« 2006年6月 | トップページ | 2006年8月 »

2006年7月30日 (日)

夏休みの昼ご飯~スパゲティ2種~

060730_1212060730_1221 日曜日で家族が皆そろっていたので、今日も真面目に昼ご飯を作りました。
 とはいえ、特別買い物してあったわけでもなく、例によって冷蔵庫を覗いて、「何が作れるかな~?」。
 ん? やっぱり今日もろくなものがないわね。そういえば、鶏肉は朝食で使ってしまったっけ。う~ん、そうだなぁ……。ごそごそ。戸棚を探してみたら、5分で茹だるスパゲティが出てきました。お、よし。これで行きましょうか。
 ミートソースはこの前使い切ってしまったけれど、ツナ缶と玉ネギとトマトケチャップさえあれば大丈夫。あ、ホタテの缶詰もあった。冷蔵庫に小ネギもあったし、それじゃ、洋風と和風、両方のスパゲティにしましょうかね。

 というわけで、できあがりの写真は上の通り。左のが「スパゲティ・コン・トンノ ナポリタン風」。右のは「ホタテと小ネギの和風スパ」です。

☆作り方☆

スパゲティ・コン・トンノ ナポリタン風
【材料】(2人前)
スパゲティ・・・200~250g
ツナ缶・・・・・・小1個
玉ネギ・・・・・・小1個
トマト・・・・・・・1/2個
ピーマン・・・・・少々
ウィンナー・・・・1~2本
固形スープの素・・・1/2個
塩、こしょう、トマトケチャップ、ソース、しょうゆ、サラダ油

【作り方】
1.お湯を沸かし、スパゲティを時間通り茹でる。
2.玉ネギは半分に切ってから薄切り、トマトは皮をむいて種をとってからざく切り、ピーマンは細く切る。ウィンナーは薄い輪切りにする。
3.フライパンに油を熱し、玉ネギ、トマト、ピーマンを炒め、ツナ缶をくわえてざっと混ぜ、塩、こしょう、ケチャップ、ソース、しょうゆ(少々)、固形スープの素で調味し、水1/2カップを注ぎ、ウィンナーもくわえて2~3分煮込む。調味料の分量は好みでよいが、酸味が強すぎるときには砂糖少々をくわえると良い。
4.茹だったスパゲティをザルに上げ、サラダ油またはオリーブオイルをからめて皿に盛り、3をかける。

    できあがり♪

ホタテと小ネギの和風スパ
【材料】(2人前)
スパゲティ・・・・・200~250g
ホタテの缶詰・・・小1個
小ネギ・・・・・・・・3~4本
昆布ダシの素(粉末)または粉末昆布茶
塩、こしょう、しょうゆ、サラダ油

【作り方】
1.お湯を沸かし、スパゲティを時間通り茹でる。
2.小ネギを小口切りに刻む。
3.茹だった1をザルに上げ、湯を切ったらボウルに入れ、熱いうちにサラダ油少々、ホタテの缶詰(汁ごと)、2の小ネギ、昆布だしの素(または昆布茶)、塩、こしょう、しょうゆ少々をくわえて混ぜ合わせる。

   できあがり♪

 コン・トンノ ナポリタン風なんて言ったって、材料がちともの足りなかったから、ツナ缶とウィンナーを入れただけのこと。ツナ缶だけ、ウィンナーだけでも充分いけます。トマトやピーマンだって別に入らなくていいし。
 和風スパのほうは、ホタテ缶をツナ缶や鮭缶にしてもおいしいです。小ネギの代わりに刻んだ水菜を混ぜてもOK。
 まあ、要するに、あるものでなんとか「それらしい」昼食をでっち上げればいいわけで。こういう料理は大得意です。なにしろ、昇平が小さくて多動が激しかった頃、ろくに買い物にも行けなくて、食事作りのたびに鍛えられましたからね。(笑)
 2種類のスパゲティが並んだ食卓を見て、「おー、豪華だな」と声を上げた家族たちでした。わっはっは。
 

| | コメント (5) | トラックバック (0)

2006年7月29日 (土)

