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2007年3月16日 (金)

親が子に伝えていけること

 親は子に伝えていく。
 その体型も、体質も、性格の基本も、能力も、特性も。
 親とそっくり同じ形で出ることはないかもしれない。
 けれども、子が持つものは、まぎれもなく親から伝えられてきたものだ。

 いいものだけが伝わるわけじゃない。
 良くないものも、困ったものも、いいものと同じように子に伝わっていく。
 なんの分け隔てもなく。

 親からもらい受けたものを資本に、子はこの世界を生きていく。
 欲しかったのにもらえなかったものもあるだろう。
 生きにくいものをもらってしまってもいるだろう。
 子も親も、受け継ぐものを選ぶことはできない。

 人より少し生きにくいものを多く受け継いでしまった我が子。
 本当はもう少し楽な生き方ができるように、
 生んであげられるものなら、あげたかったけれど。
 それは親にできることではなかった。

 だから、せめて、私は
 親として君に、人を信じる心も伝えてあげよう。
 この世には悲しいことや怖いことが渦巻いていて、
 いじわるな人も非情な人も残酷な人も大勢いる。
 もともと生きにくさを抱える君には、なおさらに生きにくい世界ではあるけれど。

 でも、そんな世界にも、
 優しい人たちは必ずいる。
 何の見返りも期待しないで、
 君を助けよう、君の生き方を応援しよう、と考えてくれる人たちが、
 間違いなく、この世界には存在するから。

 そんな人たちと出会ったときに、
 君がその人たちの優しいことばを信じることができるように。
 私は君に、人を信じる心も残していこう。

 それは素敵だね、と誉めてくれることば。
 それはやっちゃいけないよ、と諭してくれることば。
 あの人はこんな気持ちでいるんだよ、と教えてくれることば。
 君はこうするとうまく行くかもしれないよ、とアドバイスしてくれることば。
 そんなものを信じていくことができたら、
 困難を抱えていたって、君は人生を生きていきやすくなる。
 そして、君に向かって、
 「そんな君が大好きだよ」と言ってくれる人は、きっと増える。

 だから、私は親として、
 君の中に、素直さを育てる。
 人のことば、人の気持ちを信じられる心を育てる。
 
 この世界は怖いもの。この世界に住むのは残酷な人たち。
 だけど、その世界に同時に存在する、優しい人たちのことを
 君が信じていけるように。
 その人たちがきっと、君の人生を助けていってくれるから。

 それは、子を産んだ後に、
 親が我が子に伝えていけることだから。

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コメント

「信じる」ことができることが最強だと思う。

親のまた親・・・ずっとつながってる。
私の母方の曽祖父は家具を作る職人であったそうです。
母に「女でも職人になれるよ」といわれたことがあります。
母は曽祖父に大切にされた思い出があるようでした。
大切にされたことは、優しさへつながる(*^^*)
信じる心へと。

投稿: さゆた | 2007年3月16日 (金) 05:51

>大切にされたことは、優しさへつながる(*^^*)
>信じる心へと。

はい、本当に。
ほんとうに。

投稿: 朝倉玲 | 2007年3月16日 (金) 08:14

「良くも悪くも親となった限りには伝わってしまう。だから言葉って日本語って綺麗な日本語って大事なんだ!」って今日友人が力説してました。

だから子どもには、悪い言葉を使っちゃいけない。悪い言葉を使って育てた子どもは自尊心も低くなるんだって言ってたんです。

今日・・・朝倉さんのこの文章読んで同じコトだって思い感動しています。私たちの子どもって、つい周囲から奇異の目で見られるかもしれないケド、子どもを信じて守らなくては・・って思いました。

>だけど、その世界に同時に存在する、優しい人たちのことを
 君が信じていけるように。
 その人たちがきっと、君の人生を助けていってくれるから
このことって私が病気になって初めて実感したことです。
娘たちにも伝えていきたいって思います。
でも・・・伝えるって言葉じゃ難しいですね

投稿: 春芽 | 2007年3月16日 (金) 21:12

子どもは、いつか親から自立して生きていくんですよね。
そうして、大勢の中で生きていく。
その力の土台を作って上げることが、親としてできる最大のことなんだろうな……
と、最近、本当に思っています。

それはきっと、大勢の中で生かされている自分自身を感じることから、子どもに伝えていけることなんでしょうね。
ことばじゃなく、姿で見せていくものなのかも……。

投稿: 朝倉玲 | 2007年3月18日 (日) 10:16

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