あ~、あれこれ忙しさに取り紛れているうちに、すっかり書く時期を外してしまいましたわ。
「世にも奇妙な物語」秋の特別編。
放映されたのは先週の火曜日だったんですけどね。
いつもならこの時間、私は寝てしまっています。観られません。
でも、本当は好きなんです。この番組。時たましか観られないけれど、SF的なもの、ミステリー風なもの、オカルティックなもの、わけのわからんもの……どのジャンルも大好きです。
たまたま今回は捜し物をして夜更かしをしていました。同じ部屋では長男がテレビをつけて、この番組を。いつしか、捜し物をする目がテレビに釘付けになったのは当然のことでした。
私が観られたのは、二つめの作品から。長男が言うには、一つめが一番面白かったそうですが。(「未来同窓会」)。
・・・以下の文章にはネタバレが含まれています・・・
二つめの作品は「カウントダウン」。熱血を勘違いしたような教師が主人公。その学校の校庭に、千個の机で大きな「9」の数字が作られていた。誰の仕業かわからない。その数字は一日ごとに減っていって、8,7,6と変わり……。
オチが非常に面白かったです。この歳になると、ドラマを見ても映画を見ても、意外に思うことが少なくなってしまうのだけれど、この作品のラストには意表を突かれました。(笑)
三つ目の作品、「ゴミ女」。売れない女フリーライターが、家中ゴミだらけにして暮らしている老婆に取材に行く。何故ゴミをこんなに集めるのだと尋ねると、老婆は「これはゴミじゃない。あたしは人が捨てた過去を守ってやっているんだよ」と言う。そして、ゴミの中からはフリーライターがかつて捨てたモノが次々と見つかり始める……。
これは良い話でした。最後に捨てられてゴミ屋敷に来るモノが「何か」は読めたけれど、読めても面白かったです。「このゴミ屋敷のおばあさん、いいよね~」と長男と話しながら見ました。
四つ目の作品、「自販機男」。まあ、「電車男」をパロったのが見え見えのタイトルですが。これも良かった!
成績不振のセールスマンの青年が、仕事の鬱憤を自販機に当たる。すると、その自販機からは手も触れられないほど熱い缶ビールが飛び出してきて、やけどしそうになる。そこから気になって観察していると、自販機がなんだか意志を持っているような気がしてきて……。
これはね~、ただの自販機が、飲み物を出したり出さなかったり、正面のランプを点滅させたり……という動きで「人間らしさ」を表現しているところが面白かったです。見ているうちに、主人公と一緒になって、どんどん自販機に感情移入していきました。ラストもしみじみとしたヒューマンドラマで、泣かされました。こういう作品が大好きな朝倉です。
五つ目の作品「48%の恋」。ストーリーとしては、ごく普通の恋愛ものでした。「え、これが世にも奇妙な物語!?」と長男が驚きましたが、まったくそういう感じ。
ただ、その恋の縁結びをする天使が、黒いタートルネックのセーターを着た普通の青年で、それが人間たちからは見えていない。そこで恋のドタバタ劇が繰り広げられ、天使はそれを見つめていて……とまあ、「作り方」がとても上手な作品でした。役者さんも良かったです。(白石美帆、岡田善徳)
特別編として作られるだけあって、どの作品も一定以上の水準で、本当に安心して観ていられました。
ただ、今回、久しぶりに観て私が強く感じたのは、これ。
「世にも奇妙な物語が、全然怖くない!」
以前、三本立てで毎週やっていた頃には、三つに一つか二つは、本当に「こわ~い」作品があったものです。幽霊ものだったり、心理ものだったり、殺人ものだったり。ところが、今回、そういう「恐怖」の物語は一つもありませんでした。奇妙と言えば奇妙な設定ばかりなので、そういう意味では確かに「世にも奇妙な物語」なのですが。
怖かったのは、ドラマの中に出てくる「普通の人たち」。教師を教師と思わず、徹底的にコケにしてあざ笑う生徒たち。主人公や自販機に問答無用で暴行を働く若者たち……。どれも、現代の日本に実在しているものの反映です。それが一番怖かった、というのは、現実のほうがドラマよりずっと「怖く」なってしまったっていうことなのかな、と考えたら、なんだか背筋が、ぞぞっと寒くなりました。
私たちは、すでに「世にも奇妙な物語」の中の登場人物になっているのかもしれませんねぇ。
☆「世にも奇妙な物語」秋の特別編 (フジテレビ)
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