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2009年3月31日 (火)

松島旅行・3

 さて、松島旅行の3回目は、二日目に回った牡鹿半島の話。

 

 宮城県北部沿岸は、リアス式で有名な三陸海岸の南端に当たります。牡鹿半島はその一部。沖合には鹿がたくさんいることで有名な金華山があります。
 でも、今回の私たちの目的地は牡鹿半島のコバルトラインと、その南の外れにある鮎川港のおしかホエールランド。鮎川港は捕鯨基地として栄えた場所で、そこにクジラをテーマにした博物館があるのです。

 

 

Kujira4
 館の入り口脇にあった、ミンククジラのかわいい彫刻。

 

 

Kujira1
 館内のエントランスホールに立って頭上を見上げると、巨大なクジラのオブジェが浮いています。

 

 

Kujira2

 

 これは館の横に設置された第十六利丸。綺麗に塗り直されていますが、本物の捕鯨船です。商業捕鯨全面禁止に伴って、捕鯨会社から牡鹿町に寄贈されたそうです。館内から船に上がって見て回ることができますが、機関長室、機関室、通信室、操舵室などが、当時のまま残されていて、この船で本当にクジラを捕りに行っていたんだ、と実感させられます。昭和63年の新聞もありました。(商業捕鯨全面禁止になった年)

 

 

Kujira3

 

 第十六利丸の船首で捕鯨砲を構える昇平。これでクジラを狙って、太いロープがついた銛(もり)を撃ち出したわけですね。

 

 

Kujira5

 

 これは絵巻に残っている昔のクジラ漁の様子。船と網でクジラを取り囲んで銛を撃ち込み、人が飛び移ってクジラにとどめを刺しています。吹き出す血が生々しい絵です。

 

 

 正直、捕鯨の様子を写真や映像で見ると、残酷だな、と感じます。クジラがかわいそうだな、とも思ってしまいます。
 でも、その次の瞬間に思い出します。何故、クジラだけがかわいそうなの? と。
 昨夜おいしいと食べた魚料理だって、普段なにげなくスーパーで買って調理して食べている鶏肉や豚肉や牛肉だって、やっぱりどこかで誰かが捕まえたり屠殺したりしてくれているんですよね。クジラだけがかわいそうで、鶏や豚なら平気なんてことはない。じゃあ、かわいそうだから肉や魚は全然食べないようにしよう、と言われても、それは不可能なことだし。
 人間は他の生き物の命をもらわないと生きていけない存在なんですね。

 

 今、商業捕鯨が再開されても、昔のようにクジラを食べるようになるかどうかはわかりません。私たちでさえ、クジラ肉は大和煮の缶詰で食べたことがある程度。クジラ肉が一生食べられなくても、誰も別に困りません。
 でも、昔は、貴重な自然の恵みとしてクジラを捕まえ、それを多くの人と分けあってきました。クジラ一頭を捕まえると、その浜中の人たちが当分楽に暮らせた、というのも聞いたことがあります。だからこそ、真剣勝負で巨大なクジラに挑んでいったわけです。生きるために、彼らはクジラを捕まえてきたんですね。
 それはもう、かわいそうだとか、残酷だとか、そういう甘っちょろい感傷を越えた世界だなぁ、とつくづく思いました。

 

 

Ichibateisyoku

 

 これは女川に戻ってからマリンパルというところで食べた昼食のメニュー。市場定食というもので、ムツの煮付け、キチジの焼き物などと一緒に、調査捕鯨で捕まえたクジラの刺身やさらしクジラの酢味噌和えなどが並んでいます。
 生きることの厳しさや強さ、命の尊さを改めてかみしめながら、ありがたくいただきました。

 

 

 いつだって、生きることは真剣勝負なのですね。
 急激に悪化していくこの不況の中、どこも景気が悪くて大変そうに見えたけれど、それでもみんな一生懸命頑張っていました。ホテルの従業員も、観光地の案内係も、お店屋さんも、食堂も。潮の引いた干潟で何かを収穫していた漁業関係者も、湾内に船を出して牡蛎の世話をしていた人たちも。
 昔も今も、みんな、本当に頑張って日々を生きているんですね。
 だとしたら――私たちも頑張らなくちゃ。
 そんなふうに思いました。

 

 昇平の担任や、関わってくれた先生たちが大勢いなくなってしまって、とても不安に感じていたこの春休みでした。
 でも、これからだって新しい出会いはあるし、これからわかってくれる人、助けてくれる人たちだって出てくるでしょう。
 なんと言ったって、昇平自身がどんどん成長していきます。

 

 みんな頑張っているんだもの。
 私も頑張らなくちゃね――。
 生きてさえいれば、きっと何かできるはずだもの。

 

 

Kaigan

 

 リアス式の複雑な海岸線。
 光る海、小さな砂浜と漁港、浮かぶ船。そして、湾の奥に寄り集まるようにして建っている家々。
 それは美しい景色です。
 でも、今回の旅で見た一番美しいものは、人の生きる姿だったような気がします。

