに石棺がありましたよ」「その中にこんな埋葬品がありましたよ」「遺体はこの場所にこんなふうに安置してありましたよ」というのが、ラインや復元品でわかりやすく再現してあります。そこの上を歩くのもさわるのも自由。そこで、昇平に実際に遺体にあった場所に寝てもらいました。

 

Ooyasuba_kohun2

 

 

 こんな大きな古墳を造るくらいですから、この地方を治めていた有力な豪族が安置されたはずだし、当然大人の男性だったはずです。でも、昇平が寝てみたら、昇平の方がたっぷり10センチは大きかったです。昇平は身長170センチ弱ですから、埋葬されていた人物は身長160センチ足らずということになります。古代人は小柄だったんですね。
 復元品には、腕輪の他に、鉄製の剣や槍、鉄斧などもありました。実際にあった場所に埋め込むように置かれているのが、とても面白いです。

 

Udewa

 

Yari_tachi

 

 

 古墳の下にあるガイダンス施設は、あまり広くはありませんが、古墳時代の歴史をいろいろな形で体験することができます。

 

 

Jomonsiki_doki

 

 持ち上げて重さや手触りを確かめられる縄文式土器。本物です。ちなみに、持って確かめられる弥生式土器もありました。どちらも意外なくらい軽くて、もろい感じがしました。今の陶器のように高温では焼けないから、焼きが甘いんですね。

 

 

Ishizara

 

 古代人がドングリや栗、トチの実などを粉にした石皿と磨石(すりいし)。これも本物の出土品。昇平が体験してみました。

 

Ishizara2

 

 

 壁画を元に復元した古墳時代の人たちの衣装。儀式などの際に着た特別な服だろう、とのことです。

 

Kohunjidai_huku

 

 

 この他にも、もっといろいろな出土品、展示品があったのですが、とても紹介しきれないので、興味のある方は実際に行ってみてください。

 

 

 このガイダンス施設では、さまざまな体験活動もできます。
 縄文式土器を作って、外にある野焼き体験場で焼いてみる「土器作り」、石を研いて作る「勾玉(まがたま)作り」、他にも「火おこし体験」、土器の模様を写し取る「拓本」、昔の人が使った石器の切れ味を体験する「石器で切り絵」……などなど。
 私たちが見に行ったときにも、ちょうど勾玉作りの体験学習をやっていました。親子が水の中で石を研いで、世界で一つだけの自分の勾玉を作っていました。私もやりたかったのですが、時間がなくて今回はパス。次に行ったときには、絶対にやるぞ~!!!
 ちょうど貝合わせが体験できるようになっていたので、昇平が試してみました。(これは古墳時代よりもっとずっと後の時代の遊びですけれどね)

 

Kaiawase

 

 

 また、屋外には、先の野焼き場の他に、アスレチック遊具や、弥生式土器の形をした釜が並ぶ煮炊き体験場(バーベキューや芋煮会もできそう)などもありました。

 

 これだけ本格的で、しかも体験型の施設ですから、学校などでも社会科の学習に利用しているようで、8月1日にはガイダンス施設の入館者が5万人を越えたそうです。わずか4カ月でこの人数というのは、なかなかだと思います。

 

 故郷で思いがけなく発見・復元された本格的古墳。
 ぜひたくさんの人に実際に訪れて体験してもらいたいなぁ、と思ったのでした。

 

 

☆詳しい情報、アクセスマップなどはこちら。
   ↓
 大安場史跡公園前面オープン (郡山市のウェブサイトにリンクしてあります)

 

 

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コメント

久しぶりにブログ読みに来ました♪
古墳☆
なんか楽しそ~ですね~♪
行ってみたい!
でも千葉には無いのかな~f(^^;
でも行くなら子供が出来てからがいいかな~♪
まだまだ先だけどねw

投稿: ヨッチャン | 2009年8月26日 (水) 20:18

あら、ヨッチャンさん、いらっしゃいませ~♪
あっちのブログでも紹介した古墳ですが、
画像が載せられなかったので、
こちらのココログに写真入りで詳しく紹介しました。(^^)

子どもが生まれても、
古墳に興味を持つまでに10年近くかかるでしょうから、
そのまえに奥様と一緒にぜひ♪♪

投稿: 朝倉玲 | 2009年8月26日 (水) 20:42

「大安場古墳」かあ。
報告書の背表紙だけ、見たことあったような、かすかな記憶があります…。
いつの間にか、国の史跡→史跡公園になっていたんですね。

私は、学生時代、会津で、
ちっこい前方後円墳(全国比)の調査に参加したことがあります。
ちっこかったけど、山の上にあるので、そこまで行くのが大変でした。

でも、葺石もちゃんとある、しっかりした古墳だったのです。
下から見上げたら、当時の人たちは、畏敬の念を抱いたのでしょう。
棺の埋葬されていた辺りは、ガッツリ盗掘されていましたけどね。

ちなみに、千葉は、
数で言えば、福島よりたくさんの古墳があるはずです。

ただし、開発されてしまって、
記録保存のみ(遺跡は消滅)の場合が、多いかもしれません。
ちゃんと調べたことはないんですが、
検索すれば、教育委員会や博物館のサイトで、見つかるかもしれません。

実は東京も、たくさんあったんですけどね…。
古墳だけじゃなくて、いろんな時代のいろんな遺跡が。

埼玉・群馬は、まだ残っている古墳がたくさんあって、
しかも大きくて、史跡整備されているところもけっこうあります。

大安場古墳、いつか見に行けたらいいな~。

投稿: 水兎@もともとコーコガクト | 2009年8月27日 (木) 01:17

>水兎さん

わ~お、こんなところに解説者がいた! ラッキー♪(笑)

福島県はけっこう古墳があるみたいですね。
かく言う私の方でも、同じ市内に古墳群があったりします。
小さな円墳で、十いくつあるかな……。
それが個人の所有地になっていて、フェンスで囲まれていて、
雑木林や畑になってる。(爆)
歴史が現代と同居しているのがわかって、
いつも、不思議な感動を覚えます。
歴史的遺産が道路脇にあたりまえのようにあって、
誰も関心さえ向けないんですからねぇ。
立て看板がなければ、誰も古墳だとさえ気づかない。(苦笑)

大安場古墳はちゃんと石棺や埋葬物が出てきたから、
盗掘されないで来たんでしょうね。
全体写真を見るとわかると思うけれど、
最近になって開発が進んで、
すぐ近くまで住宅地が迫ってきた場所で、
それまでは田んぼと雑木林しかなかったような場所です。
たぶん、宅地として開発する際に見つかったんだろうな。

投稿: 朝倉玲 | 2009年8月27日 (木) 05:08

>福島県はけっこう古墳があるみたいですね。

そういえば、会津にもあるようですね。
小学生の時に遠足で行った大塚山も古墳だと聞いたような…


いまも墓地ですけど、大昔からお墓だったんですねぇ
↑ 規模が違うからっ

投稿: ぺちゃん | 2009年8月27日 (木) 10:41

>ぺちゃんさん

実は古墳を見た後で、
そのすぐ近くにある霊園にも行ったのですよ。
そこに実家の墓所があるものだから。(墓石はまだ建ってないけど)

新しい霊園だから、広くてね~。
「時間がたったら、ここも古墳か!?」と思っちゃいました。
大昔の古墳と未来の古墳が隣接する場所――。

(゜o゜)ヾ(--;オイオイ...

投稿: 朝倉玲 | 2009年8月27日 (木) 20:05

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