大安場古墳(おおやすばこふん)
私の実家がある福島県郡山市で、本格的な古墳が発掘され、史跡公園として整備されたと聞いて、夏休みに実家の父に連れていってもらいました。
古墳の名前は「大安場古墳(おおやすばこふん)」。
平成3年度に、郡山市の東の郊外で、古墳らしい遺構が発見され、平成7年度から測量調査を実施して、古墳時代前期の大型古墳と確認、平成8年度から発掘調査をしたところ、腕輪型石製品や埋葬品、遺体を埋葬した石棺などが次々出土してきたそうです。
平成12年度には国史跡に指定、平成17年度からは史跡整備が始まって、平成21年(つまり今年)の4月4日に、「大安場史跡公園」としてオープンした――というのが、これまでの経緯です。(以上、「大安場史跡公園ガイドブック」から)
おわかりになるでしょうか? 前方後方墳と呼ばれる、大小の四角を二つつなげたような形の1号墳と、小さな円形の2号墳があります。2号墳は直径15メートルほどですが、1号墳は全長が83メートル、古墳の上に実際に登っていくこともできます。(2号墳の上にも登れます)
1号墳は今から1,600年ほど前、2号墳は1,500年ほど前のもので、整備されていませんが、2号墳の近くにはあと4つほど同じような円墳があるそうです。1号墳は前方後方墳としては、東北最大だそうです。
これは発掘整備される前の古墳の様子を写した写真。古墳だとわかる前は、全体を木がおおっていたはずです。普通の里山だと思われていたのですね。実際、私も、そんなところに古墳があったなんて、まったく知りませんでした。
これは入口から古墳を見上げたところ。すぐ隣に、ガイダンス施設もあります。
実際に1号墳に登ってみました。もちろん、古墳の中に入ることはできませんが、頂上に石を敷き詰めて、「この下にこんなふうに石棺がありましたよ」「その中にこんな埋葬品がありましたよ」「遺体はこの場所にこんなふうに安置してありましたよ」というのが、ラインや復元品でわかりやすく再現してあります。そこの上を歩くのもさわるのも自由。そこで、昇平に実際に遺体にあった場所に寝てもらいました。
こんな大きな古墳を造るくらいですから、この地方を治めていた有力な豪族が安置されたはずだし、当然大人の男性だったはずです。でも、昇平が寝てみたら、昇平の方がたっぷり10センチは大きかったです。昇平は身長170センチ弱ですから、埋葬されていた人物は身長160センチ足らずということになります。古代人は小柄だったんですね。
復元品には、腕輪の他に、鉄製の剣や槍、鉄斧などもありました。実際にあった場所に埋め込むように置かれているのが、とても面白いです。
古墳の下にあるガイダンス施設は、あまり広くはありませんが、古墳時代の歴史をいろいろな形で体験することができます。
持ち上げて重さや手触りを確かめられる縄文式土器。本物です。ちなみに、持って確かめられる弥生式土器もありました。どちらも意外なくらい軽くて、もろい感じがしました。今の陶器のように高温では焼けないから、焼きが甘いんですね。
古代人がドングリや栗、トチの実などを粉にした石皿と磨石(すりいし)。これも本物の出土品。昇平が体験してみました。
壁画を元に復元した古墳時代の人たちの衣装。儀式などの際に着た特別な服だろう、とのことです。
この他にも、もっといろいろな出土品、展示品があったのですが、とても紹介しきれないので、興味のある方は実際に行ってみてください。
このガイダンス施設では、さまざまな体験活動もできます。
縄文式土器を作って、外にある野焼き体験場で焼いてみる「土器作り」、石を研いて作る「勾玉(まがたま)作り」、他にも「火おこし体験」、土器の模様を写し取る「拓本」、昔の人が使った石器の切れ味を体験する「石器で切り絵」……などなど。
私たちが見に行ったときにも、ちょうど勾玉作りの体験学習をやっていました。親子が水の中で石を研いで、世界で一つだけの自分の勾玉を作っていました。私もやりたかったのですが、時間がなくて今回はパス。次に行ったときには、絶対にやるぞ~!!!
ちょうど貝合わせが体験できるようになっていたので、昇平が試してみました。(これは古墳時代よりもっとずっと後の時代の遊びですけれどね)
また、屋外には、先の野焼き場の他に、アスレチック遊具や、弥生式土器の形をした釜が並ぶ煮炊き体験場(バーベキューや芋煮会もできそう)などもありました。
これだけ本格的で、しかも体験型の施設ですから、学校などでも社会科の学習に利用しているようで、8月1日にはガイダンス施設の入館者が5万人を越えたそうです。わずか4カ月でこの人数というのは、なかなかだと思います。
故郷で思いがけなく発見・復元された本格的古墳。
ぜひたくさんの人に実際に訪れて体験してもらいたいなぁ、と思ったのでした。
☆詳しい情報、アクセスマップなどはこちら。
↓
大安場史跡公園前面オープン (郡山市のウェブサイトにリンクしてあります)
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