 

 心にいっぱい力と勇気をもらって、家に帰りつきました。

 

 

  ~松島旅行記・完~

 

 

 

 

 

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2009年3月30日 (月)

松島旅行・2

 さて、松島旅行の続きです。

 

 湾内遊覧、五大堂と見て回ったところで、お腹がすいたので昼食を。
 松島と来れば魚料理ですが、それは夜の楽しみにとっておいて、仙台名物の牛タン料理を食べました。
 牛タンステーキ、麦とろ飯、牛テールスープにお漬け物。美味でしたが、食べるのに夢中で写真を撮り忘れました。(笑)

 

 

Orgel

 

 その後、子どもたちのリクエストで、ベルギー・オルゲール・ミュージアムへ。オルゴールの博物館で、1階ではいろいろなオルゴールが売っています。ここで聴き比べたり、お土産を買ったり、オルゴールの歴史を眺めたり。
 2階は有料で、世界最大級のオルゴールの自動演奏が聴けるのですが、男性3名が「そっちはいいよ」と言ったので、残念ながら見られませんでした。でも、2階から流れてくるのは、これがオルゴールかと耳を疑うような、オーケストラ並の演奏。とても綺麗でした。う~ん、やっぱり頑張って見に行った方が良かったかしら。
 でも、男性陣は音楽より食い気と1階の喫茶コーナーへ。ここで焼きたてのベルギーワッフルを食べました。

 

Wafful

 

 写真のプレートは350円。ワッフルはバニラとココアが選べますが、これは旦那とそれぞれ注文して一枚ずつ交換したので、両方のっています。
 ここに珈琲か紅茶が300円で650円のセット。値段に渋い顔をしていた旦那も、実物を見たら「これでこの値段は安い」と納得していました。甘さ控えめでおいしかったです。
 下の写真は、兄ちゃんが頼んだワッフル&ソフトクリームキャラメルソース添え。700円のプレートですが、ボリュームがあります。ちなみに、写真は兄ちゃんの携帯で撮ったもの。ちょっと甘かったけれど、こちらもおいしかったそうです。

 

Image5481

 

 昇平はテイクアウト用のワッフルを注文して食べました。やはり焼きたてです。こちらは200円也。でも、写真に撮る前に食べられてしまいました。(笑) 

 

 

 次に回ったのは、藤田喬平ガラス美術館。ホテル「一の坊」の別館として作られた美術館です。
 ガラス工芸家の藤田喬平という人を、私たちはこの旅行まで知らなかったのですが、日本のガラス工芸の先駆者であり、日本の伝統美をガラスで表現し、さらに新しいものを求めてイタリアへ行って活躍した人。平成14年にはガラス工芸作家としては初の「文化勲章」を受章したそうです。
 どの作品にも和と洋の斬新な融合がありました。宝石のような作品群で、思わず溜息……。写真撮影自由とあったので、遠慮なく作品を撮ってきました。

 

Kazaribako
 「飾小筥(かざりこばこ)」

 

 

Kabin
 「ヴェニス花瓶」

 

 

Sara
 「クリスタル○光」……○はなんて書いてあったっけなぁ。写真からは読めません。(苦笑)
 ガラスの大皿。直径80センチ以上あったような。

 

 

Mizusashi
 ガラスの水入れ。
 茶室には真っ赤なガラスで作られたお茶道具もありました。

 

 ガラスで表現された日本の伝統美。
 「人は百年は生きられぬ、生きている間悔いを残さないような生き方をしたい」と、藤田喬平氏はガラス工芸家として独立するときに言ったそうです。その作家人生とも相まって、なんとも言えない感動のひとときでした。

 

 

 ここは日本か外国か。
 自分のいる場所がよくわからなくなるようなひとときを過ごした後は、また車で松島を離れ、さらに東にある女川温泉へ。内海に面したホテルに到着したのは、空が赤く染まり始める頃でした。
 ちょっと見にくいかもしれませんが、海面に見えるロープでつながれたフロートは、牡蛎(かき)の養殖場です。

 

Uchiumi

 

 

 ホテルの建物はかなり古びていたのですが、出てきた料理は海の幸三昧。おいしくておいしくて、写真を撮るのも思い出さないくらい、皆で夢中になって食べました。(笑)
 翌日の朝食はバイキングでしたが、和食がメインで、レストランのベランダで焼いたばかりのサンマの塩焼きが出てきました。女川はサンマで有名な町で、とても楽しいサンマの歌も流れていました。ホテルの女将に聞いたところ、女川町の青年部の人たちがつくった歌で、秋のサンマ祭りには一日中この曲が流れるとか。
 決して、おしゃれとか豪華とか、そういうイメージのホテルや町ではありません。でも、なんとも言えない暖かみがありました。そして、海産物好きの我々一家には、超満足、超満腹の宿でした。ああ、ごちそうさま!