夏休みの昼ご飯~手巻きパンケーキ~

 いやぁ、夏休みでございます。今日は夏期講習が休みだったので、昇平だけでなく、兄ちゃんも家におりました。
 子どもが家にいると、決まって悩むこと。
「昼ご飯に何を作ろう~っ!?」
 スパゲッティ、トースト、ラーメン、チャーハン、全部やってしまった。そうめんはこの間、夕食に作ったしなぁ。朝食のおかずは残っているけど、大人はともかく、子どもたちは全然喜ばないしねぇ。うーん。どっしよ。
 冷蔵庫、ごそごそ。ハム、スライスチーズ、きゅうりとキャベツと……あらら、ろくな材料が残ってないぞ。これで何が作れるだろう? いいとこサンドイッチかな? う~ん、でもなぁ。

 というところで、ひらめきました。ピーンと。
 そうだそうだ。この前、ホットケーキミックスを買っておいたじゃないの! あれで手巻きパンケーキを作りましょう!

【材料】(3~4人分)

 ホットケーキミックス ・・・1袋
 卵・・・・・・・・1個
 牛乳・・・・・・1カップ
 水・・・・・・・・1/2カップ
 サラダ油、

(具や調味料として)
 ハム、スライスチーズ、きゅうり
 マーガリン、ホットケーキシロップなど


【作り方】

1.卵と牛乳と水を合わせてよくかき混ぜ、さらにホットケーキミックスをくわえて、粉っぽさがなくなるまでよく混ぜる。

2.フライパンに油を熱し、ペーパータオルなどで余分な油をふき取る。この際に一度ぬれ布巾などでフライパンの底を一度冷ますときれいに焼ける。

3.1のタネを1/3~1/4量流し込み、表面にブツブツ穴があいてくるまで弱火~弱めの中火で焼く。

4.3をひっくり返し、裏面もさっと焼き、皿に取っておく。

5.残りのタネも同様に焼く。

6.その間に具を切っておく。ハムやチーズは半分に切り、きゅうりは厚めの斜め切りにしてから棒状に切る。
  ま、このへんは適当で良いと思いますが。(笑)

7.パンケーキが全部焼けたら、1/4にカットして皿に並べる。(※小さめに焼いたときには1/2にカット)
  具やマーガリン、シロップ等を好みに応じて巻いたり、かけたりして食べる。


 ま、要するに薄焼きホットケーキで、手巻きをやるようなもんですね。目先が変わって、昇平も兄ちゃんも喜んで食べました。材料があれば、レタスとかトマト、ウィンナーソーセージなんかもあると美味しいです。ちなみに、パンケーキでウィンナーを巻いたヤツを「ピギー・ブランケット」(コブタの毛布)とか言うんだそうです。カワイイ名前だよねー。残念ながら、今日はウィンナーがなかったので、ハムだったけど。
 写真を撮れば良かったんだけど、撮る前に食べられちゃいました。(笑) 今度また機会があったら撮って載せましょう。

 ホットケーキと違って、パンケーキは薄いからすぐ焼けて、待ちきれない子どもたちにも作りやすいです。一緒に台所でわいわいと作ってみるのも楽しいかもしれないですね。
 Let’s cook & enjoy eating!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年7月17日 (月)

FFX

 兄ちゃんが、友だちから借りてきた「FFX」(ファイナルファンタジー10)をやり始めました。
 同じ部屋にいるから、何気なく眺めていたのだけれど……いや~ん、おもしろいじゃないですか~!!(爆) オープニングのブリッツボールの試合シーンから、うむむ、うまいぞ。構成がすごく上手い。眺めていて、すごくおもしろいです。
 先日、兄ちゃんは「FFXII」をクリアして、あれはあれで非常におもしろかったけど、なにしろ全体に「スターウォーズ・エピソード4」の印象が強かったから。(だからこそ、おもしろかったと言えるのかもしれないけど。>私はスターウォーズ4~6世代) 「FFX」はスピード感といい、ストーリーの絡ませ方といい、主人公の「語り」の入れ方といい、うむ、見ていておもしろいわ。やっているプレーヤーは、すぐに戦闘シーンが終わってしまうから、逆にもの足りないのかもしれないけどね。
 ま、今頃「FFX」の話をしたって時代遅れもいいところだろうから、このくらいにしておきますけど、兄ちゃんがやるたびに、私は他のこともほったらかしにして一緒にゲームを眺めてしまいそう。私はゲームはやらないけれど、こんなふうに他人がプレイするRPGを眺めるのは大好きだから。
 ん~、しかし「シン」の圧倒的なCGはすごいなぁ。いや、「FFXII」もグラフィックは本当にすごかったけど。こういう迫力感はね……観ていてワクワク。できることなら、自分でも書いてみたいかも。(笑)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年7月16日 (日)

