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2006年12月17日 (日)

白鳥の飛来地

 今、てくてく日記にライトアップを見に行った記事をアップしたのだけれど、今日は福島市岡部の阿武隈川(あぶくまがわ)まで白鳥に見に行ってきた。毎年、たくさんの白鳥が越冬のために飛来するので、白鳥と親しめる場所として福島市の冬場の名所になっているのだ。
 白鳥たちには餌をやることができる。私たちも、家から安売りで買っておいた食パンの袋を抱えて、車で向かった。駐車場は無料。すぐ近くに、ゴミ焼却場の廃熱を利用した温水プールがあるけれど、その向かい側を川に向かって下りていくと、車が停められる。観光ルートに入っているようで、時々大型観光バスもやってくる。駐車場の入口の売店で小さく切ったパンを「白鳥の餌」と称して100円で売っているけれど、地元の人間は、やっぱり自宅からパンやパンくずを抱えてくる。
 「今日の白鳥の数は450羽」。プレハブ作りの小屋の入口に書いてあった。毎朝、野鳥の会の人が数えるらしい。小屋の中には簡単ながら、鳥や自然に関するパネルや解説も並んでいる。この地で力尽きたという白鳥の大きな剥製もあった。

 白鳥の飛来地、と言いながらも、行ってみると白鳥の数百倍もいるカモに圧倒されることになる。カモ、カモ、カモ……もう目の前、足下、いたるところにカモがいる。いったい何万羽いることやら。さすがに、野鳥の会の方たちでも、これだけのカモを数えようとしたら、ものすごく大変だろうなぁ。
 でも、カモもとても愛らしい。そして、小柄なカモの方が白鳥よりも小回りがきく。川に浮かぶ白鳥に餌を投げてやると、素早くやってきて、ぱくりと餌を食べてしまう。お腹がいっぱいになったようなヤツは、日だまりの中にうずくまってお昼寝。それがまた、人間の本当にすぐそばでまどろんでいる。
 でも、どんなに人になれているように見えても、彼らはやっぱり野生の生き物。触れようと手を伸ばしたり、後を追いかけたりすると、たちまち立ち上がってよちよちと逃げて行ってしまう。餌はほしい、でも、近づくのは怖い、という様子の鳥たちも多い。そう、餌付けされていても、彼らはやっぱり野生。人間のペットとは違うんだよね……。
 白鳥は大きい。餌をくれ、と言うのか、時々翼を広げてアピールすることがあるけれど、びっくりするくらい大きく感じてしまう。同じくらいの大きさがありながら、色が灰色なのは、まだ若い白鳥。見ていると、餌の受け取り方が大人より下手くそで、たいていカモに横取りされている。
 カモは雄鴨と雌鴨で色や模様がはっきり違う。一回り小さな種類の違うカモもいたけれど(今、図鑑で調べたけれど、大量にいたのはマガモ、小柄なのはホシハジロと言うらしい)、ホシハジロはしきりに水にもぐって、川底に沈んだ餌を食べていた。白鳥も、時々長い首を水に差し込んで、水底の餌をとる。でも、マガモたちは水面の餌に群がるだけ。それで足りないヤツらは岸に上がってきて、人間から直接餌を撒いてもらっている。もしかして、マガモは水に潜れないのかな? と思っていたら、それも図鑑に載っていた。マガモは水面で餌をとる。ホシハジロは水にもぐって餌をとる。――やっぱり!(笑)

 昇平は大喜びで鳥たちにパンを投げていた。はしゃいでいるけれど、騒ぎすぎることはない。鳥たちの間を走ったりもしなかったから、ホッとした。鳥たちを驚かせたら大変。旦那にそう言ったら、「昇平は鳥が怖いからだろ」と笑っていた。まあ、そうかもね。でも、野生の生き物に対しては、それくらいの畏敬の念は持っていて良いと思うな。どんなに身近まで来るようになっても。
 川辺には、パンくずのおこぼれに預かろうとカラスたちも集まっている。カラスもなかなか美しい、と私は思っている。濡れたような黒い羽根は本当に綺麗だ。空からおこぼれを狙ってきたトビを追い払っているカラスもいた。時々こういう光景は見かけるのだけれど、カラスvsトビって、たいていカラスが勝つんだよね。時には数羽のカラスでコンビネーションプレイを見せることもあるし。大きさばかりの勝負じゃないんだなぁ、なんて思っていた。

 というわけで、白鳥だけでなく、他の鳥たちも観察して楽しみながら、しばらく川辺にいた。冬場はここは餌をやりにくる観光客や親子連れで毎日賑わう。白鳥の監視員さんたちもいる。
 ここにこれだけの鳥たちが集まるまでには、長い間の努力があったと聞いている。冬にやってくる使者たちを、大切に大切に見守ってきた人たちがいるのだ。その甲斐あって、こんなに人間の近くまで、鳥たちが来るようになった。自然が人間のこんなそばまで来てくれる場所は、そうはない。
 白鳥もカモも他の鳥たちも、厳しい冬を乗りきって、そして、暖かい春が来る頃には、また北へと元気に飛んでいってほしいな、なんて考えた。


白鳥とカモの写真。カモたちは、本当に人間のすぐ近くまで来る。(写真右端)岸辺は群がる鳥たちがまるでゴミのよう。(笑)

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