それぞれがそれぞれ
おばーちゃんと昇平と買い物に出たら、お祭りをやっていたので立ち寄ってきた。昇平は好きなキャラクターのプラモデルをおばーちゃんに買ってもらえてご満悦。家に帰ると、さっそく「よし、作るぞ」と隣の部屋にこもってしまった。
そして約30分。そっとのぞいてみたら、昇平は作り方の紙とくびっぴきで、プラモデルをほとんど完成させていた。どうしても足の部分だけが上手くはまらなくて、「お母さん、やってよ」。
手伝いながら、そう言えばお兄ちゃんはプラモデルが苦手だったなぁ、と思い出した。まず作り方の説明図を見ても、それがよくわからない。ちょっとでもうまく出来なくなるとかんしゃくを起こす。「せっかくこづかいはたいて買ったのに! こんなもの買うんじゃなかった!」 今の昇平ぐらいのときに、お兄ちゃんがよく言っていたセリフだ。
昇平はと言うと、とにかく論より証拠、理屈より実践。まずは作り始めてみて、ああでもない、こうでもないと考えながら、けっこうちゃんと組み立ててしまう。
昔からそうだったんだよね。お兄ちゃんはまず最初にやり方がしっかり飲み込めていないと手が出せないタイプ。昇平はやってみながら、やり方を理解していくタイプ。うーん、一応お兄ちゃんは健常児で、昇平の方が障害児なんだけどねぇ。ちょっと考えると逆なような気がするんだけれど、そうじゃないんだよね。
今もその名残はあるけれど、昇平はことばの発達が遅れていて、小さい頃には本当にろくにしゃべれなかった。
その彼がどうやって行動していたかというと、まず、やりたいこと、興味があることはじっと観察する。そして、とにかく手を出してみる。大人になんか頼らない。自分でやれそうだと思うことは、誰にも断ることなく、さっさと自分でやってしまう。どうしても思い通りに行かない時だけ、大人にヘルプを求めてくる。
それに反して、お兄ちゃんは慎重派。昨日も書いたように、自分から何か始めるというより、なにをするか明確に決まっていることを確実にやっていきたいタイプ。新しいことにはなかなか手を出さない。失敗しそうなことにも手は出さない。やり方さえ飲み込めば、しかにも上手になるし、器用にこなすことが多いのだけれど。
同じ親から生まれた兄弟なのに、本当に違うな、と思う。
お兄ちゃんはきっと、きっちりした責任ある仕事をこなしていくような職業に就くんだろう。人当たりはよくて、誰とでも仲良くなれる才能の持ち主だから、きっと、それを自分の武器にして社会を乗り切っていくんだろう。
昇平の方は、きっと、もっと独特な道を進んでいくだろう。どの方面に行くかは、まったくの未知数だけれど、きっと、人の行かないような場所に自分一人でさっさと進んでいって、進みながらやり方を覚えていって、案外、ものにしてしまうのかも。
どっちがいいとか悪いとかじゃなく、それぞれがそれぞれで、それが面白いな、と本当に思う。
子育てって、ホントに飽きない。
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