近況報告

 おー。久しぶりに「ひとりごと」ブログの更新です。間にメンテナンスが入ったりしましたからね……。
 あまり久しぶりなので、家族の近況など書いてみましょうか。

 皆、元気でいるのですが、昇平が歯医者と眼科に通っています。歯医者は、以前治療したところの詰め物が、ガムをかんでいた拍子に取れてしまったから。それを治療するうちに、もう1箇所、永久歯に小さな虫歯が見つかって、次回はそこの治療。先日の土曜日には、歯列矯正の定期検診もありました。今のところは永久歯に生え替わるのを待って様子を見ている状態。上の前歯が下の前歯の奥に生えてしまった、いわゆる「受け口」は完全に治っています。良かったなぁ。
 眼科のほうは、遠くを見る目つきがどうしても気になったので、学校の視力検査が右A,左Bと出てきたのを受けて、正確な検査に行ったのですが、やってみてびっくり。右0.15,左0.1という、とんでもない近視でした。左右ともD評定ですね。学校の視力検査で、どうしてそんなに見えたのか不思議なところですが、本人いわく「勘!」だそうです。形には異様に強い子だからなぁ~……。(苦笑)
 町の眼鏡屋さんで、一番安いメガネを作りました。とにかく、メガネに慣れなくちゃいけないし、おそらく、いや、絶対に、昇平はメガネを壊すかなくすに決まっているから。本人がメガネの管理になれてきたら、もう少しランクの上の、しっかりしたメガネを作ってやる予定です。今流行りのレンズが細長くて小さいデザインのフレームですが、ラインはやや丸め。銀縁なのであまり目立ちません。けっこう似合います。(笑) 本人、メガネをかけて非常に良く見えるようになったものだから、大変気に入っているようです。ただ、ずっとかけっぱなしなのはわずらわしいらしく、ちょくちょく外してはそのへんに置いているので、いつか無くしそうで母は不安。「メガネをかけて!」と口を酸っぱくして言い聞かせているところです。
 今まで板書が大変だったり、友だちの顔がなかなか覚えられなかった原因のひとつには、この近視もあったのかもしれません。メガネひとつかけただけで何もかも解決になるなんて虫のいいことは考えませんが、何かしら、本人が自分の周りを知る手助けになってくれればいいなぁ、と思っています。

 ところが、その昇平のメガネをうらやましがったのが兄ちゃん。もともと、右C、左Aと極端に左右の視力が違う子で、良いほうの左目のおかげでなんとか生活していたのだけれど、高校に入って、、頼みの左目の視力もがた落ち。右目の視力も落ちて、昇平のメガネをかけてみても、左はよく見えるけれど、右はぼやけている、と言います。ということは、右の視力は0.1もない、ってことじゃないの……! 良い方の左だって、昇平のメガネでよく見えると言うからには、0.1程度? う~ん、兄ちゃんにもメガネを作ってやらなくてはなりません。夏休み中に眼科に連れて行って、メガネの処方箋を出してもらってくる予定です。

 もともと、旦那はかなりの近視です。視力は左右とも0.0某だと言います。私も、なんとかメガネこそかけずに済んでいますが、決して視力の良いほうではありません。子どもたちは、両親のどちらに似ても、目は良くならないわけです。
 でもって、旦那まで「最近仕事でパソコンばかり見てるせいか、近視が進んだような気がする。メガネが合わなくなってきたんだよなぁ」と言い出しました。となると、旦那も視力検査&メガネの作り直し? ひえぇ~、この夏、メガネ代だけで、いったいいくらぶっ飛んでいくのでしょう!?
 せめて、私だけはメガネ無しで生活できるように、と、パソコンのモニターを見る合間に、目の前の窓の外に目を向けて、せっせと遠くを眺めています。

