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2007年3月23日 (金)

雪の中の星

疲れ果てて、ただ佇む。
雪の降る空に星が光っている。
雪も星も白く輝きながら入り乱れている。

わからない人々に語りたくはない。
わかってもらえないことに、いっそう疲れ果てるから。
わかってしまう人々にも語りたくはない。
同じ苦しさを思い出させて、聞かせただけで疲れさせてしまうから。

だから、私は黙る。
何も言わずにただ雪と星を見る。

泣けるっていうのはさ、もしかしたら、まだ幸せってことかもしれないね。
泣いたって嘆いたって何も変わらないとわかってしまっている時には
人は泣くことさえしなくなるんだよね。
ただぽかぁんと立ちつくすだけなんだよね。

辛さ悲しさは昨日もあった。
同じ苦しさは今日もある。
そして、明日にだってやっぱりあるんだろう。
それがわかっているから。

泣かない。嘆かない。怒らない。
そんなことをしたって無駄だとわかっているから。

だから、私は笑う。
雪と星の空を見上げながら。
そうして、不安げに私のかたわらに立つ君を抱きしめる。
大丈夫だよ。心配ないよ。
君はとってもいい子だよ。
本当にとってもいい子だよ。
だから、心配しなくていいんだよ。

君に笑ってあげよう。怒る代わりに。
抱きしめてあげよう。嘆く代わりに。
愛を上げよう。ほほえみを上げよう。涙の代わりに、悲しみの代わりに。

雪の中の星。星の中の雪。
遠く近く白く輝くものたちは、ひとつに絡まり合いながら、地上に降りそそいでくる。
冷たく美しく光りながら。

抱きしめてあげよう。凍えないように。
昨日に続く今日、今日に続く明日。
過ぎていく時間をただ当たり前に生きながら。
泣けないならば、笑っていこう。
雪の中に星を探そう。
遠い遠い空の中に星を探していこう。

君はいい子だよ。
君を愛しているよ――。

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