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2006年1月 5日 (木)

親と子

「いいわよね。あなたのお子さんは『普通』だから」。
これは障害ある子を持つ親が、健常児を持つ親によく言うことば。声には出さなくても、心の中でそう言っていることも、しばしばある。
だけど、本当にそうかな。本当に「健常だからいい」のかな。

私は障害ある二男と、健常児の長男、二人の子どもを育てている。
実際にいろいろ手がかかるのは二男。時間も手間も、長男の倍以上かかっている。
だけど、長男は別の難しさを抱えている。こころの問題、価値観の問題、生き様の問題・・・。特に、中学以降は親である自分の生き方そのものを問いただされるような、そんな場面がしばしば起こる。

「お母さん、俺の気持ちがわかってる? わかるはずないだろう」
お兄ちゃんが私に言う。
わかるわけがないよ。親子だって他人だもの。別な人間同士だもの。ことばに出さなくちゃ、気持ちも考えも相手には伝わらない。それを越えて理解しろ、なんていうのは、子ども時代の親への期待を引きずっている証拠。
高校生は、大人と子どもの狭間。親に失望して、親を恨んで憎んで、そして、自分で生きることを見つけなくちゃならない時期。
でも、それを言ったところで、今のお兄ちゃんには伝わらない。理解できない。したくない。
親への甘えと親への反発。激しいその嵐のただ中にあるのが、彼の時代だから。
人の人生は、結局自分で歩くしかない。どんなに苦しくてもつらくても、自分の足で立ち上がって、歩くしかない。
「つらいよね」と言ってほしい? 「苦しいよね。お母さんの胸で甘えなさい」と言ってほしい?
でも、それを言ってしまったら、君は立ち上がれないんだよね。十六年間のつきあいで、それはわかってしまっているから。
だから、突き放すしかない。
たとえ憎まれても、恨まれても。

だけど、こんな子育てをしている親は、私だけじゃない。
この年代の子どもを持つ親は、みんな悩んで迷っている。だって、どこにも答えはない。正解も正答も、何も見えない。ただ、自分自身の生き様と価値観で、我が子に示してみせるしかない。
いつかわかってくれる日がくることを祈りながら。
子どもはつらいよね。だけど、親だってつらいんだよ。
それがわかる日が来るのは、君自身が親となって同じ年代の子を育てるときなのかもしれないね。

それに比べると、二男は手はかかるけれど、親の生き方を問われる悩みは小さい。難しさの質が違う。
障害ある子を育てる方が楽だ、なんては言わない。
私が言いたいのは、ただこのこと。
「どんな子どもであっても、子育ては大変。」
障害のあるなしなんて、全然関係ない。ただ、その子の成長を見守り、助けることを考えたとき、そこにいるのは、ただ「親」と「子」だから。
そして、本当にその子のことを考えて、あえて突き放す必要がある場面だって、出てくるんだよね。
親のくせに、と子から非難されようとも。

悩め。苦しめ。考えて苦しみ抜いて、そして、生きていけ。
これからの長い人生、君を最後に助けてくれるのは、他でもない君自身だから。
親はずっと子と一緒に生きていくことはできないんだから。
自分の足で、歩いていけ。

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コメント

あけましておめでとう、今年もよろしくお願いしま~す。
家も、長女17歳、次女16歳がいるので、日記を読みながら、うんうん と納得しながら読みましたよ。手の掛け方が違うとか、そういう問題ではないということは、彼女達もわかっていると思う。
きっと、お姉ちゃん達も悩んでいることが山ほどあるでしょう、それを1つ1つ乗り越えて行ってほしいと思い、助けを求められれば惜しみなく手を貸そうと思ってます。
それは、そばにいられる今しかできないことだから。

投稿: 葉月 | 2006年1月 6日 (金) 11:25

葉月さん、あけましておめでとうございます。
コメントありがとうございましたー。
共感してもらえて、嬉しかったです。こういうときの親は孤独な心境だから。(笑)

本当に、今しかできないことだから、精一杯、自分なりにやっていこうと思ってます。何が正解かなんて、全然わからないけれど、でも、こうと思うことをやっていくしかない。だって、自分は親なんだし、子どもは刻一刻と成長していくわけですものね。

親は無力だなぁ、と思います。というか、本当に、成長するのは子ども自身であって、親はそのサポーターに過ぎないんですよね。
どうか健やかに育っていきますように、と、最後は天の神頼みです。(笑)

投稿: 朝倉玲 | 2006年1月 6日 (金) 13:26

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