 昇平はこの金曜日から夏休みです。兄ちゃんも夏休みだけれど、ずっと合宿や夏期講習があるので、本当の夏休みはお盆近くまでお預けです。ま、頑張ってくれ、兄ちゃん。人生の厳しさを学ぶのも、また大事なことだと思うよ。社会人になれば、1週間夏期休暇がもらえるだけでも恩の字なんだから。(笑)
 昇平は、夏休みを前にして、パソコンの使い方を母と約束中。目を休めるためにも、あまりパソコンをやりすぎないためにも、時間を決めてやることを徹底しようとしているのだけれど……。さて、うまく行くかしら。母自身が、一日に何時間もパソコンの前に座りっぱなしで、全然良いモデルになってないからなぁ。うーん。

 ま、そんなこんなで、命には別状無く元気でいます。
 いよいよ夏休み。いつもとは違う楽しい経験、思い出に残る体験ができるといいのだけれど。さて、どうなりますやら。
 
 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年7月11日 (火)

ブログがメンテナンスに入ります

 私がブログを書いているココログが、本日11日午後2時~13日午後2時まで、大規模なメンテナンスに入ります。ここしばらく、記事を新しく投稿したり、編集したり、コメントをつけたりトラックバックしたり……というのが、時間帯によって非常に大変になっていて、それを解消するための大規模なメンテです。
 ただ、こういう作業というのは、たいてい予定より延びるものでして……。(^_^;
 新しい記事を投稿しようにも、日中の時間帯にはやたら時間がかかりますし。というので、ここではこうしてお知らせの記事を載せておくだけに留めます。詳しいことを知りたい方は、左下の欄にココログのメンテナンス情報が出ていますので、そちらをご覧ください。

 あーあ。2日間、ブログを書くことも、コメントすることもできなくなるのか。暇ですねぇ。(爆)
 いや、片付けるべき仕事は山とあるんですけどね。(苦笑)

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2006年7月 7日 (金)

線香花火

 プロフィールの写真も変えました。今月は線香花火。上に写っているのは指です。
 指無しの画像もあったんだけど、それだと、何の写真か、さっぱりわからないのでした。(苦笑)

050807_2030

050807_2037

| | コメント (0) | トラックバック (0)

家計簿

 ふー。やっと、たまりにたまりまくったレシートの整理を終えました。……大変だった。(苦笑) コンスタントに整理していればいいものを、溜めておいて一括処理しようとするから、苦労するんだよね。うーん。このアバウトな性格、なんとかならないものか。(苦笑×2)
 でもなー。結局私の家計簿って、単なる出費の記録でしかないんだよねー。いや、それだって重要な役目ではあるんだけれど、本来の家計簿は、もう一歩進んで、家計管理のために使うのが目的なのに。全然できていないー!(苦笑×3)
 いくら記録しても、整理しても、家計管理を考えても、結局いつも同じになるってのも、やる気が出ない原因ではあるなぁ。行き着くところはいつも決まり切った結論だもの。「無駄遣いをしないで倹約する」 ……つまんないー!! ま、子どもたちに教育費がかかる時期なので、しかたないと言えばしかたないんですが。
 でも、その甲斐あって、先月の家計から、ほんのちょっぴり余裕が生まれました。
 これはね、私のへそくり♪ わずか2千円だって、これは嬉しい。大事に別な袋に入れて、「何に使おうー♪」と考えてます。……多分、本に化けるような気はするんだけど。(爆)

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2006年7月 4日 (火)

