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2005年7月 8日 (金)

Mディレクターとの出会い

木曜日、『とーます!』の支部懇親会で、NHK福島のMディレクターとまた会って話をすることができた。
 ※前回お会いしたときの様子はこちら。→昇平てくてく日記「特別支援教育に思う~NHKの取材を受けて~」

Mディレクターは女性で、まだお若い。たぶん三十代前半というところだろうか。(それよりもっと若かったらゴメンなさい!) 「昨日オンエアになった番組の制作で、数日間ほとんど寝てないんです。寝ても1時間とか・・・」と話しながらも、その表情はとても明るい。口調も歯切れがよくて、つい引き込まれるような話し方をなさる。
ちょうど、前日放映された番組(夕方5時台のローカル番組の中のコーナー。)を私も少し見ていたので、懇親会の後は、その話で盛り上がった。会津のとある地区で、そこに残る民話や伝承、生活の知恵を、その地区の人たちが自分たちで収集して書き起こし、本にして出版する、という活動を紹介した番組だった。昨日を逃すと放映が大幅に遅れてしまうので、なんとしても間に合わせましょう! と、その活動をしている代表や皆さんと協力して、突貫工事で番組を作りあげた・・・というエピソードには、先の「1時間しか寝てないんです」という話と合わせて、ものすごいエネルギーを感じてしまった。番組制作に関わる人たちって、みんなこんな感じなのかしら・・・?
「これは、その地区のおばあちゃんが、からむし(織り)で作ってくれたものなんですよ」
と言って、Mさんが見せてくれたのは、白っぽい糸を寄り合わせて作ったブレスレットだった。青いビーズがいくつか通してあって、素朴だけれど、とっても素敵。
「素敵でしょう? こんなふうに、自分たちがしていることに新しい価値を見つけて、『あら、自分たちもけっこうすごいことをやっているじゃない? 私たちが住んでいるところって、実はすごいところなんじゃない?』なんて、再発見してもらえたらいいな~、なんて思いながら番組を作ってるんです」
そういいながら、Mさんの瞳はキラキラと輝いていた。本当にこの「報道」という仕事が好きだ、という気持ちがばんばん伝わってくる。いいなぁ、こんなふうに目を輝かせて自分の仕事の話をする人って。話していて、すごく気持ちがいい!
他にも、地方局ではディレクターがなんでも仕事をこなさなければならない話とか、時にはデジタルビデオカメラを回して自分で映像を撮ることもあるけれど、そうすると、普段なら絶対にしないような話を、相手が思いがけなく聞かせてくれることがあるとか・・・。私には報道関係の知人がいなかったので、そういう話の一つ一つがまた新鮮で、聞いていてすごく面白かった。

私はまだ、Mさんが手がけた番組を2つ3つしか知らないけれど、その中にある共通したテーマがあるような気がしている。
『地域に根ざした、地味だけれど一生懸命な活動』というのを、積極的に取り上げて紹介してくれている気がするのだ。本当ならば、もっと人目をひくような、華やかな活動を追うこともできるはずなのに、(まあ、この福島県に、そういう活動がどれくらい頻繁にあるかというと、そこは疑問ではあるけれど・・・) あえて、なかなか人目につきにくい、でも一生懸命な人たちの姿を追いかけようとしてくれている。その取材姿勢が、話のそこここから伝わってきて、これがまたなんとも言えない感動だった。

『とーます!』というのは、なんのことはない、ただの母親の集団だ。子どもたちはADHDやその周辺の障害を持っている。だから、普通の子育てマニュアルが通用しなくて、みんなしょっちゅう悩んだり迷ったり孤独に陥ったりする。しょっちゅう・・・「いや、いつもそうよ!」というメンバーたちの声が聞こえる気がするな。(苦笑)
でも、そんな親同士が、より良い子育てを目ざして、自分たちで集まって活動を始めたのが『とーます!』。今年5年目を迎えるけれど、それでも、吹けば飛ぶような弱小団体だ。
人数は少ない。力もない。だけど、子どもたちのためになんとか方法を見つけたい、この子のためにできることを見つけたい。その気持ちだけは、人一倍ある。
だから、Mさんは私たちに取材を申し込んできたのかな、と考えている。
子どもを思う一生懸命な気持ちだけは、私たちだって、誰にも負けないから・・・。

Mさんは、私たちの話に熱心に耳を傾けてくれる。「障害について何も知らないから、まず勉強をさせてください」と正直に言ってくださる。これは本当に嬉しい。「あの子は○○だから」と決めつけられることが多いだけに、まず、私たちの話をありのままに聞いてもらえるのが嬉しいのだ。
障害について最初は知らなくたっていい。知識は後からだって身につけられるのだから。知ろうとする気持ちがあることが、まずなによりも大事なのだ。
正直なことを言うと、障害児の親たちは、マスコミをあまり信用していないことが多い。勝手な思いこみや、一般的な考え方で記事を書かれて、「そんな意味で言ったわけじゃなかったのに!」と取材された者がショックを受ける、ということも、ままあるのだ。私自身も、障害に関することで、雑誌や新聞の記者から過去に2,3度取材されたことがあるが(注:記事にはならなかった。)、一方的な価値判断に基づいて話を聞かれている気がして、なんとも不愉快な思いをしたことがある。よその県のことだが、子どもや家族のプライバシーに十分配慮しないまま報道したためにトラブルが起こった、という話も聞いたことがある。
だからこそ、「まず、ありのままを知りたい」と言って、熱心に親の話に耳を傾けてもらえるのが嬉しいのだ。時間をかけて知り合っていけば、きっと、取材をする、されるの立場になったとしても、そう大きな思いの食い違いは起こらないだろうから。

Mさんは、良い意味で、私たちのマスコミへのイメージを打ち破ってくれている。
報道の仕事が大好きで、寝るのも忘れて仕事に打ち込んでいる姿は、そのまま「情熱」や「誠実」の姿だ。
マスコミにも、こんな素敵な人がいるんだね。
いや、もしかしたら、本当は、こういう人の方がたくさんいるのかもしれない。たまたま、これまで出会ってきたり噂に聞いたりしたマスコミ関係者が、ちょっとハズレだっただけで。
あるいは、それもちょっとした誤解から起こっていたことで、お互いに良く知り合えば、そんなトラブルも避けられていたのかも・・・。

Mさんとの出会いを通じて、私はそんなことを思いめぐらせている。


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コメント

Mさんは実はまだ30前のお若さだったそうです。わ~、ごめんなさ~い! とっても落ち着いて見えていたものだから・・・(と弁解する。大汗)

投稿: 朝倉玲 | 2005年7月 8日 (金) 20:27

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