 

 

 この続きは、明日の「松島旅行・3」へ――。

 

 

【おまけ】

 

 ガラス博物館の売店にあった兜と鯉のぼり。全部ガラス製です。

 

Kabuto

 

 

Koinobori

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2009年3月29日 (日)

松島旅行・1

 今回は散歩便りの番外編として、家族四人で行ってきた松島旅行のレポートをお届けします。

 

 

 出発したのは3月27日(金)の朝。
 折しもこの日は中学校の離任式。昇平の担任、介助の先生を始め、たくさんのお世話になった先生方が退職・異動するのですが、ずいぶん前から旅行の日程を組んでいたので、離任式には出られません。昇平と旦那と三人で、朝、職員室に回って先生方にお礼を述べました。昇平は担任と介助の先生に手紙も渡しました。嬉しくもあり淋しくもありの旅行スタートでした。

 

 

 天気は上々、でも寒い!
 刺すような強風が吹いていて、気温は冬です。時々風に小雪も混じります。
 それでも我々はめげない。松島に到着したのは11時少し前。正時に出航する遊覧船に乗りました。

 

Yuuransen

 

 

 せっかくなので、グリーン料金を払って二階席へ。後部デッキに出ると、海や島や空がよく見えます。出航すると、すぐに集まってきたのは――

 

Kamome2

 

 ウミネコの大群!
 
 実は松島湾では遊覧船のデッキからウミネコに餌をやれるのです。ウミネコはカモメの一種。その名の通り、ミャオーミャオーと猫のような声で鳴きます。
 ウミネコの餌は「かっ○えびせん」。船内の売店でも売っていますが、割高と聞いていたので、家から大袋で持っていきました。それを目印に、ウミネコがすぐ近くまで飛んできて、船と同じ速度で飛びながら餌を待ちます。本当にすぐ目の前を群れで飛ぶので、鳥たちと一緒になって空を飛んでいる気分になります。
 手に餌を持つと、舞い下りてきて器用に取っていきます。時々指までかじっていきます。昇平はつつかれるのがイヤで、もっぱら餌を投げていました。それを素早く空中でキャッチして行くんですから、本当に器用です。

 

 デッキの手すりの留まるウミネコもいます。くちばしに赤と黒の模様があるのがウミネコの特徴。「餌をもらえないかなぁ?」と期待顔で人間を見ますが、ヒッチコックじゃないので、襲ってくることはありません。(笑)

 

Kamome1

 

Kamome3

 

 

 下の写真は、松島湾で一番有名な仁王島。景色を撮ろうとしても、必ずウミネコが入り込んできます。まあ、絵になるからいいけれど。(苦笑)

 

Nioujima2

 

 約50分の遊覧の間、私と昇平はほとんどデッキに出ずっぱりでウミネコと戯れていました。ものすごく風が冷たかったので、旦那は船内とデッキを行ったり来たり。兄ちゃんは船室の大きな窓からゆっくりと景色を観賞。四人四様の湾内遊覧でした。

 

 

 その後、四人で行ったのは五大堂。征夷大将軍の坂上田村麻呂が毘沙門堂として建立し、後に慈覚大師五大明王像を安置したので五大堂と呼ばれるようになったとか。屋根の下には干支の彫刻があって、方角を示しています。
 そういえば、小学生の見学学習でここに来たっけなぁ、と懐かしく思いながら眺めました。

 

Godaidou

 

 

 透橋(すかしばし)を渡る旦那と兄ちゃんと昇平。橋桁の間には隙間が空いていて、下の海と岩が見えます。「足元を見つめて気を引き締めるため」だそうですが、三人とも平気で渡っていきます。

 

Sukashibashi2

 

 

Sukashibashi

 

 橋桁の上から、足下の景色をパシャリ。海の色が冷たそうでした。

 

 

 この続きは、明日の「松島旅行・2」で――。

 

 

 

 

 

 

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2009年3月17日 (火)

公園散歩便り・85

 みなさま、お久しぶりです。
 暖かくなってきましたね。私も、ずっと休んでいた公園散歩を再開しました。
 以前のように毎日歩くのはもう無理ですが、週に2回くらいは健康のためにウォーキングできたらいいな、と考えています。

 

 ということで、今日は早春の公園のスナップをお届けします。

 

 

Matsukasa

 

 公園には松の木がたくさんあります。
 春先の地面は松ぼっくりでいっぱいです。

 

 

Shinme

 

 藪(やぶ)では、つるバラが新芽を吹いていました。

 

 

Ishi_2

 

 とある方の真似をして、こんなものも撮ってみました。
 …………。
 やめておいた方が良さそう。難しいです。(苦笑)

 

 

 園内では梅も咲き出していました。
 白梅と紅梅です。

 

Ume3

 

 

Ume1

 

 いよいよ東北にも春到来ですね。
 日に日に暖かくなって、間もなく本格的な花の季節です。

 

 

 

 

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