「デスノート」・4

 昨夜、詐欺の現場を取材したテレビ番組を観ていた兄ちゃんが、突然腹立たしそうに言い出した。
「まったく、こういう犯人のヤツらこそ、デスノートに名前を書いて全員殺してやりたくなるよな! ぜぇってえ、殺してやりてえ!」
 兄ちゃんは漫画「デスノート」が大好き。つい先日、友人たちとその映画も観てきたばかり。だから、なおさらそういう思考になっているらしい。罪もない人たちを精神的に追い詰めて弱い気持ちにさせ、大金を巻き上げていく詐欺グループの手口に、本気で腹をたてている。その姿を、いかにも高校生らしいまっすぐさだなー、と思いつつ。
「う~ん、でもねぇ……殺しゃいいってものでもないと思うよ」
 と母である私。
「どうして!? 悪いことをしたヤツは報いを受けるべきだと、俺は思うよ! 殺人を犯したヤツは絶対死刑! 『デスノート』反対派のヤツらもいるし、死刑廃止論をいうヤツらも大勢いるけど、俺はそいつらに言いたいね。身内を殺されてみろって! その時にも、死刑はいけないことだとか言えるか? ぜってぇに、ぜえってぇに、そいつも犯人を『殺してやりたい』って憎むはずだぞ!」
 高校生になってから、兄ちゃんは「絶対」ということばに「ぜってぇ」という言い方をする。
 まっすぐだねぇ、兄ちゃん。本当にまっすぐだ。もちろん、兄ちゃんが言う殺人犯の中に、過失で相手を殺してしまったり、自分を守るために相手を殺したりしたケースは含まれていない。純粋に、悪意を持って相手を殺した犯人のことを指している。
 でもね……本当の世の中ってのは、そんなに単純なものでもないんだよ。お母さんは「デスノート」の漫画を読み続けることができなかった。だって、どんなに凶悪犯だったとしても、「だから、殺されて当然」とは、なかなか言い切れないのが現実だと、わかってしまっているから。漫画に描かれているように、犯罪者だから、受刑者だから、悪徳政治家だから、「殺されてかまわない」とは、とても言い切れないのが現実だから。

 言葉を濁す母に、兄ちゃんはじれったくなったらしい。どうしてそんなことを言うんだ、と言うように、母にかみついてくる。
「悪いヤツは悪いんだ! 人を殺したヤツは殺されて当然! 最近、悪いヤツらがますます増えてるじゃないか! 小学生を平気で殺したり。そういうヤツこそ、死刑になるべきだと思うぞ! 誰が許したって、身内を殺された家族が絶対に許さないじゃないか! どうして、そうヤツを殺したいと思っちゃいけないんだ!? 俺はデスノートが現実にあったらいいと、本当に思うぞ!」
 私は思わず溜息をついてしまう。その意見は正しいよね。ある意味、本当に正論だよね。目には目を、歯には歯を。世界の正義の根源をなす思想だけれど。だけど……
「今は、わからなくてもいいよ。ただことばでだけ聞いておきなさい。世の中って言うのは、それほど単純なものじゃないんだよ。悪いやつを殺すことが一番正しい、ってことじゃないんだ。殺すことが解決にならないことも、たくさんあるんだよ。……今はわからなくてもいいから、そういう考え方もあるんだ、ってことだけは、覚えておきなさい」
 すると、兄ちゃんが憮然とした顔になって聞き返してきた。
「たとえば、それってどういうことさ?」
 時計はもう夜の十時半を過ぎている。昇平を寝かしつけなくちゃいけない時間なのだけれど、なんとなく、兄ちゃんとのやりとりをこのまま切り上げてしまいたくはなかった。
「……お母さんが考えていることを、本当に聞いてみたいと思う?」
「思う」
 兄ちゃんがそういったので、それまで向かっていたパソコンから離れて、兄ちゃんに向き直った。

 「たとえばね、最近、兄ちゃんくらいの年の子が、もっと小さい子や他の人を殺したりする事件を時々起こすでしょう?」
「ああ。そいつらこそ殺されるべきだと思うぞ!」
 と兄ちゃん。口調は激しい。同年代の子の事件だからこそ、それはいけないことだ、間違っている、という想いが強いんだろう。
「そういうことをする子たちってね、自分自身が、家族の中で大切にされてきていないことが多いんだよ……。一見ごく普通の家庭に育っていることもあるんだけど、よくよく調べてみると、家庭の中でその子は全然大切にされてきていないんだよ。ほったらかしにされているのね。人間として大切にされてきてない、っていうのかな……。自分を大切にされてきていない子は、他の人間を大切にしようなんて考えないんだよ。相手が自分と同じように考えたり痛がったりする人間だとは思えないの。相手を大切にすることができないんだ……だって、自分自身が、生まれてからずっと、誰かから大切にされてきた経験がないからね」
「……それは、その親が悪いじゃないか!」
「それでも、その子のしたことは、やっぱり罪なんだよね。人を殺すのは、悪いことだもの。ただ、その子は、そういうことをするのが『悪いことだ』とはわからなかったんだ」
「どうしてわかんねえんだよ! 普通わかるじゃないか、それくらい!」
「それを教えるのは誰?」
「そりゃ、親だろう」
「だから、その子は親たちから教えられてこなかったんだってば。自分のしたことが悪いことだと、誰からも教えられてこなかったんだ。そうだとしたら、本当に悪いのは、誰になると思う?」
「……そいつの親」

