« ちょっと不調 | トップページ | 機種変更 »

2005年9月11日 (日)

カラス

洗濯物を干そうとベランダに出たら、向かいの建物の屋根に2羽のカラスが飛んできた。先に来た1羽が口になにか白いものをくわえている。どうやら、どこかでパンのかけらでも見つけてきたらしい。
ふーん、もう1羽がパンを狙って後をついてきたんだな、と思って見ていたら、それが先のカラスにまとわりつくように歩きながら「ギャア、ギャア」と鳴き出した。ちょっと甲高い声をしていて、カラス独特の野太さがない。まだ子どものカラスなのだ。よく見ると、体も先のカラスより一回り小さい。近くの木に巣を作っていたカラスの親子だった。
パンをくわえていたのは親ガラスだった。子ガラス(と言っても、もう大人に近いくらい大きくなっているけれど)は、それが欲しくて一生懸命ついて歩いて、ときどき「ギャアギャア」とアピールを繰り返す。ところが、親ガラスはいっこうにパンを与えようとしない。ちょっと下を向いてパンをしっかりくわえなおすと、そのまま、ただ屋根の上を歩き回っていた。子ガラスがいくらねだっても、催促しても知らん顔をしている。かといって、自分がそれを食べるわけでもない。まるで子どもに見せびらかすように、パンをくわえ続けている。
ああ、そうか。巣立ちが近いんだ、と気がついた。
キツネの親子も、巣立ちの時期が近づくとこんな行動をとると聞いたことがある。親は、子どもの目の前で、自分がとってきた餌をわざと見せびらかしながら食べるのだ。空腹の子どもにはほんの少しだって分けてやらない。そうやって、親は子どもに「自分の力で餌をとること」を教えるのだという。
子ガラスが親の後をついていきながら、餌をねだる声が続いている。けれども、親は無視し続ける。たっぷり10分以上そうした後、おもむろに、親ガラスは自分でそのパンを食べてしまった。
「ギャア、ギャア、ギャア!」
子ガラスが怒って鳴きわめき始めた。きっと「お母さん(?)、どうしてぼく(??)の餌を食べちゃうんだよー!!」と抗議しているのだろう。でも、親は相変わらず知らんぷりで、そっぽを向いている。折しも降り出した雨が、屋根を伝って雨樋に流れ込む。その水を悠々と飲んでいたりして。

その一部始終を眺めながら、野生動物の親は偉いなぁ、とつくづく思ってしまった。
どんなに子どもが餌を欲しがっても、その子が巣立ちの時期を迎えていれば、わざと突き放して自立を促す。そうしなければその子は生きていけなくなると、本能でわかっているから。
巣立ちの時期にある子どもに、いつまでもせっせと餌を運び続けるのは、人間の親くらいのものかもしれない。

子ガラスはまだ鳴き続けている。親は相変わらず無視を続けている。だけど、子どもをうるさがって、どこかへ飛んでいってしまうわけでもない。
雨に濡れた屋根の上に、ずっと2羽でいるカラスたち。
あのカラスの母さんを少し見習わなくちゃ・・・と考えてしまった。

|

« ちょっと不調 | トップページ | 機種変更 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/102474/5884407

この記事へのトラックバック一覧です: カラス:

« ちょっと不調 | トップページ | 機種変更 »