 ね。これはたとえば一つの例に過ぎないけれど、殺人一つを見たって、その背景を考えると、単純にその犯人を殺せばそれですむ、という問題じゃないことはあるんだよ。
 その子は人の命を大切にすることを教えられてこなかった。それというのも、自分自身を大切にされてきた経験がなかったから。それをね、一から教えなおそうとしている少年院がね、実際に日本にはあるんだよ。人の命の大切さ、相手を大事にすることの大切さを教えて、そして、自分がしたことの罪の大きさに気づかせようとする、そういう取り組みをしているところが、本当にあるんだ。
 もちろん、犯人の全員が全員、それに気がつくというわけじゃないよ。中にはいくら教えても最後まで気がつけない人もいる。そういう犯人は、やっぱり極刑にされるしか道はないのかもしれないね。人によっては、すぐに死刑で殺してしまうのは間違っている、一生外の世界にでられない刑務所に置いて、そこで人生を過ごさせることこそがなによりつらいことになるはずだから、死刑より終身刑のほうがいい、と主張する人もいるよ。その犯人にとって、どうすることが最も適切な「刑」になるのかは、その人によって違うのかもしれないね……。

 兄ちゃんから最初の頃のような激しい憤りは感じられなくなってきた。けれども、やっぱり怒ったような目をしながら、こう言う。
「犯人は自分の罪を悔い改めて、自殺するべきだと思うぞ。俺だったら――もしか、俺が本当に悪いヤツになって殺人を犯して刑務所に入れられたとしたら――刑務所の中で一瞬正気に返って、自分で自殺すると思うぞ」
 きっぱりした口調。
 思わず絶句した母に、兄ちゃんがちらりと目を向ける。
「俺がこういうこと考える人間だってこと、お母さんは知らなかった?」
 ホントにもう……君と来たら! 思わずほほえんでしまった。
「意外だったんじゃないよ。やっぱり、お父さんとお母さんの子どもだったんだなぁ、って思っただけなんだよ」
「……お母さんも、そんなふうに思ってるわけ?」
 今度は兄ちゃんが意外そうな声。
 笑ってしまう。笑顔を返すしかない。
「思ってるよ。たとえ間違いでも人を殺してしまったら、誰が許してくれても、お母さんは自分で自分を絶対に許さないから。だからね、もしも、本当にそういうことが起こってしまったら、お母さんのことを気をつけてちょうだいね。もしもお母さんが自殺しそうになったら――止めてね」
 今度は兄ちゃんが絶句した。
 時計の針は11時に近づいている。もう、昇平を寝かしつけなければ。昇平は、隣の部屋の布団に転がって、いつまでも携帯ゲームを続けている。もう行かなくちゃ。
 考え込んでるような兄ちゃんを残して、私は部屋を出た。


 朝になってから、旦那にその話をした。旦那は仕事が忙しくて、その時間にもまだ帰宅していなかったから。
「難しい問題だな。答えはなかなか出ないな」
 と旦那も考え込むように言った。それはそうだ。旦那自身にだって、まだ答えが見つかっていない問題だもの。
「うん。考えていけばいいと思うんだ。何年も何十年も考えて、そうして答えを見つけていく問題だと思うんだよ」
 殺したい相手の名前を記せば、一定時間後にその相手を自然死させることができるというデスノート。手を血に染めることなく、悪い人間を世の中から抹殺していくことができる。それは「絶対の正義」の姿なのかもしれない。
 だけど――人間に、デスノートは本当に必要なのかな。
 その答えは、君自身がこれから時間をかけて見つけていくものだね。兄ちゃん……。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2006年6月 | トップページ | 2006年8月 »